【乳酸脱水素酵素・LDHが低い場合】疲れやすい人・糖新生が出来ない人・低血糖症の特徴

糖新生とは?

糖質制限ブームですっかり悪者扱いされている感のある「ぶどう糖」ですが、身体にとっては大切なエネルギー源であり、なくなってしまうと人間は生きていくことはできません。

血糖値が50を切ると、中枢神経がエネルギー不足で意識が朦朧とし、30以下で昏睡状態です。

もし、糖が供給されなければ、血糖値が下がり続けるかというとそういうわけではありません。

我々の身体には食事から糖を得る以外に、身体の中で糖を作る仕組みがあります。

それが「糖新生」です。

就寝中や絶食初期の段階では、糖新生によって細胞のエネルギー源を確保しています。

Cori(コリ)回路

筋肉で糖が使われると「乳酸」に変化します。

筋肉で発生した乳酸は、血液で肝臓に運ばれます。

肝臓まで運ばれた乳酸は、ピルビン酸から糖になって、もう一度血流に入ってエネルギーとして利用されます。

これが糖新生の一部「Cori(コリ)回路」です。

(この回路を発見した人の名前が「コリ博士」なのでコリ回路)

乳酸は疲労物質として有名です。

肩こり、筋肉痛は、筋肉中の乳酸が溜まるためともいわれています。

でも肝臓でリサイクルすることが可能なので、別の意味ではエネルギー源でもあるのです。

 

 

糖新生に必要な酵素「乳酸脱水素酵素」

このコリ回路で糖新生が行われる際、乳酸からピルビン酸に変化するときに必要な酵素、これが「乳酸脱水素酵素」です。

健康診断や人間ドッグでは、LDH(lactate dehydrogenase)と書かれています。

 

検査機関によってばらつきがあるのですが、通常の健康診断ではLDHの基準値は「120~240」ぐらいです。

急性肝炎、肝臓がん、心筋梗塞のときに、LDHは高値になります。

なので高値になるかどうかはチェックされます。

検査値が低い場合はノーチェックですが、生体反応に必要な酵素ですから低すぎるのも問題です。

 

分子栄養学的にみると、乳酸脱水素酵素(LDH)180以下は酵素活性が弱いと診ます。

LDHが低いということは、コリ回路で糖新生がうまく働かず、乳酸をエネルギーに利用する力が少ないということです。

スタミナ不足ですぐにエネルギー切れになりますから疲れやすい、血液中に乳酸がたまりやすいので身体が固く凝りがあります。

血糖値をうまく保つことが出来ませんので、低血糖の症状(眠気、脱力)や、低血糖に伴う自律神経系の症状(立ちくらみ、頭痛、動悸、イライラ)などが起こりやすくなります。

 

血液データを見て、LDHが180以下だと、スタミナ不足でエネルギー切れを起こしやすい人かな?と推測します。

話した感じが元気、だけどギスギスした印象なら、アドレナリンが強く、副腎疲労を疑います。

そういった方に副腎疲労を指摘すると全否定されることが多い。

でも、手を握ったら冷たくて、胸鎖乳突筋に張りがあり、早口で一言多いタイプならほぼビンゴですね。笑

こういった方が、朝食抜きの半日断食などを行うと副腎疲労が悪化します。

’食べない’健康法がもっともお勧めできないタイプです。

LDHが低いのはビタミンB3(ナイアシン)不足の可能性

LDHが低い理由を推測してみましょう。

LDHは酵素です。

酵素はタンパク質が原料ですから、タンパク質不足が背景にある。

タンパク質不足の原因は、食べる量が少なかったり、消化力の低下だったり、睡眠不足だったり、小胞体ストレスだったりします。

 

もう一つ大事なことは、乳酸脱水素酵素の補酵素はビタミンB3(ナイアシン)です。

Now Foods, Flush-Free Niacin, 250 mg, 180 Veg Capsules

ビタミンB3(ナイアシン)不足だと、乳酸脱水素酵素は活性が低下しますので、低値になります。

栄養療法で、LDHが低値だとナイアシンが処方されるのは、乳酸脱水素酵素の補酵素がナイアシンだからです。

また、ビタミンB3は腸内細菌が多く作ってくれている栄養素なので、ビタミンB3不足ということは、腸内環境も悪化していることが推測されます。

 

まとめると、疲れやすい、スタミナ切れを起こしやすい原因が低LDHにある場合は、

① タンパク質の状態を改善すること

② ビタミンB3(ナイアシン)を補充する

③ 腸内環境を改善する

ですね。

ちなみに糖新生には、コリ回路以外にもアラニン回路もあるのですが、そちらはまた別の記事にします。

 

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