マグネシウム不足は脳のパフォーマンス低下に
大量のエネルギーを消費する脳にはミトコンドリアが多く存在しているので、脳はマグネシウム消耗の大きな臓器です。
脳とマグネシウムについて調べたことの備忘録です。
加齢による記憶力の低下、脳の機能維持にマグネシウムは関係が深そうです。
マウスの実験ですが、脳内のマグネシウムイオン濃度を上げると、学習能力に有意な差が出るとのこと。
ラットの脳内のマグネシウム濃度を増加させると、学習能力、作業記憶、短期および長期記憶が向上する。マグネシウムは脳でシナプスの量と可塑性を強化する。
Enhancement of learning and memory by elevating brain magnesium., doi: 10.1016/j.neuron.2009.12.026.
アルツハイマー病のマウスでも、脳内のマグネシウムイオン濃度を上昇させることで改善。
マグネシウムイオンがアルツハイマー病のマウスの脳のシナプス保護作用を示した。
脳のマグネシウムイオン上昇させたマウスの脳ではアミロイドβタンパク質が減少していた。
Elevation of brain magnesium prevents synaptic loss and reverses cognitive deficits in Alzheimer’s disease mouse model.,Mol Brain. 2014 Sep 13;7:65. doi: 10.1186/s13041-014-0065-y.
マグネシウムとミトコンドリア機能
マグネシウムは、全身の300以上の酵素反応にかかわっており、その不足があらゆる症状に関係してきます。
マグネシウムは、特にミトコンドリア機能維持には重要です。
脳はミトコンドリアがたいへん多い臓器なので、マグネシウム低下による記憶力・認知機能への影響は想像に容易い。
細胞のエネルギー生産のかなめとなるミトコンドリア機能は、多くのMg(2+)依存の酵素反応で機能している
Mitochondrial Mg(2+) homeostasis decides cellular energy metabolism and vulnerability to stress.,Sci Rep. 2016 Jul 26;6:30027. doi: 10.1038/srep30027.
脳の老化も食事次第で個人差が
マグネシウムは糖質過剰で不足しやすいミネラルです(下記参照↓)
食事内容により認知機能の老化の速度に個体差が出るのは、こういった栄養素による影響があるからです。
アルツハイマー病や、加齢による認知機能の低下など、はっきりとした原因が分からず、加齢のせいだとされますが、その背後には栄養要因があることを忘れないでほしいですね。
今日のポイント
マグネシウムは脳でシナプスを保護し、可塑性を強化
マグネシウムは認知機能の維持・改善に期待できそう