MEC食・糖質制限で症状が良くならない人はヒスタミン不耐性を疑うべし

低ヒスタミン食でアトピー症状の軽減

アトピー対策としてMEC食、糖質制限を続けていた方に、低ヒスタミン食をお勧めしたところ症状の改善したというご報告がありました。

ずっとマクロビオティックを勉強されていた方で、低たんぱくによる胃腸機能の低下、貧血・鉄欠乏あり。

お肉を増やし、糖質制限・MEC食をベースに食事をしていましたが、症状が改善しない。このまま続けてよいものか判断しかねるというご相談でした。

 

血糖値の乱高下を抑えるために、午後の補食としてチーズ、ナッツ、ゆで卵を毎日食べているとのこと。

食事は毎日、牛肉・豚肉のどちらかを食べて、ごはんは食べない。

チーズ、ナッツ、牛肉、豚肉、すべてかなり高ヒスタミン食です。

 

補食は鶏肉や、サツマイモなど上質の炭水化物に変更、食事も牛肉、豚肉は毎日はやめて、ごはんも普通に食べるようご提案しました。

かゆみに悩まされる日が減ってきたとのことでした。

ヒスタミン不耐性とは?

ヒスタミンは体内で必要な成分です。

免疫細胞とタグを組んで身体を異物から守っています。ほかにも胃酸分泌、神経伝達に関与しているのですが、我々が一番認識できるのが免疫の部分。

アレルギー・アトピーは免疫の暴走なので「抗ヒスタミン薬」が効果を発揮します。

存在しなきゃいけない物質なんだけど、増えすぎれば問題というのは他のさまざまな生理活性物質と同じです。

 

ヒスタミンは体内で作られますが、食べ物にも多く含まれます。

普通の人は、すぐに消化・分解されるので問題ありません。

ところが、まれに消化・分解の苦手な人がいます。

 

ヒスタミンを分解するのはDAO(ジアミンオキシターゼ酵素)という酵素です。

この酵素を作る遺伝子に変異や多型があると、酵素の働きが悪くなるのでヒスタミン分解の効率が落ちます。

全く分解する能力がないわけじゃない。

つまり量の問題で、ヒスタミンを含む食品を多少は食べても大丈夫だけど、大量はダメよって話です。

これがヒスタミン不耐性です。

ヒスタミンの多い食事とは?

ヒスタミンの多い食事とは

・チーズ、ヨーグルト
・長期保存加工可能な魚、肉(干物、熟成肉、ハム、ソーセージなどの加工肉)
・ピーナッツ、カシューナッツ

 

パッと見て分かる通り、長期保存可能な食品に多い。

保存加工中に微生物の力で増えるわけです。

お肉も、牛肉・豚肉に多く、鶏肉には少な目。

 

やっかいなのは、納豆や味噌、醤油など、一般的に身体によいと言われる発酵食品にも含まれています。

前述の方は、関西の方で納豆はお嫌いとのことでしたから、その点はクリア。

味噌、醤油はスーパーで買える安いものに変えることをご提案しました。

マクロビオティック、自然派の方に多いのですが、発酵食品は無添加の長期熟成など、こだわりを持って選ばれる方が多い。

そういった食品はヒスタミンも多くなりがち。

鰹節も本枯節の長期熟成とかじゃなくて、安物で十分ですよとお伝えしたところ、かなり新鮮な視点だったらしく、面白がってくれました。

 

 

体内ヒスタミン量を知る方法

体内のヒスタミン量ですが、白血球の分画があれば推測することが出来ます。

ヒスタミンは、そのほとんどが好塩基球に含まれるため、

『白血球数 × 好塩基球数%』

これが、ヒスタミン量の目安になります。

当然ですが、アレルギーがある方は高めです。

前述の方は Baso2.0%、白血球5800でしたから、116とお高め。

 

実はこれ、メチレーション状態を知る方法と同じだったりします。

ヒスタミンは、メチレーション回路で作られる「SAMe」によって代謝されるので、高メチレーションの人は少なく、低メチレーションでは増加する傾向があるためです。

 

完璧主義でマクロビオティックや糖質制限にはまりやすい、低メチレーションタイプらしい特徴がよく出ていますね。

メチレーションについてはこのへん(こことか★こことか★こことか★)で紹介してます。

チーズを頻食するリスク

高たんぱく食(糖質制限やMEC食)にはまると、チーズ摂取量が増えます。

確かに、チーズは高タンパクで良い食材ですが、高ヒスタミン食の代表です。

アレルギーの強い人にはお勧めできません。

 

それ以外にも、マグネシウム不足になるというリスクがあります。

詳しくはこちらをご参考ください▼

【牛乳あぶない説は本当?】乳製品をおすすめ出来ない分子栄養学的な理由 | ビタミンアカデミー
乳製品を常食することの分子栄養学的危険性、それはマグネシウム不足です。牛乳、チーズ、ヨーグルト、どれも添加物が少なくて、高たんぱく質なのですが、カルシウム対マグネシウムの比率が著しく悪い。 マグネシウム不足はミトコンドリア機能を低下させます。 糖質制限の際にも十分注意してください。

 

ヒスタミンを分解する酵素DAOに必要な栄養素は、ビタミンB6、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛、銅です。

今までチーズを食べなかった人が、毎日チーズを食べるようになると、明らかにマグネシウムが不足します。

高ヒスタミンにプラスして、マグネシウム不足による酵素活性の低下で、ダブルでヒスタミン不耐性にはアウトな食品ですね。

 

「じゃあ、マグネシウムをサプリメントで摂ればよいじゃん」という発想にはちょっと待ったですよ。

ミネラルは他のミネラルと微妙な均衡状態を保っており、量の摂取で解決できる栄養素ではないのです。

ミネラル不足に対しては、ミネラルの吸収・代謝を阻害する原因は何か?を考えるべきです。

チーズを食べるためにマグネシウムを補給するのではなく、マグネシウムの代謝を助けるためにカルシウム(チーズ)の過剰摂取を減らす、つまり「チーズ食べる量を減らす」が解決方法です。

今回のケース、ヒスタミンに注目はしたんだけど、何気にチーズ止めてエプソムソルト入浴をすすめたのが一番功を奏したんじゃないかとも思ったり。笑

 

ヒスタミン不耐性まとめ

不耐性とアレルギーは違います。

アレルギーは抗体が作られるので、除去食が望ましいです。

不耐性は、消化する能力が劣っているだけなので、量を摂りすぎなきゃ大丈夫。

 

消化するために必要な、消化酵素の補充も効果的です。

食品でいうと、ジアスターゼを多く含む食材(大根おろし)はヒスタミンの分解に役立つので、お肉お魚を食べるときは大根おろしを添えるのもよいと思います。

そういえば、私自身も消化酵素を摂り始めてから、花粉症をはじめとするアレルギー症状が軽減したので、高ヒスタミンに効果があったのかもしれない。

高たんぱく食に移行するリスクとして、ヒスタミンの問題は考慮しておく必要があるなと感じました。

 

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