メラトニンの抗炎症・抗酸化・免疫強化作用【コロナ関連の論文まとめ】
メラトニンとコロナ
最近出たコロナ関係の論文でメラトニンが目立ってるので、お勉強したことをいったんまとめ
・メラトニンの抗炎症作用、抗酸化作用、免疫増強作用によって、間接的な抗ウイルス作用が期待できる。
・メラトニンは「Nrf2」をアップレギュレーションし、肺、心臓の細胞を保護し治療効果を期待できる。
COVID-19: Melatonin as a potential adjuvant treatment
・メラトニンはサイトカインストームを抑制する可能性が高い。
・コロナによって活性化したマクロファージ内では、PDHK(ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ)が活性化するので、アセチルCoAが作られずメラトニンが作られない。メラトニンの抗炎症作用が期待できず、サイトカインストームが起きる。
脳以外でのメラトニンの働き
メラトニンは脳内の松果体というところから分泌される睡眠のためのホルモンです。
夜になると眠たくなるのは、メラトニンのおかげです。
でも実は全身の細胞内でメラトニンは作られていて、そっちは安眠のためではなく、抗炎症、抗酸化などさまざまな生理作用を持って働いています。
細胞内でのメラトニンの工場はミトコンドリア内。メラトニンを作るにはアセチルCoAが必要。
メラトニンの合成過程は、
トリプトファン
→5ヒドロキシトリプトファン
→Nアセチルセロトニン(NAS)
→メラトニン
(概日リズムホルモン・メラトニン合成のレドックス制御機構)
ピルビン酸から出来たアセチルCoAを利用してNASからメラトニンが作られる。
コロナ感染すると、免疫細胞(マクロファージ)内では、エネルギー産生が解糖系に偏るので、メラトニン産生がストップします。
メラトニン不足で炎症に歯止めがかからず、暴走して症状が悪化。
子供がコロナに感染しても悪化しないのは、子供のほうがメラトニン濃度が高いせい、という説もあるくらい。(子供のメラトニンは大人の10倍)
メラトニンの抗炎症効果は強力
メラトニンは「Nrf2」(読み ナーフツー)の受容体を増やし、抗炎症、抗酸化を強める。
Nrf2は遺伝子の発現を調整するタンパク質遺伝子レベルで抗酸化、抗炎症に働くと言うことは、ビタミンCのように外部補給するのとは作用点が違う分、強力で永続的な効果が期待出来ます。
コロナに関してのみならず、さまざまな感染症やがんに対して、メラトニンのポジティブな報告が目立ちます。
メラトニンの経口摂取はめだった副作用が無く安全性が高いため、ヒトで使いやすい。
効果を期待できるメラトニン量
どれくらいの摂取量で抗炎症作用が期待できるかというと、1日あたり6mgのメラトニンを8週間経口摂取すると、糖尿病の歯周病患者のIL-6、TNF-α、CRPのレベルが大幅に低下したとのこと。
わりにしょぼい量でもけっこうすごい結果です。
不眠に使う場合とさして大差ない。(睡眠に効かせる場合は寝る1、2時間前に3㎎~6㎎)
メラトニンを1日あたり1g、1か月間継続した場合でも有害な報告はなかったとのこと(ヒトでのテスト結果)
結論:【メラトニンは使える】
メラトニンは目的に応じて利用価値あり
メラトニンに関しては以前も👇で書きました。
時差ボケ用のマイメラトニン
Thorne Research, メラトン-5, 60カプセル
猫の場合は脱毛の治療にメラトニンをよく利用されるようです。
海外旅行ではあんまり時差ボケしませんが、(そもそも海外旅行するのもめったにない)、深夜に仕事し過ぎて睡眠のリズムが狂うという、パワポ作業型の時差ボケでは、たびたびメラトニンのお世話になってます。
風邪で高熱出した時とか、炎症で痛みがあって眠れない時とか、メラトニンは幅広く使えるかもしれません。メラトニンの抗炎症・抗酸化効果に引き続き注目してます。