風邪をひいたら寝る前の牛乳はNG?
寒い季節になりました。
風邪をひいている人をちらほら見かけます。
「風邪で熱っぽい、熟睡するためにホットミルクを飲んで寝よう」
これは分子栄養学的に不正解ですよ。
まず「寝る前のホットミルクが質の良い睡眠に効果的」という理論ですが、
これは、熟睡のためのホルモン「メラトニン」の原料が乳製品に多く含まれるトリプトファンだからです。
トリプトファンが、5HTP(セロトニンの前駆体)になって、セロトニンになって、メラトニンになります。
ところが、このセロトニン経路のほかに「キヌレニン経路」というものがあります。
キヌレニン経路は、トリプトファンから活性型ビタミンB3(ナイアシン)を作る経路です。
さて、問題はメラトニン経路はある状況下でストップするということです。
その代表が「炎症」です。
炎症があると、メラトニン経路はストップ、ほとんどがキヌレニン経路に回ります。
風邪をひいて発熱している、これも炎症の一種です。
牛乳のトリプトファンはメラトニン、セロトニンに回らず、キヌレニン経路へ横取りされます。
発熱していると、寝る前の牛乳は安眠出来ない飲み物なんですね。
キヌレニン仮説について
「キヌレニン経路」と聞いたら、分子栄養学を学んでいる人なら「キヌレニン仮説」を思い出すはず。
ビタミンB6不足があると、キノリン酸から活性型ナイアシンを作る経路が阻害されます。
キノリン酸は神経毒ですから、さまざまなメンタル症状の原因となります。
つまり、
① 体内に炎症がある
② ビタミンB6不足
この2つの状況が揃うと、うつ病、自律神経失調症、パニック障害などの原因となるわけです。
風邪をひいて発熱している、これはわかりやすい「炎症」です。
しかしながら、この場合の「炎症」は慢性炎症も含みます。
例えば、歯周病、歯根感染、リーキーガットによる腸粘膜の炎症、副鼻腔炎などです。
リーキーガットの治療で消化管の炎症を取り除いたり、歯医者で歯根治療をしたり、
Bスポット治療で喉の炎症を取り除くことが、なぜ様々なメンタル症状の治療につながるのか?
その理由の一つが、このキヌレニン仮説によるものです。
キヌレニン仮説については、以前も書きましたのでご参考ください▼