亜鉛と細胞外ATP代謝

亜鉛とATPの蜜月関係

去年見つけて萌え~だった論文のメモ

亜鉛とATP代謝の関係、
なんとATPを代謝するのに亜鉛が必要だった!
これを明らかにしたのは世界初だそう。

Zinc deficiency causes delayed ATP clearance and adenosine generation in rats and cell culture models

 

日本語によるプレスリリース

亜鉛欠乏症のメカニズムの一端を解明-亜鉛不足はなぜ、さまざまな症状を引き起こすのか-

 

エネルギー物質ATPの代謝は
ATP → ADP → AMP → アデノシンと変化する。

その時使われる代謝酵素の一つが
なんとALP(アルカリフォスファターゼ)!!

 

ALPと言えば、肝臓、骨、小腸なんかの細胞の
代謝酵素ですが、ATP代謝でも使われるとは。

 

健康診断でも出てきますよ、ALP
だいたい180ぐらいが元気な目安です。

 

お子さんは800ぐらい平気でたたき出します
大人でこのデータなら重篤な病気の暗示です。

酵素活性が強いので、補酵素となる亜鉛が
たっぷり必要とされています。

成長期はいかに代謝が激しいか、
亜鉛不足になりやすいかが良く分かりますね、

 

あと、ちょっと驚いたのが、
細胞外において、ATPとADPは炎症シグナル、
アデノシンは抗炎症シグナルに関与するということ。

 

鉄やカルシウムといったミネラルは、
血液や骨の材料となります。
なので不足するとその部分に支障が出る。

亜鉛は特定の部位の材料になるわけではない。
亜鉛はいろいろな代謝で必要となるミネラルです。

タンパク質代謝や糖代謝の、
本当にいろいろな酵素の補酵素となるため
亜鉛不足の症状は全身で多岐にわたります。

亜鉛の働きを一言で表すなら「代謝」
おい、代謝って何の代謝だよ
と突っ込まれそうですが、

とにかく身体のあらゆる物質が代謝する際の
代謝酵素で亜鉛が必要になる

亜鉛イコール代謝酵素さん大好物!と覚える。
今回のATP代謝もその例の一つ。

 

栄養療法の採血データでは血清亜鉛を計測するのですが、
血液中の亜鉛が高いからと言って、
正しく使われているとは限らない。

血清亜鉛のデータ自体は溶血なんかでも
簡単にマスキングされるし、
日内変動もあるから読み方は要注意、

要は、データが高いからと言ってオッケーじゃなく
症状や見た目(視診)と合わせて
総合的な判断が重要なのです。

 

今回勉強になったこと。
ざっとまとめ

  1. 細胞内のATPは酸化ストレスなどの要因で細胞外へ放出される
  2. 細胞外のATP代謝は ATP → ADP → AMP → アデノシン
  3. ALP(アルカリフォスファターゼ)は、ATP、ADP、AMPを代謝する
  4. ATP、ADP、AMPを分解するすべての酵素で亜鉛が必要

 

亜鉛供給源ですが、やはり植物性よりは
動物性に軍配が上がります。

実際に問診をして
動物性タンパク質をしっかり食べている人の方が
亜鉛の充足度が高い印象です。

亜鉛不足は鉄やカルシウムと違って
身体で貯蓄する仕組みがありませんから、

お食事内容がそのまま亜鉛不足の原因になります。
毎日のお食事を大切にしましょう。

 

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