攻撃的・衝動的な人の栄養状態とは?【銅と亜鉛のアンバランスが起こる時】

攻撃的な人は銅過剰と亜鉛不足

間欠性爆発障害という心の病気があります。

些細な事がきっかけで怒りが爆発してしまう衝動を抑えることができない心の病気です。

攻撃的な人、衝動的な人、そういった時、脳内では何が起こっているのでしょうか?

分子栄養学の側面からは、銅と亜鉛のアンバランスが起こっていると推測します。

脳内伝達物質と銅・亜鉛の関係

栄養で精神の病を治療する方法を確率したのはウィリアム・ウォルシュ博士です。

ウォルシュ博士は刑務所の受刑者を生化学的に調査し、攻撃的・衝動的行動を起こす人には血清銅の過剰と亜鉛不足があることを発見します。

銅、亜鉛どちらも脳内神経伝達物質の生成に関わる栄養素です。

鎮静系のGABAの働きは亜鉛で促進され、ドーパミンが興奮系のノルアドレナリンに代謝される際に銅が必要になります。

本来、銅と亜鉛のバランスは同じくらいか、やや亜鉛が多いのが理想です。

しかし、多くの精神疾患の患者はこのバランスが逆になっています。

銅が多くなり、亜鉛が不足しているのです。

結果、GABAの低下、アドレナリンの過剰という脳内伝達物質のアンバランスが起こります

 

なぜ、銅と亜鉛のアンバランスは起こるのか?

普通の食事をする限り、銅が不足することはあまりありません。

逆に、亜鉛はほとんどの人が不足しやすいミネラルです。

現代には銅過剰、亜鉛不足になる理由が多く存在します。いくつか列挙します。

1, 有害金属の影響
亜鉛と水銀、カドミウムは、元素周期表の第12族に属する亜鉛族元素
水銀、カドミウムなど重金属により、亜鉛吸収が阻害される。
水銀の汚染源はアマルガム、マグロなど大型魚の水産物、カドミウムは農薬など

2, ストレス
ストレスがかかるとメタロチオネインという解毒のタンパク質が合成される。
メタロチオネイン合成に亜鉛が消耗される。

3, アルコール、飲酒
アルコールの代謝に亜鉛が消費される。

4, 食品添加物
亜鉛の吸収を阻害する

5, 環境ホルモン、避妊用ピル
エストロゲンが変動すると、血液中の銅が上昇することがわかっている

6, 農薬、殺虫剤、ケミカル物質
銅が含まれることが多い

 

亜鉛と銅は拮抗する性質があります。

つまり、血液中に亜鉛が多くある環境では、銅の吸収が抑制され、銅が多くある環境では亜鉛の吸収が抑制されます。

 

上記のように、現代では、

・銅が多くなり亜鉛の吸収が抑制される
・亜鉛が不足することにより銅がより過剰になる

この2つの条件が重なるケースがとても多いのです。

 

キレやすい、落ち着きがない、不安感、焦燥感、怒りっぽい、感情の起伏、これらは亜鉛不足、銅過剰の影響が考えられます。

その場合、以下が適応となります。

① 亜鉛を消耗する環境を排除する → 食生活の改善、ストレッサーの排除、有害重金属のデトックス
② 亜鉛を補給して過剰な銅を抑える → 亜鉛サプリメントの活用

 

亜鉛サプリメントは、過剰症を心配するケースがほとんどないため、栄養療法でもよく利用されます。

 

思春期に急に怒りっぽくなる、感情的に不安定になる、

これは身体の成長に亜鉛が大量消費された結果とも考えられます。

思春期って、亜鉛を消耗しそうな食品添加物たっぷりのジャンクフードが大好きな年齢ですしね。

 

女性は、思春期、産後うつ、更年期、生理前など、女性ホルモンが変動するタイミングでうつ症状、イライラ感、焦燥感、PMSなどが起こりやすい人にも、銅亜鉛バランスを調整することがおすすめです。

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