グルタミンを使うときに注意すること
リーキーガットの治療にはグルタミンをよく用います。
グルタミンは、小腸の粘膜細胞のエネルギー源であり、腸の上皮細胞を増殖させる効果があるからです。
また、同時にグルタミンが免疫細胞(マクロファージ、好中球、リンパ球)のエネルギー源ともなるため、腸粘膜炎症がある場合は特に必要となります。
ところが、稀にグルタミンが合わない方がいます。
例えば、ビタミンB6不足があり酵素GADの働きが悪いと、
グルタミン酸が増加して脳を興奮させる働きがあるのはこちらで書きました▼
これ以外にも、グルタミンに注意した方がよいパターンを書いてみます。
グルタミン酸でアンモニアが発生
グルタミン酸は、GABAの原料に回る以外にもいろいろなところで使われています。
例えば、GDH(グルタミン酸脱水素酵素、glutamate dehydrogenase)という酵素の作用で、α-ケトグルタル酸になる経路があります。
グルタミン酸から α-ケトグルタル酸が作られ、その際アンモニアが付録で生成されるのです。
αケトグルタル酸、略して「αケト酸」
どこかで聞いたことがあると思ったあなたは、たぶんかなりの通ですねえ(または変態)
そう、αケト酸はTCA回路(エネルギー回路)の中間物質のひとつなんです。
「グルタミン酸 ↔ αケト酸+アンモニア」
この酵素反応は可逆的です。
可逆的という意味は、グルタミン酸から αケト酸にもなるし、αケト酸からグルタミン酸にもなる。
どっちにも変化できるということ。
通常は αケト酸からグルタミン酸を生成する方に偏っています。
ところが!
エネルギー(ATP)が不足している状況では、グルタミン酸を αケト酸とアンモニアに分解する反応が優先されます。
慢性疲労症候群のようなミトコンドリア機能が低下していると、エネルギー用に αケト酸側に持っていかれます。
この反応は有害物質であるアンモニアが発生します。
アンモニアは尿素回路へ回って、尿として排泄されますが、
もし腎機能低下がある場合はアンモニアによる影響も考慮しなければいけません。
グルタミンを使うときの注意点をまとめると、
・自閉症、発達障害、聴覚過敏などGABAのバランスに問題がありそうな場合
・ミトコンドリア機能低下(ATP不足)あり、且つ腎機能低下がある場合
私の経験では、今までお一人だけグルタミンを飲むとなんとなく調子悪いという方がいました。ほとんどいないという印象です。
自閉症や発達障害のお子さんを診ているドクター方は症例をもっと多くご存じかもしれません。
この反応はわりとわかりやすくすぐ出るので、グルタミンが合うかどうかは一回飲んでみるとよいかと思います。
ミトコンドリア機能低下が解消されてATPが作れるようになってくると、グルタミンが飲めるようになるので、
サプリメントが合う合わないというのはもともとの体質の場合もあるのですが、その時の体調にもよるという例ですね。
リーキーガットとグルタミン
グルタミンを使う場合の注意点を書きましたが、実際にはリーキーガットがあると、グルタミンは消化管粘膜であっという間に消費されるので、エネルギー回路に回ることはほとんどないらしいです。
グルタミンがリーキーガットに効いたって論文は探すとたくさん出てきます。
余談ですが、グルタミンは筋肉にも必要とされるため、マッチョなボディビルダーもよく使ってます。
アスリートに人気のDNSも、グルタミンを飲むとアンモニアが増えるからトレーニング後に飲めよと書いてますね。
私自身の腸メンテナンスに欠かせないのでグルタミンはもはや毎日の必需品、
リーキーガットの場合、消化管に効かせなきゃ意味がないので錠剤ではなくパウダーが良いと思います。
空腹時に、1日あたり5g~10g
California Gold Nutrition, L-グルタミン、AjiPure、ピュアパウダー、グルテンフリー、16オンス (454 g)
グルタミンを試してみてなんか嫌な感じって場合は、前述のような理由をにらんでみるとよいかと思います。
以上、グルタミンの注意点についてでした。