栄養療法で言う「溶血がある」状態とは?
溶血性貧血とは、赤血球の寿命が短いために起こる貧血のことです。
通常120日程度と言われる赤血球が、なんらかの原因で10日ぐらいで壊されるので、赤血球量がどんどん減って貧血になる状態。
そこまでいったら病院行って専門医の治療が必要ですが、栄養療法でいう「溶血」は、いわゆる「未病」の状態の診ていて、特定の栄養素の過不足を見ていきます。
数値的にいうと、
・間接ビリルビン 上昇
・フェリチン 上昇
・血清鉄 上昇
・網状赤血球数 上昇
これらの数値に違和感があると、溶血がありそうだなと推測します。
間接ビリルビンは赤血球の細胞が壊される時に上昇します。
赤血球の細胞膜が壊されやすくなっているということは、その他の細胞膜も壊されやすくなってるんじゃなかろうか、と推測されるので、間接ビリルビンは細胞膜の丈夫さを確認するのに使える指標です。
間接ビリルビンが0.6以上だと「おやっ、何かあるかも・・」と、ピクッと反応します。
フェリチンは、マスキングが大きいのでいくつという目安はありません。
しかし、見た目の視診と食事内容を聞いて「いやに高いな」と感じたら、溶血か炎症で上昇していることを疑います。
例えば、肌に色艶がなく髪の毛がホワホワで「私フェリチン80です」とか言われても絶対マスキングですから。
網状赤血球とは、赤血球の細胞の赤ちゃんのことで、骨髄で赤血球がせっせと作られると増加します。
溶血があって、身体が「もっと赤血球を作らなきゃ!」と焦ってる状態、これが網状赤血球数の上昇。
つまり、栄養療法で「溶血がある」というのは、
『赤血球が壊されるスピードが早いので、身体は鉄をじゃんじゃん消費して血清鉄が上昇、
骨髄で赤血球の量産体制に入るので網状赤血球数が上昇。
壊された赤血球からこぼれた鉄分はフェリチン(貯蔵鉄)としてストックに回るので、フェリチンが上昇。』
という状態です。
溶血が起こる原因
では、なぜ溶血が起こるのか?
溶血は、細胞膜がなんからの影響で弱くなって壊される確率が高くなっている、
もしくは、細胞膜を攻撃する何かが存在しているかのどちらかです(もしくは両方)
細胞膜が弱くなる原因の一つが、栄養不足です。
栄養不足を推測する場合、細胞膜の原料であるタンパク質とコレステロールの値を確認します。
低い場合は、摂取量が足りない、食べてる割に数値が上がってなければ消化力が足りないと判断します。
高い場合は、材料があるのに代謝が悪くて使えていない、使えない原因をさらに探ります。
細胞膜を攻撃するものが存在している場合ですが、その代表が活性酸素です。
活性酸素除去能力を確認する項目は尿酸値です。
尿酸は強力な抗酸化物質。尿酸を体内で持っていたため、人間はビタミンCを合成する能力を進化の過程で放棄したとも言われています。
尿酸について詳しくはこちら▼
『尿酸』はスーパーアンチオキシダント!自分の身体の抗酸化力を知る方法 | ビタミンアカデミー
尿酸値を確認して、3.0台だと明らかに抗酸化力不足。
ちなみに尿酸の原料もタンパク質なので、「抗酸化力の低下=タンパク質不足」です。
溶血がある場合に必要な栄養素
溶血がありそうだなと推測される場合、ビタミンEの不足と判断します。
細胞膜の壊される原因が、抗酸化力の低下にある場合は、ビタミンC、タンパク質が不足しています。
この場合、鉄サプリは活性酸素を発生させる原因になる可能性が高いので、注意が必要。
ビタミンEは合成より天然型が良いと言われますが、iHerbを確認しても今時合成ビタミンEなんてめったに見かけないので、気にするだけ無駄かなと思ったりします。DHCとか、ファンケルとか日本製の廉価メーカは知りませんけど。
私も以前、間接ビリルビンが0.6~0.7と、細胞膜が弱めということがアリアリでしたので、ソルガー社のビタミンEを1年ほど飲みました。
Solgar, ビタミンE, 100 IU, 100ソフトゼリー
紹介しておいてナンですが、私の場合は1年経っても間接ビリルビンの値は全く下がらず、ソコジャナイ感がありありだったので結局リストラしましたのでビタミンEは今は飲んでいません。
私の場合は低コレステロールなので、細胞膜の栄養素が足りないケースと診断されます。
なので消化酵素の補充で脂質の消化と代謝を改善するのが先って話ですね。
ビタミンEの豊富な食品は、うなぎ、アボガド、ごま豆腐。ぜひ積極的に食べてましょう。
溶血は、数少ない「ビタミンEが不足」と判断されるパターンです。
以上、今日は溶血について書いてみました。