抗酸化物質と抗酸化酵素
「マンガン」というミネラル、ご存じ?実は抗酸化に重要ですよ。
老けないためには抗酸化「抗酸化作用のある食べ物をたくさん食べなさい」とは、いまや健康にさほど詳しくない方でも知られたこと。
では、抗酸化には2種類あって、外から得られる抗酸化力と、体内で自家生産する抗酸化力があるってご存じでした?
外から得られる抗酸化力、これは食品から得られる抗酸化物質のこと。ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどが該当します。
もう一つが、体内で作られる抗酸化力。これは抗酸化酵素と言います。”酵素”ですからたんぱく質です。
代表的な抗酸化酵素がSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)です。
マンガンと抗酸化酵素
SODは、細胞の酸化ストレスを身代わり吸収するために、金属を利用します。
SODが、抗酸化力を発揮するために利用するミネラルは4種類。鉄、亜鉛、銅、マンガンの4つが確認されています。
マンガンというミネラルは、SODという抗酸化酵素になくてはならない存在なのです。
鉄、銅、亜鉛の3つのミネラルは、そこそこ知名度が高いのですが、マンガンの存在が重要度のわりに地味すぎです。
たぶん、体内での利用場所が広範囲すぎて、特徴がないからでしょうね。
意外に働き者のミネラル「マンガン」
マンガンの作用は、先に述べた抗酸化酵素の原料となる以外に、神経機能の維持や骨の形成、三大栄養素の代謝に関わります。
マンガンのはたらき ① 抗酸化作用 マンガンは抗酸化酵素の原料となる。マンガンを活性の中心とするSODは、主にミトコンドリア内で活性酸素を無害化する。 ② 神経機能の維持 マンガンは、脳や神経系に多く存在し、神経機能の維持に働く。ヘモグロビンの生成にも関与。 ③ 骨や軟骨の形成 マンガンは、骨や軟骨の形成に必要な酵素の補因子として機能し、骨粗しょう症や関節炎を予防する。骨形成のアルカリフォスファターゼはマンガンが補因子。 ④ 代謝の促進 マンガンは、タンパク質、脂質、糖質の代謝に関与。エネルギー代謝の促進や血糖値の調整に関わる。グルコース代謝のピルビン酸カルボキシラーゼなどはマンガンが補因子
面白いことに、マンガンが不足すると異性に性的な魅力を感じなくなったり、子供を虐待する傾向がでたりするというデータがあります。
マンガン不足の餌で飼育された動物は、生殖不能になり、体重減少、骨の発育不全という影響が出るそう。
植物でもマンガンは重要で、稲が病気になっても、マンガンの量が土壌中にしっかり存在すれば成長は止まらないとか。
油脂用の菜種を栽培するとき、土にマンガンを豊富だと、αリノレン酸の含有量が増加するとのこと。
マンガンは地味な小ネタ多いけど、興味をひくものばかり。
マンガンSOD酵素はミトコンドリアで働く
なぜ私がマンガンに着目しているかというと、先に述べた4つのSODという抗酸化酵素の働く場所の違いにあります。
銅や亜鉛タイプのSOD酵素は主に細胞質(細胞の中、ミトコンドリアの外)で働きます。
鉄タイプのSOD酵素は細菌に対して働きます。
マンガンを中心に持つSODは、ミトコンドリア内で働きます。(👈重要)
ミトコンドリアは、すべての生命活動の元であるエネルギーの生産に関わっていますが、活性酸素に弱いという弱点があります。
ミトコンドリアは酸素が無ければエネルギーを作ることが出来ないので、酸化ストレスの増大とエネルギーの生産量増加はバーター取引の関係なのです。
だから、食事で抗酸化酵素たっぷり摂取するのが重要になるわけですが、食事で得られる抗酸化物質は”外注”ですから、安定供給とは言えません。
でも、酸化ストレスは生きている限り常に発生しています。
供給不安定な外からの抗酸化物質を待つのではなく、ミトコンドリアの中で、即座に酸化ストレスを処理することがいかに重要か、想像に容易いかと。
つまり、マンガンを中心に持つSOD酵素が重要。
食事からの抗酸化物質は、細胞膜とミトコンドリアの膜、2つの膜を越境しなければ届かないという点もポイントです。抗酸化物質がミトコンドリアの内部まで到着するまで待ってられないとき、SODは初動部隊として働きます。
どうでしょ?
マンガン、ちょっと魅力的に思えてきたでしょ?
マンガンの豊富な食品
マンガンの摂取源は主に植物です。玄米、納豆、ゴマ、アーモンド、etc.
1食分の量だと、含有量多いのが栗。
甘栗をおやつに食べると、「マンガン」のことを思い出さずにはいられません。
みなさんも、甘栗見たら働き者のマンガンに思いをはせてみてください。