【果糖の代謝】くだもので脂肪肝になるは間違い

「果糖の代謝は肝臓」は間違いだった

”果糖は、小腸から吸収された後、
そのほとんどが門脈から肝臓へ直行、
肝臓で代謝されて、全身へ回らない。

果糖は血糖値も上げにくいし、
インスリン分泌を刺激しない代わりに、

肝臓をフォアグラ状態にするよ、
中性脂肪、コレステロール上げて
高脂血症になりますよ”

・・というのが通説だったのですが、

実は”果糖は肝臓で代謝される”は
間違いだった!という論文を読みました。

というか、果糖の代謝っていままで
誰も詳しく調べてなかったらしい。

The Small Intestine Converts Dietary Fructose into Glucose and Organic Acids

「果糖の代謝は小腸で行われる」

果糖に放射性のタグをつけて、
食べたあとどこでどうなるか?
マウスで詳しく調べてみたら、
果糖のほとんどは小腸で
酵素(ケトヘキソキナーゼ)
によってぶどう糖に代謝される。

ただ、この処理能力は限界があり、
適度な果糖なら問題ないけど、
大量の果糖だと、あぶれてしまう。

そうなると、あぶれた果糖が
肝臓へ行くか、もしくは大腸へ
向かうため、腸内細菌へ
影響を与えているとのこと。

この”適度な量”はどれくらいか?
というと、果物に由来する量なら
肝臓に到達することはほぼなし、

あと、小腸で果糖を代謝する酵素は、
食事をすることで発現が約30倍に
上昇するらしい。

つまり、食後は果糖の処理能力が
上がるってことです。

和食文化における会席の水菓子は理にかなっている

日本料理の会席では最後に出る
デザートのことを「水菓子」と言います。

水菓子とはフルーツのこと。
今では慣習的に羊羹などを指す
こともあるようですが、
本来は「水菓子=フルーツ」です。

 

”食後に少量のフルーツ”
実はこれ生理学的に正しい、
理にかなった食文化ということ。

先人たちの知恵というのか、
長い時間をかけて育まれた食文化って
こんな感じであとあと科学的に正しいことが
証明されることが多いですね。

異性化糖の大量摂取は阻止すべし

何が身体によくないかというと、
果糖は果糖でも、大量の果糖が
一気に消化管に流れ込むのが
良くないわけです。

清涼飲料水が脂肪肝を育て、
腸内環境を悪化させるという点は
従来の解釈と一ミリも相違ありません。
(詳しい機序は不明ながら事実は事実)

 

遺伝子組み換えのトウモロコシから
作った人工的な「異性化糖」である
果糖がたっぷり含まれた、
ジュース、スポーツドリンク、
健康飲料、乳酸菌飲料、etc.

これらの人工的な果糖と
新鮮なフルーツに含まれる果糖を
イコールで考えるのは、そもそも
無理があるということは、
もはや説明不要でしょう。

くだものは身体によいか?悪いか?

糖代謝の講義では、
「果糖がなぜ良くないか」という
テーマについて話すとき、以前は
「果糖は肝臓に直行で脂肪肝の元」
と説明しておりました。「肝臓に直行」
の部分は間違いです。訂正します。

 

セミナー時に「先生、果物は
身体によくないでしょうか?」
と聞かれるのは、
栄養系セミナー講師あるあるですが、

その質問に対する答えは、
「食後にデザートとして
季節の恵みを味わうのは
全く悪くないです。
ポリフェノールやビタミンなど
自然の恵みはむしろプラス。」
という回答をすることには
以前と同じ、変わりありません。

 

加えて、本論文により、
「食後はくだものの果糖を代謝する
酵素ケトヘキソキナーゼ(KHK)の
小腸における発現が大幅に増える」
という知見が新たに増えたので
説得力がやや強化されました。

空腹時に清涼飲料水をゴクゴク・・は最悪

これをベースに考えると、
空腹時の清涼飲料水って
いかに最悪かが分かりますね。

あふれた果糖が肝臓へ行って
中性脂肪になって脂肪肝へ。
血糖コントロールが危うい体質になり
疲労体質になるしメンタルもイカれる。

あぶれた果糖は消化管の奥へ進み、
腸内細菌をフィーバーさせて
腹部膨満感など腸の不具合へ。

あと、果糖が全身の血液中に
”果糖”として存在することは
あまりないのですが、これも
大量の果糖だとあぶれます。

果糖はぶどう糖の600倍も
AGEを作りやすいので糖化が進んで老けます。

 

「食事前にフルーツ」という
ナチュラルハイジーンで推奨される健康法。

少量の果物を食べる程度なら
消化酵素の補給という意味で
プラス作用が無くもないですが、

”スムージーにして一気飲み”
なんて清涼飲料水と同様の功罪
でありそうなことは容易に想像できます。

やはり、どんなに健康に良い
と言われる食習慣でも、
長い歴史上定着しないことには、
それなりの理由があると
思ったほうがよさそうです。

 

フルーツの果糖は特に問題なく、
特に食後は良い。
良くないのは清涼飲料水、
ジュースなどの人工的な
「大量の果糖」であるという
なんの新鮮味もない結論でしたが、

これから夏本番、くれぐれも
空腹時のスポーツドリンク、ジュース
健康ドリンク系、アイスクリーム、
などなど体調不良の元凶なので
お控えいただくよう留意してください。

 

今日のポイント

・自然な量の果糖はほとんどが
小腸で代謝されぶどう糖になる

・異性化糖に含まれるような
小腸の処理能力を超える量の果糖では
肝臓、腸内細菌への影響が考えられる。

・食後は小腸で果糖を代謝する酵素
ケトヘキソキナーゼの発現が増える。

 

この記事が気に入ったら 「いいね !」 してくれるとうれしいです

Twitter で