日本のビタミンB6サプリメントは非活性型
葉酸の記事★の反響が大きく、さまざまな質問が来ました。
後日まとめて回答編を作ってみたいと思います。
(個別に回答は出来ませんが、もし疑問点があれば送っていただけると採用という形で回答します)
ビタミンにもいろいろ種類があるのは、葉酸に限った話ではありません。
例えば「ビタミンB6」
一般的なサプリメントの原材料として使われているのは「ピリドキシン塩酸塩」です。
日本で一番有名なビタミンB複合体サプリのチョコラB、使われているのは当然「ピリドキシン塩酸塩」
アイハーブで一番売れているNOW社のビタミンB複合体サプリ
Now Foods, B-50、ベジタリアンカプセル250錠
裏の表示を確認してみてください。
ビタミンB6として使われているのは「ピリドキシン塩酸塩」(pyridoxine hcl)です。
ビタミンB6は補酵素として働く
身体の中でAという物質からBという物質に変化する、これはすべて酵素が働くおかげです。
酵素がなければ代謝(物質の変化)は行われません。
身体にはたくさんの種類の酵素が存在します。
これら酵素の働きを活性化するのが「補酵素」です。
ビタミンB6がなぜ大事かというと「補酵素」としての働くからです。
ビタミンB6は、多種類の脳内伝達物質の生成に関与する補酵素の働きがあります。
脳でたくさん必要とされるため、脳内のビタミンB6濃度は血中濃度の100倍あるともいわれています。
原料のアミノ酸「トリプトファン」から幸せホルモンのセロトニンが出来るのも、
チロシンからヤル気ホルモンのドーパミンが出来るのも、
すべてビタミンB6が補酵素として働いてくれるおかげです。
ビタミンB6不足は、うつ病、不眠症などにつながります。
とにかくメンタルとの関係が深いビタミンです。
また、ビタミンB6はタンパク質を代謝するにもとても重要です。
タンパク質代謝には大量のビタミンB6の需要がおこりますので、糖質制限を行うとビタミンBをサプリメントで摂取した方が調子が良いというのはそういった理由からです。
補酵素として働くのは活性型のビタミンB6「P5P」
ところが「ピリドキシン塩酸塩」はそのままの形では補酵素として働くことは出来ません。
必ず「ピリドキサールリン酸」または、「ピリドキサール-5-リン酸」という形にする必要があります。
「ピリドキサール-5-リン酸」は英語で「pyridoxal-5′-phosphate」、略して「P5P」(読み・ぴーごぴー)と言います。
簡単に説明すると、補酵素として働く場合は「ピリドキシン塩酸塩」を活性型の「P5P」に変換する必要があるということです。
ときどき、明らかにP5Pへの代謝がうまく行われていないんじゃないの?というケースに出くわします。
Bをちゃんと飲んでいるのに、不安感が強い、タンパク質代謝が良くない(データが改善しない)、脂肪肝が良くならない、といった具合です。
そういった場合は、活性型のP5Pに変更したほうが良いです。
加齢や遺伝的な要素で、ピリドキシン塩酸塩からP5Pへの変換がうまく行われていないっぽい。
活性型はThorne社です。(P5Pのサプリメントは日本では販売されていません)
Thorne Research, ベーシックB複合体, 60粒(ベジタリアンカプセル)
活性型ビタミンBサプリメントの問題点
ところが!
活性型だから素晴らしいと単純にはいかないのがこの世界。
Thorne社のサプリメントは活性型の葉酸も400㎍とやや多め。
他のビタミンB群もほぼ活性型です。
活性型ビタミンB群が急に増えれば、低下していたメチレーションが急に回り始めたりして、
逆に不具合が出るケースもあります。
実際に私はこの量の活性型葉酸を(1日2カプセル、800㎍)取ると不眠になります。
なので実際に使用しているのは、Thorneの別のB複合体です。
Thorne社のビタミンBサプリには種類が多くあって、たぶん素人は選べないんじゃないかしら?
要は、Thorne社の製品はプロユースなんです。
活性型ビタミンB6にしたら不眠が治ったケース
長らくNOWのB50(非活性型)を飲んでいたけど、効果を感じなかったので、ThorneのBに変えたら不眠症が治った、というケースはよくあります。
こういった方たちは、明らかにピリドキシン塩酸塩からP5Pへの変換が下手な体質なのでしょう。
他にも、長らくBサプリを飲んでいても全くALTの値が変化しなかったが、Thorneに変えたら代謝が反映された(データが改善した)など。
効く、効かないには必ず「原因」があります。
サプリメントが効かない場合は、ある意味よい「切り分け」なので、次の一手として活用するべきだと思います。