高脂肪が小腸でのフルクトース代謝を亢進する
糖代謝低下のためにはハンバーガーとジュースの組み合わせで完璧!という話(皮肉)
昨年発表されたフルクトース代謝に関する記事。
高脂肪食のマウスはフルクトース代謝が亢進、小腸でフルクトース代謝中間物質(グリセリン酸)が生成され、血中グリセリン酸濃度が高くなる。グリセリン酸を投与されたマウスの膵臓細胞ではインスリン産生β細胞が死滅する。高脂肪食+高フルクトースは膵臓細胞に損傷を与え、細胞サイズを縮小することにより、耐糖能異常を誘発する。
Glycerate from intestinal fructose metabolism induces islet cell damage and glucose intolerance
フルクトース(果糖)と言えば、”肝臓で代謝され、中性脂肪になりやすい”ぐらいの知識が入門編。
わたしが分子栄養学を学び始めた頃も、フルクトースがどうして血糖値をあげにくのか?と言えば、「小腸から門脈経由で肝臓へ直行するから」と教わりました。
今回の新しい発見は、高脂肪食と一緒にフルクトースを摂取すると、小腸でフルクトースがグリセリン酸に代謝され、血中に放出されたグリセリン酸が膵臓にダメージを与えるというもの。
フルクトースちゃんは、肝臓にたどり着けばグリセロール経由で解糖系に入るか、中性脂肪に合成されるかの運命をたどるわけですが、高脂肪というワル男と出会うことで、その運命が変わるらしい。
高脂肪食と高フルクトース、この組み合わせはめちゃくちゃ多いですよ!
例えば、ピザとオレンジジュース、ハンバーガーとコーラ、フライドチキンとペプシ、etc.
これらのセットメニューは、膵臓にダメージ与えて、糖尿になりたいなら最高のコンビネーションということ(皮肉)
豚や牛の長鎖脂肪酸、もしくはサラダ油に代表されるリノール酸、これらの脂質はインスリン抵抗性を誘導する(インスリンの利きが悪くなる)ことが分かっているから、糖の受け手側でもエラーを起こさせたうえに、(フルクトースとコンビにすることで)インスリンを作る側でも不具合作るってことです。
この機序を知ってしまったあなたは、ファミレスでお子さまランチを見て背筋が凍るはずです。
ハンバーグにエビフライ。可愛らしく盛り付けられたおかずの横には某社の乳酸菌ドリンク。
膵臓のβ細胞は新生児から思春期にかけて徐々に増えていきます。
成長期に膵臓β細胞が破壊されるとなると、成人したときにはすでに糖尿予備軍、
人生のスタート時点でインスリン分泌能不全なら、糖尿を”生活習慣病”とは呼べないよね(泣
日本人はもともとインスリン分泌の少ない民族です。
インスリンの利きが良い、つまり少ないインスリンで済むという体質を表しているわけですが、だからこそ我々日本人は「高脂肪+高フルクトース」の食事に欧米人より耐性がないということを自覚しなければなりません。
ファーストフード、食べるならドリンクは(せめて)お茶にしましょ。
まとめ
- 高脂肪食は小腸におけるフルクトース代謝を亢進、血中のグリセリン酸濃度を高め、膵細胞が縮小
- ファーストフード(高脂肪食)とジュース(高フルクトース)は糖代謝低下セット