食後高脂血症とDHA

食後高脂血症

食後高脂血症をご存じでしょうか?
食後高血糖じゃないですよ。

食後に血糖値が急上昇するのが
「食後高血糖」
食後に血中中性脂肪が急上昇するが
「食後高脂血症」

 

食後高脂血症がある人は、
正常な人に比べて心筋梗塞や
心臓病、動脈硬化など
循環器系疾患のリスクが3倍
に増加すると言われています。

瞬間的であったとしても、
悪い脂質が高濃度になれば、
血管にこびりついて蓄積、
老化促進するわけです。

Evaluating the appropriate oral lipid tolerance test model for investigating plasma triglyceride elevation in mice

 

こやつが怖いのは、検診などの
採血検査では分からない点です。

空腹時採血だと正常値なので
分からないのですね。
これは食後高血糖と同じです。

糖尿病や脂肪肝、
メタボリックシンドローム、
などがあると、食後高脂血症が
起こりやすいとされています。

食後高脂血症の原因

食後高脂血症の原因は、

① 高脂肪食とそれによる炎症
② インスリン分泌不全

 

食後高脂血症の原因 その1「高脂肪食」

もっとも大きな原因は「高脂肪食」
脂肪が多い食事を続けて摂取すると
腸管粘膜が炎症をおこします。

腸管粘膜細胞の炎症によって
脂肪酸代謝(β酸化)が阻害され、
食後高脂血症が誘導されます

(なぜ炎症があるとβ酸化が止まるか、
詳しい機序は不明とのこと)

High-fat meal induced postprandial inflammation

食後高脂血症は
炎症性サイトカイン(TNF-α)
によっては悪化するという報告もあります。

Tumor Necrosis Factor-α Induces Intestinal Insulin Resistance and Stimulates the Overproduction of Intestinal Apolipoprotein B48-Containing Lipoproteins

摂取する脂肪酸の種類も関係していて、
飽和脂肪酸(ラード、ヘッド)のほうが、
オリーブオイルなど不飽和脂肪酸よりも、
食後高脂血症を誘導しやすいとのこと。

 

食後高脂血症の原因 その2「インスリン」

中性脂肪が含まれるタンパクの粒を
カイロミクロンと言います。

カイロミクロンを加水分解する酵素
「リポ蛋白リパーゼ」は
インスリンで活性が調整されるので、
インスリン抵抗性や、インスリン不十分で
食後高脂血症になる確率が上がります。

 

 

高脂肪食、炎症ときたら
インスリン抵抗性もセットなので
原因①と②は根っこは同じですね。

要は脂っこいもの、
肉食過多なお食事が続くと
腸管炎症 → 食後高脂血症の流れ。

 

「脂っこいもの食べすぎると云々」
という内容は散々既出ですが、

この基本をすっ飛ばして、
「高脂肪食で痩せる!」
といったダイエットにはまる方は
今一度冷静に知識を整理して
リスクを理解しましょう。
痩せる食事が健康食とは限らないので。

DHAは食後高脂血症を予防する

食後高脂血症を
予防する効果が高いのがDHAです。

なぜかEPAにはこの作用が
認められていません。

 

どうもDHAにはPPARγを活性化したり
PPARγ機能を改善したりする
効果があるらしいのです。

PPARγ(読み:ピーパーガンマ)は、
核内受容体の一つ。
こいつが頑張ると脂質代謝が活性化する賢い子。

 

『DHA摂取により
腸管粘膜細胞のPPARγが活性化
食後高脂血症が抑制される』

参考文献
DHA attenuates postprandial hyperlipidemia via activating PPARα in intestinal epithelial cells

 

DHAの豊富な食事は、
筋子、いくら、うなぎ、サンマなど

 

食後高脂血症、PPARγの情報については
分子栄養学実践講座のメンバーであれば、
高橋信之先生の動画講座で解説されてます。
見てない方はぜひチェックしてみてください。

 

今日のポイント

  • 高脂肪食で腸管粘膜細胞の炎症が
    誘導され、食後高脂血症をおこす
  • DHAには食後高脂血症を予防する効果がある
    EPAにこの効果は認められない。

 

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