ビタミンCの飲み方が間違っている人
みなさんご存じのとおり、ビタミンCは風邪に効きます。
「風邪をひいたらビタミンCを飲んでます、でもあんまり効かないんですよね~。」という方に、
よくよく聞いてみると、まったくもって飲み方が間違っていることが多いです。
ある方は某大手ドリンクメーカの●●レモンを飲んでいたり(←ギャグかと思いました)
またある方は300㎎程度のビタミンCを1日一回飲んで終わりだったり。
それはただビタミンCを飲んでるだけであって「効かせる」ための飲み方ではありません。
ポイントを押さえないと効かないですよ。
なぜビタミンCで風邪が治るのか
まず、そもそもなぜビタミンCで風邪が治るのか。
免疫細胞はビタミンCの要求がとても大きい細胞です。
免疫細胞の代表が白血球です。
風邪のばい菌が身体に侵入してくると、白血球がこれをやっつけます。
白血球が血液中で敵に向かって突撃していく様子、これを白血球の「遊走(ゆうそう)」と言います。
顕微鏡で白血球の様子を観察すると、血中のビタミンC濃度が上がるに従って、白血球が活発に動き始めます。
白血球の遊走性が高まるので、いち早く敵(ばい菌)に追いついて捕獲、ムシャムシャ食って退治してくれるというわけ。
風邪を治したいときの正しいビタミンCの飲み方
どんな栄養素でも同じですが、一度に飲んで吸収される量には限度があります。
1回に飲むビタミンCの量についてですが、これは実験結果が出ておりまして、
500mg 飲むと、400mg 吸収されます(吸収率80%)
1,000mg 飲むと、750mg 吸収されます(吸収率75%)
2,000mg 飲むと、500mg 吸収されます(吸収率25%)
つまり1回の量が増えるほどに吸収率が悪くなり、一番効率が良いのが 1,000mgという結論です。
では、次に1日にどれくらいの量を飲めば、白血球が喜んでくれるのでしょう?
血液中に取り込まれたビタミンCは、水溶性ですから素早く全身にいきわたりますが、すばやく排泄されていきます。
だいたい3時間後に一番血中濃度が高くなって、6時間するともとに戻ります。
3時間おきにビタミンCを補給してやれば、血中濃度が低下し始めるタイミングで次の供給が行われます。
血中濃度を高く保つためには、1,000mgを3時間おきに摂るのが重要。
血液中にいつでもビタミンCが利用できる「ダイナックフロー」状態(下記参照▼)にしておくということですね。
こんな感じでビタミンCを補給すると、1日あたり8,000mg ~ 10,000mgのビタミンCを飲むことになります。
「そんなにたくさん飲んで大丈夫?」と聞かれそうですが、むしろこの量がないと風邪には効きません。
ビタミンCを合成できる動物の場合
動物は自分でビタミンCを作ることが出来ます。
例えば、ヤギは1日あたりだいたい 6,000mg~12,000mgのビタミンCを体内で合成しています。
病気になるとヤギは自家合成するビタミンCの量を増やします。
その量、なんと1日あたり10万mg
普段のおよそ10倍です。
病気の時はそれくらいのビタミンCが必要になるということです。
なので「風邪を治す」という目的がある場合、1日に1,000mg程度のビタミンCではお話になりません。
風邪菌に対抗できる量、それは普段の10倍、1万mg程度必要ということ。
ちなみに、がん細胞に効かせる場合はさらに増えて 10万mgです。
こうなると、経口摂取ではとうてい間に合わないので点滴で入れます。
風邪に効かせるビタミンC・まとめ
栄養素の量で効果を出すこと、これを「ドーズレスポンス」と言います。
水溶性のビタミンはドーズレスポンスが重要で、
ビタミンCを風邪に効かせる場合は、
3時間おきに1,000mg
これがファイナルアンサー。
このビタミンCによる風邪の撃退法、エビデンスもあります。
1,000mgのビタミンCを1時間おきに6回、その後は適当に3回飲んだら、風邪の症状が85%減少したとのこと。
ちなみに日本でビタミンCを調達する場合は、日本薬局方がベストです
【追記】
それでもビタミンC療法で風邪が治らないという方、
副腎疲労を疑ってみては?
副腎という臓器は、免疫細胞よりもビタミンCの要求が大きいのです。
血液中のビタミンCを1とすると、白血球が80倍、副腎が150倍の濃度、
副腎の方が2倍もビタミンCを強く要求しますので、白血球に回るはずのビタミンCが横取りされてるのかも・・