分子栄養学で考える「身長を高くする方法」
成長期のお子さん(中学生男子)のお母さんから「身長を高くするにはどうすればよいですか?」というご相談を受けました。
もちろん「身長を高くしたい」というのがメインの相談内容ではありません。
ご相談の最後に「あの、、ついでと言ってはなんですが」という感じです。
思わず笑ってしまったのですが、ちょっと真剣に考えてみるとオモシロイかも、と思いネタとして考えてみました。
成長期に必要な栄養素『亜鉛』
成長期は急激に骨が成長します。
骨の代謝が行われる際に大量に必要な量が増えるミネラル、それが「亜鉛」です。
亜鉛は骨代謝に密接に関連するアルカリフォスファターゼの補酵素として働きます。
アルカリフォスファターゼは、健康診断でも出てくる数値です。
通常は「ALP」と表示されています。
大人は180~200程度ですが、成長期のお子さんは 400 ~ 1,000 と高値になるのが一般的です。
もし大人でそんな高値だったら、骨粗しょう症やガンの骨転移を疑います。
お子さんのALPです。
700ぐらいは普通です。
もし大人でこれだと何かの病気を疑います。
逆に子供で300とか400程度だと、ちょっと頼りなさすぎ。
アルカリフォスファターゼがこれだけ増加するということは、大量の亜鉛の需要が発生しています。
亜鉛不足だと爪に白い斑点が出ます。
爪や髪は細胞の代謝が激しい部分、
亜鉛不足で細胞の分化に失敗して空気が入ってしまうためです。
亜鉛が豊富な食品は、牡蠣、牛肉、豚レバーや凍り豆腐など。
亜鉛がしっかり足りているか爪や髪を観察、亜鉛の豊富なお食事をとってくださいね、と回答しました。
成長ホルモンの分泌を促す「アルギニン」
身長が伸びるためには成長ホルモンのスムーズな分泌が必要です。
成長ホルモン分泌を促すのは「アルギニン」というアミノ酸
ラットの実験ではありますが、アルギニンが成長ホルモンを促進して骨の成長を促進したという文献もあります(2011,Jun)
Oral arginine improves linear growth of long bones and the neuroendocrine mechanism.
アルギニンは体内で合成されるアミノ酸ですが、成長期の子供は需要が大きいため不足しやすいといわれています。
アルギニンの豊富な食品はカツオ、しらす干し、大豆など。
深い睡眠に必要な「グリシン」
成長ホルモンが分泌されるのは睡眠中です。
睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を交互に繰り返します。
眼球運動がない「ノンレム睡眠」の中でも、「徐波睡眠(じょはすいみん)」と呼ばれるより深い睡眠の際に成長ホルモンが盛んに出ます。
この徐波睡眠(じょはすいみん)を導く効果が高いのが「グリシン」というアミノ酸です。
グリナという商品名でサプリメントにもなっています。
グリシンには睡眠を深くする効果はありますが、入眠作用はありません。
グリシンで寝つきが良くなるわけではなく、ぐっすり眠れるようになる効果があるという点に注意。
グリシンには他にも
① コラーゲンの原料は「グリシン」
② ヘム鉄の「ヘム」の原料は「グリシン」
なので、健康であるためには欠かせないアミノ酸です。
グリシンが豊富なのは、なんといってもボーンブロス。
鶏手羽スープなんて最高なんじゃないでしょうか。
もともと動物のコラーゲンに豊富なので、ゼラチンにもたくさんグリシンは含まれています。
私がタンパク質摂取の補助として、ゼラチンを使っている点はこちらでご紹介してますのでご参考ください▼
ゼラチンの主成分「グリシン」は抑制系の神経伝達物質で安眠効果あり | ビタミンアカデミー
「身長を高くするには?」まとめ
当たり前ですが、タンパク質しっかりのお食事、適度な運動、睡眠、これらはベースとしたうえで、
- 亜鉛 →骨の成長時、細胞代謝に欠かせない
- アルギニン →成長ホルモンの分泌促進
- グリシン →成長ホルモン分泌のための徐波睡眠に必要
に注目してみると良いのではないでしょうか?
100%効果が出るというわけではないでしょうが、
例えば、高くなろうとする身体の余力はあるのに、亜鉛不足で酵素不活性では機会損失であります。
どうぞよしなにご参考くださいませ。