心房細動と脳梗塞の関係
先日NHKの「ガッテン!」で心房細動のことをやっていました(これ↓)
【NHK・ガッテン!】巨大血栓を作らない!脳梗塞・寝たきり予防SP
脳梗塞の原因は、血栓が出来てそれが脳に回った際に脳の血管を詰まらせてしまうこと。
では、血栓の出来る原因は何か?というと、心臓の不整脈である、
特に、心臓が小刻みに震える「心房細動」である、
だから脳梗塞・血栓の予防のために脈をとる習慣をつけて、心房細動の予兆を早めに発見しましょう。
という結論でした。
番組はそれで終了だけど、私の思考は「この場合、栄養的なアプローチを行うならどうするか?」へと続く・・
職業病ですな。
心房細動の原因は何か?
心房細動の原因は何か?を考えてみます。
まず第一に考えられるのは「マグネシウム不足」です。
正確には「カルシウムとマグネシウムのアンバランス」です。
心臓の鼓動が起きる仕組みには、カルシウムが大きく関与しています。
カルシウムが細胞内に入ると「心筋を動かして次の鼓動をせよ!」というスイッチを入れる。
もうちょっと詳しく言うと、
細胞内にカルシウムが流入することで、筋小胞体に備蓄されたカルシウムが出動して筋肉が収縮する。
これが心臓の鼓動がおこる仕組みです。
心臓が収縮したら、次は弛緩。
弛緩は収縮の逆です。
細胞内からカルシウムが出ていく、お役目を終えたカルシウムが筋小胞体にお帰りになる、これで弛緩が完了。
心臓が鼓動するには、細胞の中と外に出入りするカルシウムが重要というわけ。
カルシウムが勝手に出入りしないよう、細胞膜の入り口で門番をしているのがマグネシウムです。
カルシウムが上手に働くためにはマグネシウムという相棒の存在が必ず必要。
カルシウムは骨という巨大な貯蔵庫があるので、心臓の鼓動を止めるほどに不足するということはあり得ません。
ところが、マグネシウムはストレスや発汗で容易に不足しやすい。
カルシウムは細胞外と細胞内のバランスが著しく大きいミネラルです。
細胞内を1とすると、細胞外に10,000のカルシウムが存在します。
マグネシウムが調節しているのは、10,000:1のバランスであり、2倍とか3倍とかのレベルじゃない。半端なく差が大きい。
ちょっとでもマグネシウムが不足すれば、バランスが崩れやすいというのが想像できます。
脚がつったり、腰、肩の筋肉のコリ、痛み、高血圧などは、典型的なマグネシウム不足のサインです。
「ガッテン!」で出てきた心房細動と診断されたおじさんも、最初に症状を感じたのは剣道の練習の帰りでした。
つまり発汗でマグネシウムが失われていたことが推測されます。
マグネシウム不足と不整脈・心房細動の関係に関するメタ解析
『心臓の手術の前後でマグネシウムを投与すると、不整脈・心房細動の発生が副作用なく低下する』
あっさりこういう文献が見つかるということは、すでに常識?(であってほしいよね)
マグネシウム不足をどう判断するか?
マグネシウムが難しいのは、これと言った生化学マーカーがないことです。
例えば、亜鉛であればALPや血清亜鉛の値が参考になりますが、
マグネシウムの場合「このデータがこうだから、よってマグネシウム不足」と判断できるものが存在しません。
血清ミネラルの値はほとんど参考になりません。
となると、マグネシウム不足は症状と食生活から推測するしかありません。
スポーツをしているとか、肩こりがあるかとか、副腎疲労があるとか、
食生活だと、例えば乳製品の摂取具合を問診して、多いなと感じればマグネシウム不足の可能性あり。
マグネシウムは身体の300以上の酵素反応に関与しているので、マグネシウム不足の症状は多岐にわたります。
マグネシウム不足の症状をよく熟知していなければ見逃されがちです。
不整脈はマグネシウム不足の代表例かと思われます。
分子栄養学の勉強会にいらっしゃるドクターには循環器の先生って少ないんですよね。
外科手術で治しちゃうドクターは栄養には関心が薄いのかもしれません。
不整脈や心房細動の治療にどれくらいマグネシウムが活用されているのか、聞いてみたいところです。
この番組「ガッテン!」でのテーマは、心房細動によっておこる血栓と、それが移動して起こる脳梗塞が問題とされていました。
ということは、脂質代謝を確認してLDLが高いようであれば、血栓を作らないようEPA、ナイアシン、
また、筋小胞体によるカルシウム放出には、大量のATPが使われる(全ATP量の30%)ので、当然ミトコンドリア機能の活性もテーマになると思われます。
となると、鉄不足を確認して、場合によってはCoQ10あたりが二次対応になると予想されます。
どっちにしても初動はマグネシウムです。
不整脈があればマグネシウム不足を疑ってみてください。