【サプリメントの選び方】ビタミンE「天然型」は何が違うのか?

ビタミンEサプリメントの使用例

 

ビタミンEのサプリメントでの補充
を考えるのは以下の2つのケースです。

① コレステロールの酸化防止

② 酸化ストレスによる溶血

ひとつひとつ見ていきます。

 

① コレステロールの酸化防止

コレステロールが栄養素なのは周知のとおり。
採血データでコレステロールが高いのは
栄養リッチということで、~220程度なら
むしろ好ましいのですが、

問題は使われなかったコレステロールが
あぶれている場合。

 

活性酸素の影響で酸化型コレステロールとなれば、
血管内皮のLOXというタンパク質と結びつき
タンパク質の機能を損失させて
動脈硬化のリスクが上昇してしまいます。

なので、使われない野良コレステロールが
血管中で増加している場合は、
あぶらの抗酸化物質であるビタミンEの出番。

(本当の根本原因潰しは
コレステロールを使えるように、
野良から飼い犬へ調教することだけど)

 

② 溶血の場合

赤血球は、製造工程で脱核するため
真ん中がふわりと凹んでおり、
複雑な形をした細胞です。

赤血球は身体を折りたたむようにして
狭い毛細血管の中へ入っていく都合上、
’折りたたみやすい形’である必要があるわけです。

 

この複雑な形を維持するため、
細胞膜のあぶらの成分のクオリティが
とても重要になります。

赤血球はヘム鉄を介して酸素を運ぶという
仕事をしており、酸化ストレスとは隣り合わせ。

 

しかも、核が無いということは、
普通の細胞なら量産できる
グルタチオンやSOD酵素など、
タンパク質原料の抗酸化物質を
新たに作ることが出来ません。

抗酸化物質が在庫切れを起こしやすい
という特徴があるので、細胞膜が
酸化の影響をもろに受けやすいのです。

 

赤血球の酸化ストレスが上昇すると、
「溶血」と言って、赤血球の寿命が
短くなる現象が起きます。

赤血球の細胞膜の主成分たる「あぶら」が
酸化ストレスの影響を受けないよう
ビタミンEの出番となるわけです。

 

溶血についてはここでも書いてますので
分かんない人は要チェック(↓)

 

ビタミンE・天然型とは何?

もともと自然界には8種類のビタミンEがあります。

αトコフェロールがもっとも代表的ですが、ほかにも
γ(ガンマ)、β(ベータ)、δ(デルタ)があります。

あと地味な存在だけど、トコフェロールの親戚に
トコトリエノールというのがあって、そっちも4種類

 

ご親戚合わせて、総勢8種類の一族郎党
これら全部を合わせて「ビタミンE」
と呼んでおります。

医療用に治療目的で使われるビタミンEは
α(アルファ)トコフェロール単体です。

これはなぜかというと、
αトコフェロール以外は
末梢血流で見つからないため。

 

他の7家族は、
肝臓で他の物質に代謝されてしまうか
どこかの細胞で使われてしまうのか、
詳細は分からないけど、とにかく
血流の中で発見されることが
ほとんどないわけです。

 

絶対量もアルファトコフェロールが
圧倒的に多いので、
「ビタミンEと言ったら
アルファトコフェロールのこと」
みたいな暗黙の了解があったりします。

 

血液を採って、その中には
アルファさんしかいないから、
他のご家族は無視していいよねー

て、

え?

んなわきゃないです。

 

例えば、治療にビタミンEを使う場合、
これは病気の治癒が目的ですから、
アルファトコフェロール単体でも
よいと思います。

 

昨日、NASH(ナッシュ・非アルコール性脂肪肝)
についてチラっと書きました(↓)

 

NASHにはビタミンEを投与することが有効である
と治療のガイドラインにも明記してあります。

エビデンスレベルはAです。つまり「効く」

これは「治療」ですから、いわば「お薬」
高濃度に抽出した成分で’効かせる’のが目的なので、
使用するのはアルファトコフェロール単体でよろし。

 

 

そうではなく「健康」を目的とする場合、
アルファ以外は仕事してない、意味ない
みたいな見方は出来れば避けたほうが賢明、

自然界に存在するからには、
何かしらお役目があるとみて
ほぼ間違いはありません。

 

例えば、利尿ホルモンの「LLU-α」は
γ(ガンマ)トコフェロールが原料です

(利尿効果があるので浮腫みに良いと
サプリメントでも販売されてます)

 

他にも、例えば
δ(デルタ)トコフェロールは
脂肪細胞の褐色化の分化促進に
関わっていることが分かっていたりします。

Promoting Effect of α-Tocopherol on Beige Adipocyte Differentiation in 3T3-L1 Cells and Rat White Adipose Tissue

 

存在は地味なんですが、
トコトリエノール一家も
皮膚の線維芽細胞の老化を防ぐ作用があるらしい。

Gamma-tocotrienol modulation of senescence-associated gene expression prevents cellular aging in human diploid fibroblasts

 

てな感じで、アルファ以外も
地味に仕事を持ってます。

アルファトコフェロールだけが
ビタミンEじゃあない。

治療目的以外、つまり健康維持で
ビタミンEサプリメントを使う場合
アルファばっかり過剰になっては
他のビタミンEと競合しないか?とか
個人的にいろいろ考えちゃうわけです。

 

ビタミンEサプリメントの選び方

ナウのビタミンE

これはα(アルファ)トコフェノールのみです。
というわけで、脂肪肝(NASHなど)や
溶血の治療には使えそうです。

Now Foods, ナチュラル E-400、ソフトジェル 250粒

 

こちらは私が愛用しているビタミンE
α、γ、β、δの4種類のミックスです。
粒が小さいので高齢の実母にも飲ませやすい。
(ちなみにカントリーライフの親会社はキッコーマン)

Country Life, ナチュラル E-コンプレックス、400 IU、90 ソフトジェル

 

上記2つを比較した場合に、
健康メンテナンスで長期的に摂るなら
天然に近いカントリーライフ、

コレステロール酸化や脂肪肝など、
治療改善目的ならα単体仕様のナウ
と区別できると思います。

 

より完璧な天然型を求める場合、
トコトリエノール一家もバッチリ網羅した
フルスペクトラム型というのがあります。

これはちとお高いですが、
より完璧を目指す方には
こちらが選択肢となります。

Olympian Labs Inc., ビタミンEコンプリート、ソフトジェル60粒

 

「治療」目的と「健康」目的で栄養素を
使い分けるとき、天然型かどうか?
が選択眼となります。

ビタミンEひとつとっても色々あります。

「やだー。なにー。めんどくさーい」
という方は、ビタミンEの王様
アーモンドと鰻で日々補充を怠りなく。

今日は以上です。

 

 

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