自己免疫疾患・関節リウマチと亜鉛の関係

リウマチ患者の血清亜鉛

まごめじゅん

自己免疫疾患、関節リウマチの患者さんは体内の亜鉛濃度が低いという報告が多いです。

関節リウマチの症状が重いほど、血清亜鉛レベルは低下するという調査結果。

血清亜鉛レベルと関節リウマチのDASスコア(関節リウマチの症状の程度)の間には有意な反比例の関係がある

The relationship between serum zinc levels and rheumatoid arthritis activity., Frontiers in Biology 13, 51–55(2018)
血清亜鉛が低い、高いで2つのグループに分けて比較。症状が悪い人ほど亜鉛低い(68.6%)

こちらの調査でも、関節リウマチ患者と体内の亜鉛の相関を指摘しています。

毛髪の亜鉛濃度は、健康な個人と比較して、リウマチ患者で有意に低い。

血清亜鉛レベルとリウマチ患者の症状の期間は負の相関関係がある。

A Pilot Study on Zinc Levels in Patients with Rheumatoid Arthritis.,Biol Trace Elem Res. 2011 Nov; 143(2): 854–862.
  • 関節リウマチ患者は、毛髪ミネラル試験で亜鉛濃度が低い。
  • 血清亜鉛レベルが低いリウマチ患者は、症状の期間が長い。

自己免疫疾患の血清亜鉛

自己免疫疾患患者は血清亜鉛濃度が低い、というメタ解析結果も。

179件の論文を解析した結果、自己免疫疾患患者の血清/血漿の亜鉛濃度はそうでない人よりも有意に低かった。

Zinc Status and Autoimmunity: A Systematic Review and Meta-Analysis.,Nutrients. 2018 Jan; 10(1): 68

免疫と亜鉛

免疫と関連の深いミネラルと言えば「亜鉛」

「鉄」がエネルギー代謝に関係するのに対し、「亜鉛」は細胞の代謝に関係が深い。

スピードの早い精子の細胞分裂などが良い例だ。対して、TCA回路には亜鉛はあまり出てこない。そっちは鉄。

<ミネラルの働き>
鉄 → エネルギー代謝
亜鉛 → 細胞分裂、細胞の代謝

  

健全な免疫細胞の代謝には亜鉛が重要になっる。

免疫細胞がリニューアルする過程で、亜鉛不足だと出来の悪い免疫細胞になる。

投薬と炎症による低亜鉛

関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患系は、疾病期間が長く、長期で投薬されていることが多いので、その影響で血清亜鉛が下がる、という見方もできる。

それに炎症があると、血液中の亜鉛は流通量が減る。

肝細胞にある ZIP14(亜鉛輸送体)の数が増えて、細胞内に亜鉛を閉じ込め、血液中の亜鉛を低下させるためだ。Zip14・Slc39a14 mediates non-transferrin-bound iron uptake into cells.,DOI: 10.1073/pnas.0606424103

炎症があれば、血液中の亜鉛が低下して血清銅が上昇する。(炎症があるとき、血清銅は分かりやすく跳ね上がる)

つまり、血清亜鉛と自己免疫疾患の関係は、卵が先か?鶏が先か?みたいな関係かもしれない。

自己免疫疾患で投薬・炎症がある 
⇒ 血清亜鉛が低下する

血清亜鉛が低下(亜鉛不足がある)
⇒ 自己免疫疾患を発症する 

    

なんにせよ、生理学的に「健全な免疫には亜鉛」という公式は不変なので、もし自己免疫疾患の疑いをかけられたら、亜鉛は押さえておきたいところです。

栄養素のバックアップをすることで、本来の治療目的とは違うところで思わぬ効果を得られたりもしますしね。

  

今日のまとめ

関節リウマチ、自己免疫疾患患者の血清亜鉛濃度は低い

  

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