ここ数年、話題になる「腸脳相関」について。
気になる論文3つまとめ
腸内細菌代謝物について
腸内細菌の代謝物について調べた協業乳業と理化学研究所による共同研究。ちなみに辨野義己(べんのよしみ)先生も参加していらっしゃいます。
Impact of Intestinal Microbiota on Intestinal Luminal Metabolome
私の愛用する「LKM512」の開発チームによるもので2012年の発表。
遺伝的差のない無菌マウスと通常マウス、それぞれの腸内代謝物250種を検出。
相対的に多かった成分を赤、少なかった成分を緑にした図。
見易いように加工されてるせいもありますが、パッキーンと2別されちゃってます。
結果抜粋しますと、
・GABA(リラックス系神経伝達物質)、ポリアミン(細胞の代謝に必要なタンパク質)、プロスタグランジンE2(炎症抑制物質)などはは有菌マウスの方が多い。
・オルニチン、シトルルン、チラミンなどのアミノ酸が有菌マウスのほうが多い。というか無菌マウスではほとんど無いやん。
これらの前駆体には差がないことから、腸内細菌が作っている可能性大。
ビタミンB類など腸内細菌が作っている栄養はけっこう多いので、この辺は納得です。
・オフタルミン酸(肝臓グルタチオンの欠乏を示す酸化ストレスマーカー)は無菌マウスのほうが多いので何らかの酸化ストレス負荷がある。
腸内細菌が作る物質を単体で研究したものは今までも多かったのですが、ここまで包括的に調べたのは初めてだそう。
日本語版のダイジェストはこちら。
腸内細菌が行動・性格を決めている?
腸内細菌がいる、いないで行動はどう変わるのよ?という点。
2011年のマウスを使ったこの実験では、
Normal gut microbiota modulates brain development and behavior
無菌マウスは
・運動量が多く、大胆な行動をとる
・危険な場所への移動回数が多い
・他のマウスとコミュニケーションが取れず、非社会的行動をとった、など。
腸内細菌が行動・認知に影響していることは明らかという結論。
マウスを使ったテストはいっぱいあって、どれもこんな感じ。
腸内細菌がいたほうが、穏やかで社会性があり認知能力が高い、といった着地点がほとんど。
腸内細菌がストレスを軽減する
じゃあ人間はどうなのよ?てことでヤクルトによって最近発表されたこちらの論文が面白かった。
ストレスを感じている国家試験前の大学生に二重盲目検査を実施。
8週間、ラクトバチルス・カゼイ・シロタを継続摂取したグループとプラシーボ(偽薬)グループを比較
顕著にコルチゾール(ストレスホルモン)レベルが低下し、ストレスが減ったそう!
ヤクルトと言えばラクトバチルス・カゼイ・シロタ菌
糖質多すぎなので、ヤクルト製品はオススメ出来ないですが、明らかにラクトバチルス系(乳酸菌)がストレス軽減に貢献することは間違いないと思います。
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腸脳相関まとめ
緊張するとお腹痛くなるなど、「脳→腸」と言うのは経験的によく分かる。
実はその逆「腸→脳」も関係大アリということ。
有用菌(善玉菌)がストレスリリーフや落ち着いた性格、脳の発達・成長に関係していることは、間違いなさそう。
であれば、鬱、不安感、焦燥感、気分障害などには、有用菌(発酵食品やプロバイオティクス)を摂るということが治療法として確立されてもよさそう。
もちろん、食物繊維やレジスタントスターチなど有用菌のエサも有効ということ。
で、ここから妄想です。
例えば、先日の相模原障害者施設殺傷事件の犯人のような要注意人物は事前にアラートを発することが多い。
こういった社会的不安要素の強いサイコパスには、ビオスリーを配布、強制的に飲ませたらどうでしょう?
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心理カウンセラーの時給より安いかもしれない。
それで犯罪率減少に効果を上げたら、世界も注目。
現実的じゃないよねって言うなら、せめて心療内科や精神科医が、プロバイオティクスを処方するのが普通になるという時代が来ても良いと思います。
いやむしろ早くそういう時代になってほしいです。