クイズ形式で分子栄養学実践講座の講義を復習
昨日は分子栄養学実践講座の大阪会場での講義日でした。わたしはお部屋でリモート受講でした。
毎月第二日曜日は「分子栄養学実践講座」の講義の日です。
わたしは自宅のソファで受講してました。笑
この写真を撮る直前まで、お腹に猫が載ってました。
愛猫を腹に乗せながら講義が受講できるなんて、よい時代ですなぁ。
今回も、たくさんの「なるほどー」を感じた講義でした。
改めて、知識と経験を惜しげもなくシェアしていただける宮澤先生に感謝です。
栄養療法も1.0から2.0とメジャーチェンジ、大きくバージョンアップ。この「治療のピラミッド」がいかに的確に表現されているか、改めて実感。
思い返せば、私が栄養療法の患者として通院していたころは、「足りない栄養素を足す」という手法がベストエフォートでした。食餌療法は糖質制限のみ。腸内環境の大切さや、副腎ケアやデトックスなどは、症例が蓄積されておりませんでした。
今は学ぶことは増えたけど、人体の緻密な設計に感動し、パズルを紐解く快感が大きい。
さて、今回の実践講座の講義内容から、クイズ形式にして解説を加え復習したいと思います。(質問の作り方がざっくりし過ぎている点はご容赦ください)
Q1. 日本人に脂肪肝が多いのはなぜ? (難易度レベル★★★☆☆)
回答例
日本人の民族的特徴として脂質を皮下脂肪として貯蓄しにくい。血中にあぶれた脂肪酸(リピッドスピルオーバー)が肝臓へいくことになるから。
まごめ解説
欧米には相撲レスラー並みに腰回り、腹周りがとてつもなくデッカイ人がゴロゴロおります。日本人はああはなりません。
日本人は欧米人と比較してインスリン分泌が少ないからです。もっと正確に言えば、インスリンが効きやすいので、分泌量が少なくて済む体質とも言えます。
インスリンは糖質から合成された脂質を脂肪組織(皮下脂肪)に貯蓄して、いざというとき(絶食時)のエネルギー源としたり、身体を守るクッションにしたりします。(←脂肪が溜まることが悪いのではなく、本来身体にとっては素晴らしい機能なのよ)
皮下脂肪に蓄えられなかった脂肪酸は異所性脂肪となります。異所性脂肪とは肝臓や筋肉などに入りこんで、臓器本来の機能を低下させます。脂肪肝が低血糖の原因になるなど、エネルギー代謝に影響するのはご存じのとおり。
日本人は糖質過多などの乱れた食生活で、脂肪肝になりやすい。つまり低血糖症をおこしやすいと言えますね。日本人は副腎疲労になりやすい民族なのかもしれません。
リピッドスピルオーバーに関しては、以下の記事で解説してますのでご参考ください。
Q2. 血糖値をモニターする「フリースタイルリブレ」で、低血糖症を見つけにくいのはなぜ?(難易度レベル★★☆☆☆)
回答例
血糖値を下げるホルモンはインスリンしか存在しないが、血糖値を上げるホルモンは多く存在するため。
ポイント解説
インスリンを下げる作用のあるホルモンはインスリンのみ。一方、血糖値を上げるホルモンは成長ホルモン、カテコラミン(アドレナリンやノルアドレナリン)、コルチゾール、グルカゴンなど多く存在します。
血糖値が下がることは、生命体としての存続の危機ですから、なんとか血糖値を維持しようとした生物としてのバックアップ機能だと言えます。
フリースタイルリブレを装着し「わーい、低血糖になってなーい♪」と言う方が、緊張感が強く、肩こりや首コリ、頭痛や生理痛など、交感神経優位(過剰⁉)による不定愁訴のオンパレードという症例はよく拝見します。アドレナリンで血糖値を維持していた、というオチですね。
Q3. ミトコンドリア機能低下によるコリ回路の活性化で疲労感が大きくなるのはなぜ?(難易度レベル★★★★☆)
回答例
解糖系で2ATPが産生されるが、コリ回路で作られた乳酸は肝臓で糖新生される際に6ATPが消費されるため。
ポイント解説
コリ回路とは、ピルビン酸がアセチルCoA側に回らずに、乳酸に代謝される回路のことです。
解糖系の過程で2ATPが得られます。そしてピルビン酸が作られます。
ピルビン酸脱水素酵素がうまく機能しないと、ピルビン酸は乳酸脱水素酵素の働きで乳酸に変えられます。乳酸は肝臓へ運ばれ、ピルビン酸に再度変換されて、グルコースに変換されます(←糖新生)
この糖新生がけっこうATP使っちゃうんですよね。解糖系で2ATP作られても、糖新生で6ATP使っちゃうから、差し引き4ATPの赤字。
コリ回路は活性化し過ぎると「ずーっと疲れてる」という状況が続きます。これがミトコンドリア機能低下の怖いところ。
普段、患者さんの主訴に多く接している宮澤先生は「100mダッシュの後がずっと続いている感じ」と表現されていましたね。そりゃ疲れますわ。
余談ですが、なぜ乳酸が作られるかというと、脳の保護のため。
脳神経細胞ニューロンは、乳酸をエネルギーとして利用しているのです。
血液脳関門は糖など限られた物質しか通しません。エネルギー量の多い脂肪酸は通行止めをくらう。ケトン体なら大丈夫。でもケトン体はほんとに非常時用ですからね。その手前に乳酸を用意していたわけですよ。これはわりと最近分かった事実。(”疲労物質”という汚名を着せられていた不遇な時代が長かった乳酸かわいそ過ぎ)
Q4. カンジダ感染の疑いのある方はマグネシウムを多くとったほうが良いのはなぜ?(難易度レベル★★★★☆)
回答例
カンジダ菌増殖(腸内細菌のディスバイオシス)によって増加したシュウ酸がマグネシウムと結合し、マグネシウムの生体利用効率が低下するため。
ポイント解説
シュウ酸といえば、カルシウムとくっついてシュウ酸カルシウム(尿路結石になるやつ)になることが有名ですが、実は他の様々なミネラルとも反応します。例えば、シュウ酸は亜鉛やマグネシウムなど二価のイオンと結合しやすい。
シュウ酸にマグネシウムが捕まってしまえば、必要な細胞まで回ってきません。カンジダ除菌の際には、解毒酵素やエネルギー代謝酵素などに、多くのマグネシウムが必要になります。通常よりも多めに補給しておく必要があるようです。
ちなみに、遺伝的にシュウ酸が高かったり、食べ物由来の一時的に高くなったシュウ酸も検査では出てくるので、必ずしも「有機酸検査でシュウ酸が高いこと=カンジダ」とはなりませんので、その点も理解を。
以上、講義を受けていた人にとっては簡単ですが、分子栄養学初心者には難しかったかもしれませんね。
クイズは10問くらい思いついたのですが、息切れです。笑
残りはまた次回に回します。マニア勢のみなさん、お楽しみに!