鉄がどの程度不足しているかを知るには?
分子栄養学的な血液データの深読み方法、鉄欠乏についてです。
鉄欠乏を知るためには、一般的には以下のデータが使えます。
・ヘモグロビン
・血清鉄
・フェリチン
・MCV
・MCH
・MCHC
フェリチンと、血清鉄、ヘモグロビンの関係は当ブログの読者ならご存じですよね、
フェリチンは鉄の貯金、血清鉄がたんすの引き出しのお金、ヘモグロビンがお財布の中のお金です。
鉄(お金)が不足すると、銀行からお金を引き出します。
銀行の預金残高がなくなると、タンス預金も減って、最終的にはお財布の中がすっからかんになります。
一般的な健康診断ではヘモグロビンしか見ていません。
健康診断で「貧血です」と診断されたときには、お財布の中にも全くお金が無くなった状態です。
かなり金欠状態、つまり貧血・鉄欠乏が悪化しているということです。
消費者金融にお世話になる前に、実はちゃんと予兆があります。
銀行預金やおうちの引き出しのお金が無くなってしまう前に、ちゃんと対策を立てとくべきなんです。
血液データで診る場合は、ヘモグロビンは正常だけど、血清鉄とフェリチンが低めの場合に注意です。
これは貧血の予兆ですし、実際に鉄欠乏の症状が出ます。
分かりやすいところでは、唇が荒れたり、皮膚の血色が悪かったり、爪がデコボコしてきたり。
人間は皮膚や爪、髪など、生命体としての存続にどうでもよい部分から栄養を削っていきますから、皮膚や爪は栄養状態をわかりやすく反映します。
ところが!!
フェリチンと血清鉄は、溶血(★)や炎症(★)で簡単に上昇します。
ちゃんと深読みする力量のあるカウンセラーであれば、炎症がないか、溶血がないか、他の数値を合わせて判断します。
正しくデータを深読みするには、熟練の技みたいなものが必要なんです。
MCV、MCH、MCHCの関係
もう一つ、鉄欠乏を診るのに参考になるのが「MCV、MCH、MCHC」です。
どれも赤血球に関する数値です。
赤血球は血液の中を流れる’血液細胞’ですから、直接観察しやすいのがメリットです。
MCVは赤血球1個の平均体積、つまり大きさです。
MCHは赤血球1個のヘモグロビン量、つまり1個の赤血球がどれくらいヘモグロビンを持ってるか。
MCHCは全赤血球あたりのヘモグロビン量、つまり採血したその血液に含まれる赤血球全体におけるヘモグロビン濃度です。
理想値は、
MCV 90前後
MCH 31以上
MCHC 31以上
鉄欠乏があると、①MCV、②MCH、③MCHCの順番で数値が減少していきます。
ところが、MCVは葉酸とビタミンB12が不足すると大きくなるので注意が必要です。
MCVの値とビタミンB12不足の関係については、こちらで書きましたのでご参考ください▼
【貧血】胃酸が出てるかどうかが分かる? MCV(平均赤血球容積)の読み方 | ビタミンアカデミー
葉酸、ビタミンB12、鉄、すべてが欠乏すると、数値を大きくする要因と小さくする要因が同居することになりますので、結果的にちょうどよい数値に見えてしまうことがあるのです。
そこで、MCH、MCHCの値を確認します。
例えば、MCH 28.9、MCHC 30.8 といった数値だと鉄欠乏がありそうだなと分かるわけです。
ということは、MCVも小さくなっていなければならないはず。
なのに正常値を示している場合は葉酸、ビタミンB12不足があると判断できるわけです。
ややこしいですよね(笑
鉄欠乏に対し、最後に反応するのが「MCHC」です。
MCHも、MCHCも、共に30以下となると、かなり鉄欠乏が深刻と言えます。
たまにそういったデータに出会うことがありますが、たいていは女性で、子宮内膜症や子宮筋腫があるせいで経血の量が多い方です。
女性は経血で毎月鉄分をゴッソリ持っていかれますから、鉄欠乏状態には注意しておいてください。