アポトーシスとネクローシス
怪我や外傷など炎症が起こってるときは、細胞が次々壊れていきます。
細胞が壊れるとき、細胞内にある核とか、リボソームとか、小胞体とか、いわゆる「細胞内小器官」と呼ばれるものをぶちまけながら細胞が壊れていきます。
これを細胞の「ネクローシス」と呼びます。
ネクローシスは、家を破壊して、廃品もゴミもそのまま放置していくイメージです。
「ネクローシス」の反対が、「アポトーシス」です。
「アポトーシス」は細胞の自然死。
アポトーシスは、ネクローシスと違って、細胞内小器官も全て綺麗に整理整頓して死んでいきます。
アポトーシスは、後々に生まれる新しい細胞のために、自分のタンパク質などをリサイクルできるようにして死んでいくのです。(これオートファジーの一種)
アポトーシスのイメージは、身辺をきちんと片付けて、綺麗に去っていくイメージ。飛ぶ鳥跡を濁さずです。
細胞死には2種類ある ・細胞が自然に死ぬときはアポトーシス ・炎症で壊死するときはネクローシス
常に新陳代謝を繰り返している人間の身体で、アポトーシスは日々起こっています。
細胞でアポトーシスが正常に起こっているとき、生物は健康体です。
自然界のアポトーシスの例
アポトーシスの例は、身近な自然界にたくさんあります。
例えば、成長とともに、オタマジャクシの尻尾が消えてカエルになります。
オタマジャクシの尻尾の細胞が死んでいくのは「細胞のアポトーシス」が起こっているから。
広葉樹の葉っぱが秋になると落ち葉になるのも、細胞のアポトーシスが起こっているから。
炎症を早く沈静させるのは「亜鉛」
炎症があって、細胞のネクローシスが起こっているとき、細胞内にあるものを辺りにぶちまけて死んでいきます。
「ネクローシス」ですが、私は北斗の拳の「ひでぶ~!」を連想します笑
これが炎症にはちと問題あり。
細胞内にはミトコンドリアが作ったATPがたくさんあります。
細胞内にあるATPはエネルギーの運び屋ですが、細胞外ATPは炎症を起こす物質です。
「炎症が炎症を呼ぶ」という状態になりますので、細胞外ATPはすみやかに代謝されなければなりません。
細胞外ATPを代謝する栄養素は「亜鉛」です。
外傷で細胞のネクローシスが起こりまくっているときに、もし亜鉛が無ければ、炎症が炎症を呼ぶという状態で、なかなか治りません。
細胞外ATPを亜鉛が綺麗に掃除する仕組みに関しては、こっちに詳しく書いたので省略。
怪我・炎症時には亜鉛を盛れ
怪我したり、病気で手術したときには、食事でもサプリメントでも良いので亜鉛を増量しておきましょう。
傷の修復過程において、細胞分裂・細胞リニューアルの時に亜鉛は大量に使われますが、その手前の炎症を鎮める際も、亜鉛は重要な働きをしています。
怪我、炎症時には亜鉛が多く消費消費される理由 ① 細胞分裂時に亜鉛が必要 ② 細胞外ATPを代謝して炎症を鎮めるのに亜鉛が必要
入院したり、骨折や怪我など、回復過程でメンタルやられる人はけっこう多いです。
抗炎症、細胞の修復のために亜鉛がいっぱい使われちゃうせいですな。
怪我して自分の身体の自由が利かずに気分がめいり、うつっぽくなるのもありますが、それをより強くする栄養的な背景もあるのです。
亜鉛が足りないとイライラします。
動物実験で、イライラしたマウスを作るためには、マウスの餌から亜鉛を抜くのですよ(知ってた?)
亜鉛不足の方ってなぜかセルフイメージが低いんですよねぇ。これは経験則。
先日、北海道でオーソモレキュラースクールを運営する安藤先生とお話したのですが、先生曰く亜鉛の足りない人は”被害者意識”が強いと。思わず「あるある~」を連呼しました。
亜鉛不足の人の傾向 ・傷の治りが遅い ・イライラ、うつっぽい、被害者意識(経験則、ノーエビデンス)
エネルギー代謝のキーミネラルは「鉄」ですが、細胞の新陳代謝のキーミネラルは「亜鉛」と覚えましょう。
亜鉛が足りないと、炎症が炎症を呼び、傷の治りが遅くなるのでご注意ください。
怪我の回復期は亜鉛を盛ってくださいね~。
今日のまとめ
・アポトーシスは細胞の自然な死、ネクローシスは炎症、壊死
・外傷・炎症(ネクローシス)のとき、亜鉛不足では炎症が飛び火する
・怪我や手術の際、早く回復させたいなら亜鉛を盛るべし。