脂肪肝とインスリン抵抗性
脂肪肝だと、低血糖症の可能性が高くなる。その理由を説明します。
栄養療法で脂肪肝の有無をチェックするのは重要。
なぜかというと、低血糖症があるかどうかの一つの推測材料だから。
脂肪肝があれば、インスリン抵抗性のリスクは高くなります。
インスリン抵抗性を予測するには内臓脂肪よりも、脂肪肝が有用
Fatty Liver Has Stronger Association With Insulin Resistance Than Visceral Fat Accumulation in Nonobese Japanese Men.,J Endocr Soc. 2019 May 20;3(7):1409-1416.
糖尿病でも肥満でもない、健康な日本人男性87人を調査。以下4つのグループに分けてインスリン抵抗性を調査した結果、
- 内臓脂肪なし・脂肪肝なし 54名
- 内臓脂肪あり・脂肪肝なし 18名 ←インスリン抵抗性まあまあ
- 内臓脂肪なし・脂肪肝あり 7名 ←インスリン抵抗性特大!
- 内臓脂肪あり・脂肪肝あり 8名 ←インスリン抵抗性大
なんと!もっともインスリン抵抗性が大きかったのは、(4)脂肪肝のみ のグループだったという結果です。
内臓脂肪が無くて、脂肪肝だけの状態が一番インスリン抵抗性を生じているという事実。
腹回りの内臓脂肪は、脂肪滴をたっぷり含んだ炎症物質を出します。もはや内分泌臓器。
なので内臓脂肪がインスリン抵抗性を生じるのは想像に容易いのですが、実は肝臓の脂肪の方が影響が大きいようです。
脂肪肝の人は、インスリンの効き目が悪いので、ジャブジャブ放出されたインスリンが、急激に血糖を下げている可能性が高い。
血糖値が急激に上昇、急激に下降。これは低血糖症の典型的なパターンです。
脂肪肝があれば、グリコーゲンが切り出せない
脂肪肝ありだと低血糖を起こしやすい理由のもう一つは、肝グリコーゲンと糖新生。
脂肪肝があれば、グリコーゲンが溜められないし、使えません。
もちろんですが、こちらもお忘れなきよう。
特に低血糖を起こしやすくなるのは睡眠中です。こちらの記事で詳しく書きました↓
脂肪肝とインスリン抵抗性
脂肪肝の有無は低血糖があるかどうかの目安になります。
インスリン抵抗性があれば、太りやすくなるけど、やせ型でも脂肪肝の方はけっこういらっしゃいます。
低血糖症は、まだまだ世間的には認知度が低く、パニック症やうつ病、不眠症など、心療内科に流れるパターンが多いので、当サイトでもシツコク書いてます。
やせ型、検診結果はA判定でも、脂肪肝があるかどうかは簡単に見分けられます。
皮下脂肪タイプのぽっちゃりさんよりも、標準体型、もしくはやせ型で脂肪肝の場合、血糖調節障害は見逃されやすいです。
内臓脂肪のみならず、脂肪肝単独でインスリン抵抗性が生じやすくなっていること、覚えておきましょう。
今日のポイント
- 太っていなくても脂肪肝ありはインスリン抵抗性を生じているリスクが高い