ガス腹、膨満感、お腹が張るのはなぜ?
食後にお腹が張る人、いわゆる食後膨満感のある方は腸管内に酵母菌が増えている可能性が高いです。
自覚症状は少ないけど、触るとおなかがカチカチで固いという人もいます。
いわゆるSIBO(シーボー、腸内細菌異常増殖症候群)です。
お腹が張るときは、小腸に酵母の仲間が多く繁殖していることを疑ってください。
なぜ酵母の仲間が消化管に増えるとお腹が張るのかというと、酵母が食べ物を餌に活発に発酵し、二酸化炭素を産生するからです。
パンを作るときに一次発酵の段階で小麦を練ったパン生地に酵母を混ぜると、3~4倍のふくらみますよね。
あれは小麦グルテンの隙間に酵母が産生した二酸化炭素が溜まるためです。
酵母系の代表がカンジダ菌です。
余談ですが、カンジダ膣炎の女性が自分のオリモノから酵母発酵させてパンを焼いたという人がおります。
自分の女性器由来の酵母で天然酵母パンを作った女性、制作過程をツイッターで実況し大炎上 | BUZZAP!(バザップ!)
焼きあがったパンをツイッター公開して炎上したため、ツイートは削除されているようですが、ご自身のブログではレシピを公開し魚拓取られておりました。海外にはツワモノがおりますなぁ。
酵母やカンジダ菌は鉄が大好きな理由
大腸菌やビフィズス菌と酵母やカンジダ菌、同じ消化管内の定住菌ですが、その性質は全く違います。
大腸菌やビフィズス菌は細胞核がない「原核生物」です。
カンジダ菌や酵母の仲間は細胞核がある「真核生物」で、人間の細胞とよく似た構造をしています。
原核生物と真核生物の違いは核を持つか持たないかという点以外にも、ミトコンドリアの有無も違います。
酵母・カンジダ菌らは真核生物ですから、人間の細胞と同じようにミトコンドリアを持っています。
原核生物には細胞核やミトコンドリアがありますが真核生物にはありません。
左が原核生物、右が真核生物。
ミトコンドリアは酸素を餌にエネルギーを作ってくれるエネルギーの供給工場です。
貧血・鉄欠乏があれば、エネルギ―産生が低下して倦怠感や疲労感、冷えに悩まされますよね。
あれは細胞内のミトコンドリアに酸素を運ぶことが出来ないからです。
酸素をミトコンドリアに運ぶのが鉄、だから鉄が大事なのです。
ところが、カンジダ菌はミトコンドリアを持つ真核細胞なので酸素を餌に増殖します。
大腸菌やビフィズス菌などと違って、酵母・カンジダ菌が鉄が大好きな理由、それはミトコンドリアをもっているからです。
酵母の顕微写真です。細胞膜の中にミトコンドリア(M)があります。
※画像「微生物と香り―ミクロ世界のアロマの力」より
食後にお腹が張る、腹部膨満感があるということは、酵母やカンジダ菌が食事を餌にガスを発生させている可能性が高い。
こういった症状があるときに鉄のサプリメントを摂れば、酵母もカンジダも喜んで増殖、余計に膨満感が強くなります。
食後膨満感、ガス腹など、お腹に違和感があれば鉄サプリは飲んじゃだめなのに、いまだにこのトラップに引っかかってる人多いのですよ。とほほ。
鉄サプリは注意が必要だよって、何度も書いてるんですけどねえ↓
鉄サプリで体調不良? | ビタミンアカデミー
症状とデータから鉄欠乏があるのはすぐに分かります。
カンジダや酵母の繁殖があるということは、免疫も低下しており、甘いものを好む人が多い。ということは鉄欠乏があるということ。
しかしその背景に消化管内の酵母・カンジダ繁殖があれば、鉄のサプリメントは余計に消化管内のディスバオシスを起こして全身の機能が低下しますのでどうぞご注意ください。