不健康な「痩せ」の原因は肥満と同じ耐糖能異常であることが証明された件

不健康な痩せの背景にある耐糖能異常

まごめじゅん

痩せていても身体の中で起こっているエネルギー代謝異常は肥満者のソレと同じです。

痩せた日本人の女性(BMI18.5以下)は耐糖能異常であるという調査が、つい先日正式に論文になりました。

痩せた若い女性(BMI18.5以下)は、標準体重に比べて、耐糖能異常の割合が約7倍高い。

肥満者に生じる耐糖能異常、インスリン抵抗性、リピッドスピルオーバーが、痩せた若年女性にも起こっている

Prevalence and features of impaired glucose tolerance in young underweight Japanese women., J Clin Endocrinol Metab
. 2021 Apr 23;106(5):e2053-e2062.

簡単にまとめます。

痩せた若い女性(BMI18.5以下)は、

  • 標準体重の女性に比べて、耐糖能異常の割合が約7倍高い
  • インスリン分泌低下がある
  • インスリン抵抗性がある
  • 食事量が少なく、運動量も少ない「エネルギー低回転タイプ」
  • 骨格筋量も減少している
  • 脂肪組織から遊離脂肪酸が溢れ出ている(リピッドスピルオーバー)

痩せた人と肥満者は、同じような糖代謝異常

痩せた若い女性の身体の中で起こっていることは、肥満者のそれと全く同じインスリン抵抗性と遊離脂肪酸の増加だったということ。

これまさしく「低血糖症」そのもの。

つまり、この論文は「低血糖症」という言葉こそ使ってませんが、「低血糖症の人」を調査した結果なのです。

以前、こちらで記事にしたとおり、肥満者の糖尿病(高血糖)も、痩せた人の低血糖も、細胞レベルでみたら同じ”細胞内飢餓”が起こっています。

肥満でも痩せでも、エネルギー代謝障害であることには変わらんのですよ。

痩せた人のエネルギー代謝異常はどこで判断するのか?

こちらの論文で問題となっているような痩せ型の人は、さまざまな不調は抱えるのですが、検査で異常を指摘されることはほぼありません。

痩せの耐糖能異常を見分けやすいのは、中性脂肪の値です。

心当たりのある方はぜひチェックしてみてください。

痩せのエネルギー低回転タイプ

今回の件、”予想外の結果だった”と結論されてますが、栄養療法やってる人にはもはや既出すぎて何の新鮮味もありません。

だけど、大学の高名な博士たちが研究対象として論文にしてくれたということは特筆すべきかと。

「病気じゃないけど不健康」という訳の分からない不調を抱える人には一筋の光明。

「痩せてるし、採血データは異常なし」だと病院の先生たちでは手出しできないので、鍼灸か漢方外来に流れるしかありません。心療内科にたどり着くという地雷パターンもあります。

この論文にあるような「痩せのエネルギー低回転タイプ」が、自身の身体とうまく付き合うためには、栄養療法の知識は必須です。

ちなみに、今回の研究対象は女性ですが、男性でも同じことが起こっていることは、我々の身近な症例から確実です。

「あ、自分はもしかしたら・・・、」そう感じた痩せ型の方、ご自身の耐糖能に関心を持ってみてください。

Stand FMでも軽く話してます。音声で聞きたい方はこちらから♪ 

今日のまとめ

・痩せた人は耐糖能異常に注意せよ

  

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