食事の嗜好も腸内細菌で決められる
食事の嗜好も腸内細菌に操られているよ、というワシントン大学医学部の調査(2016年)が面白かったのでメモ
典型的なアメリカン人の食生活をしている人と、野菜が多い健康的な食事をしている人の、両方の腸から腸内細菌を採取、無菌マウスに移植。
アメリカ人食生活の腸内細菌マウスは、健康的な餌には関心を示さず、ジャンキーフードばかりを好み、逆に健康的な食生活の方の腸内細菌マウスは、やっぱり健康的な餌を好むという結果になったそうです。
次に、アメリカ人の不健康食を好む腸内細菌マウスに、健康的な食事をしていた人の腸内細菌を移植。
すると、健康的な餌にも興味を持ち始めたとのこと。
つまり「食事の好みは、腸内細菌によって左右されている」という結論です。
典型的な制限なしのアメリカ人の食事(Typical Unristricted American Diet)って、いわゆるハンバーガー、ピザ、ポテトなどジャンキーフードのことで、これを「AMER」と表現。
食物繊維豊富でカロリー制限され栄養的に最適化された食事(plant-rich, calorie-restricted diet with optimized nutrient intake)とは、説明通り健康的な食生活のことで、論文では「CRON」と略しています。
198人のAMERの腸内細菌を集めたらしいが、その方たちの体型は肥満とは限らず、痩せ型もまぜまぜ。つまり普段の食事内容だけで体型は関係なし。
AMERの腸内細菌は、CRONと比較すると圧倒的に多様性がなかった。つまり腸内細菌の種類が少なかったとのこと。
これは想定内、ここでもチラッと触れましたが、良い腸内細菌の状態とは「多様性」があるということなんです。
ちょっと興味深いなと思ったのは、CRONの腸内細菌を移植したマウスも、AMERの食事に興味を示したらしい。
AMERの腸内細菌は、健康的な餌には興味なし。
だけどCRONの腸内細菌は基本的には健康的な餌を好むんだけど、ジャンキーへの興味も同時に示すとのこと。
なんだか、成績の良い子も不良のやってることにはちょっと興味を示すみたいな、そんな腸内細菌の堕落っぷりが垣間みえます。人間の本質を物語っているような・・笑
食事の嗜好は、育った環境が大きいと思います。だけど、それは育った環境で得てきた腸内細菌のせいとも言えるのかもしれません。
定住する菌のメンツは、4歳までにほぼほぼ確定することが分かっており、大人になってからの口からやってくる菌は、基本的には移民扱い。
ところが便移植だと、初めっからグリーンカード渡されたみたいな優遇っぷりで、いきなり定住菌になれるそうです。
こうなったら早く便移植が一般的になることを願うばかり。
日本では2014年から行われていますが、移植するドナーは2親等以内の親族か配偶者に限定の模様。
どうしてもジャンクフードがやめられない。痩せたいけどもそもそも食事の好みがデブ嗜好。
そんな人は、自分が意思が弱いせいじゃない、腸内細菌が欲しているからと思って責任転嫁すると、心理的には楽になるかも。笑
口から入ってくる菌は定住こそしないものの、一定期間居座ることが分かっているので、痩せたい人は、痩せてる人に多いと言われる酪酸菌のプロバイオティクスをせっせと毎日補充するのは全然アリだと思いますね。
酪酸菌の代表「宮入菌」、商品名はミヤリサン。
個人的には、マッチョ菌とか、美人菌とか、早いこと特定されて商品化される時代が来ることを願うばかりですねぇ。