福岡伸一先生『生物と無生物のあいだ』
福岡伸一先生『生物と無生物のあいだ』再読しました。
1度目に読んだときよりも、心が震えるほど面白かったのは
たぶん自分のタンパク質に対する理解のレベルが深くなったのだと信じたい。
この本のメインテーマは「生物とはなにか?」ですが、
その主流には「生物にとってタンパク質とはなにか?」が綿々と語られています。
お恥ずかしながら栄養療法の患者となるまで、
タンパク質の重要性が全く理解できていませんでした。
その後、分子栄養学を学び、
現在は栄養カウンセラーとして仕事をしておりますが、
いろいろな方の症状を改善する方法というのは、
いかにタンパク代謝のよい身体にするかという点、
これがほぼ100%です。
逆に言うと、
タンパク代謝が低下することが体調不良の始まりであり、
「栄養状態が良い」身体とは、
イコール「タンパク質の状態が良い」身体ということ。
タンパク質の正体は何か?に迫る科学者たちが
この本の主人公なのですが、
その舞台は分子レベル細胞の中です。
これがもう萌え萌えポイントですよ!
分子栄養学を学ぶ人なら興奮せずにはいられないことでしょう。
あと、普通の栄養学、科学者の書いた本と決定的に違う点がありまして、
それが福岡先生独特の表現力にあります。
例えば、
私が「タンパク質&糖質」セミナ―でお話している
タンパク質の消化について、
「タンパク質の消化はたいへん身体にとって重労働なんですよ!
なぜなら牛肉のステーキ食べても、それは牛さんのDNA情報を持ったお肉なんです、
いったんパラパラに分解して、人間の設計図(DNA)に組み立て直す必要があるのですよ、
だからタンパク質はたくさん食べればよいってもんじゃないのよ!」
といつも熱く説明しておりますが、
これが福岡先生の手にかかるとこうなります。
生物は、その消化プロセスにおいて、
タンパク質にせよ、炭水化物にせよ、
有機高分子に含まれているはずの秩序をことどとく分解し、
そこに含まれる情報を
むざむざ捨ててから吸収しているのである。
なぜなら、その秩序とは、
他の生物の情報であったものであり、
自分自身にとっては
ノイズになりうるものだからである。
し、しびれる・・・
普通の栄養学の本が街角のバーのハイボールなら、
福岡先生の本は、
リッツカールトンホテルの最上階ラウンジで味わうシャトーラトゥール。
1ページ1ページ、
単なる科学的な知識を深めるに終わらない日本語の深い味わいがあり、
読み終わると、必ずまた再読を誓う本であります。
分子栄養学実践講座に通う方、
今期から通い始めた方はとりあえず買って積読。
2クール目以降の方は必読ですよ。