ビタミンD過剰症は心配するべきか?
ビタミンDはホルモン?
ビタミンDは、体内で合成され、生理活性作用があります。
これは他のビタミンには無い特徴です。
この2点から、ビタミンDは「ビタミン」ではなく「ホルモン」に分類したら?という意見があります。
私は以前、ビタミンDがホルモンと分類されるようなものであれば、外からサプリメントで補給するには注意したほうが良くね?とアホな邪推をしておりました。
性ホルモンに代表されるように、ホルモンは体内で合成されることで、微妙な恒常性を保っており、外部からサプリメントで補給することは、自分で作る能力を放棄したり、ネガティブフィードバックが働くのでは?という素人の憶測があったからです。
しかし、ビタミンDによる被害は全く見当たらず、逆に、調べれば調べるほど、ビタミンDのとりこになっていきましたw
各国で上方修正されたビタミンDの上限値
ここ10年でビタミンDの研究が進み、米国も日本も摂取上限を修正しました。
日本の厚生労働省は、2015年に4,000IUに上限を変更しました。
(参考)「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
以前の上限値は2,000IUでしたから、いきなり2倍ですw
厚生労働省による上限とは「不確定な要素が重なっても有害事象がなく安全であろう量」という意味なので、かなり控えめなんです。
米国(Institute of Medicine・米国医学研究所)は、一足お先の2010年に、成人の摂取上限を4,000IUに修正しました。
ただし、これも論拠ないよねーてことで、将来的には見直される雰囲気すら感じます。
感染症、免疫疾患、鬱など、ビタミンD投与による効果が続々と発表されているからです。
米国の医療従事者向けマニュアル「MSD manual」によると、
ビタミンDの有害性は、血中濃度が 150 ng/mL (375 nmol/L) 以上になると、主に高カルシウム血症による症状が現れてくるとのこと。
サプリメントでいうと、50,000IU/日を数ヶ月間だそうです。
日本人のビタミンDの血中濃度(25-OHD)は、平均が20ぐらいです。
サプリメントを飲んでる私のの血中濃度は40くらいです。
150 ng/mLとか「どんだけ〜」て感じですね。
どれくらいのビタミンDを摂るべきか?
心配な方は、1日2,000IUくらいを目安にすればよいかと。
積極的な効果を試したい場合は5,000IUでも、特に問題ないと思われます。
ビタミンC、ビタミンBと違って、脂溶性のビタミンはいったん血中濃度が上がれば、すぐに低下することはありません。
ビタミンDの血中濃度の半減期は15日です。
2、3日に1回、5,000IU という飲み方でもよさそうです。
斎藤先生の提案する飲み方は、1日4,000IUを数ヶ月、その後は維持のために1,000〜2,000IU/1日です。
私は今のまま5,000IUを継続して、ビタミンD血中濃度をモニタリングしていきます。
ちなみに、ビタミンDの血中濃度(25OHD)は、血液検査が可能、検査結果が出るのに1ヶ月かかります。保険外で ¥6,000〜¥7,000が相場です。
WHOの基準では 20ng/ml 未満がビタミンD不足とされ、骨密度が優位に低下するそうです。興味のある方は一回測ってみると良いかもしれませんね。
ビタミンDによるビタミンAの欠乏症状
ビタミンDによる直接的な副作用は報告がないのですが、一時的なビタミンA不足の症状が出ることは指摘されています。
斎藤先生が本で指摘されているのは、ビタミンD投与後に起こる眼球の乾燥です。
細胞核内には、ビタミンA、ビタミンDの受容体があります。
’ビタミンAとビタミンDの受容体が競合するため’といった表記を見かけたことがありますが、ビタミンA、ビタミンDの核内受容体はペアシートになっているので、競合することは考え難いです。
こちらの先生は、ビタミンD受容体(VDR)が活性化すると胆汁酸の生合成や腸肝循環が抑制されることがあるため、一時的にVAの吸収抑制がおこり、欠乏様症状が出るのではないか?との推測されています。
ビタミンAの優先度と需要が最も多いのは「眼」なので、ビタミンD摂取によるビタミンA不足の影響は、眼の状態に気をつけておけばよく分かるのではないでしょうか?
私自身は、PC作業で常時ドライアイ気味なので、VDによる影響は全く分かりませんw
もしくは、ミセライズドVAを時々飲んでるせいでしょうか。
【ビタミンA】手のひらが黄色いのはタンパク質不足かも | ビタミンアカデミー
いずれにせよ、ビタミンA欠乏様症状を気にしてビタミンDを飲まなさすぎるのはもったいない。
ビタミンDによる臨床結果は、細菌・ウィルス感染の減少、がんのリスク低下、糖尿病のリスク低下、妊娠期においては自閉症・言語障害リスク低下などなど。
一つ一つあげていればキリがないので、もっと詳しくて人は、ここ★でも読んでくださいませ。
なぜビタミンDは皮膚で合成されるのか?
体内で自家製造されるビタミンは、ビタミンDだけです。
(ビタミンBも、自家供給されますが、作っているのは腸内細菌)
なぜビタミンDだけが皮膚下で作られるか?という疑問についてです。
皮膚にとって一番強力な害をもたらすもの、それは「紫外線」です。
紫外線により活性酸素が発生し、最悪、皮膚ガンになります。
ビタミンDには免疫を強化し、細胞の代謝を正常化することによる抗がん作用があります。
紫外線の活性酸素による遺伝子異常(ガン化)を防ぐ防御機能として、皮膚下でビタミンDを合成する能力を身につけたのではないか?という考えがあり、私もこれに一票です。
植物の場合、紫外線の害から自身を守るために、様々な抗酸化物質を合成します。
フルーツは皮ごと食うべし!というのは、皮の部分にポリフェノール(抗酸化物質)が多いためです。
植物のポリフェノール合成能に相当するのが、人間のビタミンD合成能では?という推測です。
人間だけに限らず、ほとんどの脊椎動物が皮膚下でビタミンDを合成しています。
鳥など毛皮を持つ哺乳類は、毛や羽根に皮脂を分泌し、それを太陽に当ててビタミンDを合成し、毛繕いすることで、口からビタミンDを摂取しているらしいです。
猫や鳥のセルフグルーミングには、こういった意味があったんですな。
太陽のエナジーは偉大だけど、紫外線でDNA異常が増えるから、ビタミンD作って対応させとこー、てな感じなんですかね。
明日はビタミンD2とビタミンD3の違いについて書きます。