ドーパミン代謝に必要な栄養素
脳内伝達物質は大きく分けて、セロトニン系(調整・情動)、GABA系(抑制・安定)、ドーパミン系(やる気・興奮)の3つです。
このうちドーパミンの代謝に必要な栄養素を復習します。
・チロシン(アミノ酸)からドーパミンの前駆体となる「L-ドパ」に代謝される際、必要となる補酵素が葉酸、鉄、ナイアシン
・L-ドパからドーパミンに代謝される際に必要な補酵素はビタミンB6
・ドーパミンからノルアドレナリンに代謝される際に必要な補酵素が銅
また、大腸炎を起こす腸内細菌の一種である「クロストリジウム」が、ドーパミンからノルアドレナリンへの代謝を阻害することがわかっているとのこと
ややこしいので図にまとめるとこんな感じ
これらの事実から、ドーパミン代謝のアンパランス(多動、落ち着きがない、依存症、衝動的、集中力欠如)の背景にあるものは以下が推測されます。
・腸内細菌の悪化(ビタミンB群は腸内の善玉菌が生成するため)
・貧血(鉄不足)
・抗生物質の乱用などによるクロストリジウム属の細菌感染
・銅の過剰
ドーパミン代謝の異常時
脳内伝達物質は過剰でも不足でも問題があります。
ドーパミンが不足する症状は、うつ病、パーキンソン病、不安感
ドーパミンが過剰な場合は、多動症、依存症など
例えば、多動症の人の便検査をすると、腸内細菌が悪化しているケースが多い。
腸内細菌が、ドーパミンからアドレナリンへの代謝を妨げるためです。
亜鉛、モリブデンの相対的な不足による銅が過剰となった場合、これは下記で書いたとおり、ドーパミンからアドレナリンへの代謝が進むので、暴力的、衝動的な症状が出ます。
例えば、身長が急激に伸びる成長期、身体では大変な亜鉛の需要が発生します。
亜鉛不足になるので、ドーパミンは低下、アドレナリンが上昇。
思春期に、わけもなく不安感が強くなって、暴力的になるパターンはこれですね。
注意欠損は栄養不足かも?
上記は、自閉症、発達障害、うつ病といった病態に対する分子栄養学的な理解の一部を紹介でしたが、日常的な情緒、感情も栄養状態が大きく関係しています。
例えば、
・人の話を集中して聞くことができない、約束を忘れる、うっかりする
・忘れっぽいため、物をよく無くす、注意力不足で怪我が多い
・衝動的、思ってもみないことを口にして人を傷つける
・依存症がある
これらは一生治らない性格ではなく、実は栄養素からのアプローチで改善することが可能な場合が多いです。
というのも、上記は全部、過去の私の症状だったからです。笑
特に「忘れっぽさ」はひどかったです。
一番すごかったのは、留学から一時帰国した際に、成田空港のトイレにパスポート、財布など全財産が入ったミニバックを置いたまま帰ったことがありました。(なんと空港の案内所に拾得物として届けられていました。日本スゴイデスネ・・)
日常生活のヒヤリハット、うっかりミスが減った点は、栄養療法の副産物でした。
人間の行動・感情を決めるのは脳内の神経伝達物質です。
神経伝達物質の代謝には栄養素が重要な役割をします。
実際に人が変わったようになるケースを目の当たりにすると、栄養素と脳の関係はたいへん深いと実感してます。