赤血球の大きさを表す「MCV」
一般的に「貧血」と言ったら、ヘモグロビンが低下(女性の場合は12未満)していることを指しますが、分子栄養学ではもう少し深読みします。
人間ドックの結果を見ると、血液の指標のところに、MCV(平均赤血球容積)という数値があります。
「MCV」の「V」は、volume の V
すなわち、赤血球の大きさを示す値です。
一般的な健康診断での基準値は、80~108 (検査機関によって相違あり)
分子栄養学的な理想値は 90~92 です。
MCVが高い場合、赤血球の粒が大きいということです。
これは、ビタミンB12と葉酸の不足を暗示しています。
なぜビタミンB12と葉酸が不足すると、赤血球の粒が大きくなるのかというと、
赤血球を、あんこ(鉄)を抱えたお団子だとイメージします、あんこ(鉄)はあるのだが、お団子の材料(ビタミンB12/葉酸)が不足しています、お団子工場は、団子を大きくして出荷数をごまかそうとします。
MCVが小さい場合(90以下)は、中のあんこ(鉄)も足りない、お団子の材料(ビタミンB)も足りない。これはガチで貧血の場合が多いです。
MCVが小さい場合はおいといて、MCVが大きい場合の原因は何か?を深読みしてみましょう。
MCV・赤血球が大きくなる4つの原因
1. 飲酒の習慣がある人、糖質が大好きな人
お酒の解毒や、糖質の消化分解には、ビタミンBが大量に消費されます。
普段の飲酒と糖質の過剰摂取で、相対的にビタミンB不足になっている場合はMCVが大きくなります。
2. お肉(動物性タンパク質)を食べてない人
ビタミンB12を作れるのは一部の微生物のみで、微生物が合成したビタミンB12が動物の組織に内包されます。
従ってビタミンB12は、レバーや牛もつ、しじみや牡蠣など、動物性タンパク質にしか含まていません。
海外のベジタリアンは、サプリメントやニュートリショナル・イースト(サトウキビを発酵させた酵母食)で、ビタミンB12を補足するのが一般的です。
3. 胃酸が出ていない、ピロリ菌がいる、胃が弱い人
ピロリ菌がいて胃が萎縮気味だったり、胃酸の分泌が十分でない場合もMCVが大きくなります。
動物性タンパク質に含まれるビタミンB12を、その組織から切り離すため、胃酸がとても重要になります。
ビタミンB12は胃酸でタンパク質から切り離されたあと、胃の内因子にくっついて小腸で吸収されるので、胃酸不足の人は、ビタミンB12が不足して、MCVが巨大化します。
4. 腸内環境が悪化している人
ビタミンB群は腸内細菌が作ってくれています。
我々(人間)が、細菌たちに住処(腸)を提供する代わりに、家賃として栄養を徴収するシステムです。
しかし、乱れた食生活やストレスで、悪玉菌やカンジダ菌などに不法占拠され、家賃収入が先細りしている状態の人は、ビタミンB不足の症状が出ます。
原因が1の場合、単に消費されて不足している人は、サプリメントで補えば改善しますが、現実はそうそう簡単にいかないことが多い。
原因は複合的で、特に胃酸は重要になります。
タンパク質が食べられないから胃酸が出ない、胃酸が出ないからタンパク質が食べられない、この負のループをどこかで断ち切る必要があります。
4の腸内環境を整える、これはいろいろな意味で重要ファクターです。
確認ポイントは、毎日安産か、作品は美しいのか、腐敗臭でない発酵臭かの3点
「貧血対策でプロバイオティクス」は、一見結びつかないかもしれませんが、対策としては正しい正攻法です。
質の良い血液を作るために
過去数年間分の検査結果です。
私のMCVの値は、92 ~ 95
夫のMCVの値は、92 ~ 93
やや、私の方が上ぶれしやすく、胃酸の弱さを物語っていて興味深いですね。
赤血球はドーナッツ状のUFOみたいな形をしており、その体をぐっと折りたたんで毛細血管の中へ入っていきます。
MCVが大きくなれば、狭いところには入りにくくなるので、毛細血管の血行が悪くなります。
貧血といえば、鉄だけではありません。
質の良い赤血球を作るために、動物性タンパク質(VB12)、その消化を支える胃酸、そして腸内細菌を大事にしましょう。