話題のマグテイン(L-トレオン酸マグネシウム)
脳のパフォーマンスを上げる最新のマグネシウム製剤「マグテイン、L-トレオン酸マグネシウム」について解説します。
脳に良いタイプのマグネシウム「マグテイン」が話題になってますね。
日本だと「まだそれほど」て感じですが、海外だとなかなかのスター選手扱いです。
「マグテイン」の何がすごいかというと、脳に届きやすいという点です。
マグネシウムは、脳のシナプスを保護するなど、脳内で重要な働きをしていることは以前から分かっておりました。
ところが、通常のマグネシウム製剤は、血液脳関門という脳のバリアを通過しにくいという難点があります。
当サイトでもたびたびご説明している通り、脳というのは首から下の身体とは”別に”考える必要があります。
脳はきわめて大事な臓器なので、変なもんが入って来れないよう、血管に血液脳関門(けつえきのうかんもん、blood-brain barrier、略 BBB、読み ビービービー)というバリアがあります。
ある栄養素を摂取したとしても、それが脳内に入れるかどうかは別問題なのです。
マグテイン(L-トレオン酸マグネシウム)は脳に届きやすい
通常のマグネシウム製剤は、BBBを通過しにくいため、届いたとしても末梢に止まりです。
脳の中までは届きにくい。
なんとか、脳に届かせやすいマグネシウム製剤は出来ないか?と、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、清華大学の研究チームが開発したのが「L-トレオン酸マグネシウム」
トレオン酸(threonic acid)という文字を最初に見たとき、「ああ、スレオニン(threonine、アミノ酸の一種)の錯体ね」と思ったのですが、それは間違いでした。
L-トレオン酸は、アスコルビン酸(ビタミンC)の代謝生成物とのこと。(Annu Rev Nutr. 1986;6:365-406. doi: 10.1146)
(同じ英語のつづりの理由は、「スレオニンと構造が似てたから」が理由なもよう)
ビタミンCの代謝物と組み合わせることで、脳内に入るときはGLUT(グルコースチャンネル)使うそうです。
L-トレオン酸マグネシウムを商品化した名称が「マグテイン(Magtein)」です。
マグテイン(L-トレオン酸マグネシウム)の脳への効果と副作用
マグテイン(L-トレオン酸マグネシウム)の脳への効果、これがなかなか熱い。
いずれも脳内まで届きやすいので効果が出やすいという点がミソ。
L-トレオン酸マグネシウム経口投与すると、アルツハイマー病のマウスにおいて、記憶を強化し、加齢による記憶力の低下を防ぐことができた。
Regulation of structural and functional synapse density by L-threonate through modulation of intraneuronal magnesium concentration., Neuropharmacology. 2016 Sep;108:426-39. doi: 10.1016
鉛中毒のマウスで、L-トレオン酸マグネシウムが、脳内の抗酸化酵素活性を強くした。その効果はビタミンC以上。
Activity of Catalase (CAT), ALT and AST in Different Organs of Swiss Albino Mice Treated with Lead Acetate, Vitamin C and Magnesium-L-Threonate.,November 2017Journal of Clinical and Diagnostic Research 11(11):1-4
マグテインに期待できそうなものは、
- 記憶力低下
- 認知機能向上
- 学習障害
- 不眠
- 多動
- 不安、etc.
気になる副作用ですが、1日350 mg未満(マグテイン5g相当)であれば安全で体に十分に許容されるとのこと。大量だと吐き気、嘔吐などの副作用があるかもよとのことで、この辺は他のマグネシウム製剤と同じ。
どうして「マグテイン」を選ぶのか?使い分けのポイント
例えば、「眠れない」という悩みがあったときに、その問題が過緊張で「身体が緩まないから」という理由なら普通のマグネシウム製剤でオッケー。
その「身体が緩まない原因」が脳側の問題、例えば不安とか神経症などであれば、マグテインを使ってみる。
こんな感じで使い分けてみるのがよさそうです。
今日のポイント
マグテイン(L-トレオン酸マグネシウム)は脳内に届かせやすい形のマグネシウム製剤