床ずれと亜鉛不足
今日の記事は、
昨日の「細胞外ATP」についての話を
頭に入れて読むとよく理解できます。
じゃあ、その細胞外ATPが
我々日常のどういった症状と
関係してくるのか?
ちょうどよい具体的な例が、
去年出た群馬大の論文に
ありましたのでご紹介します。
『床ずれ(褥瘡:じょくそう)は
亜鉛不足だと治りにくく
難治化しやすい』
床ずれは長時間の皮膚の圧迫で
皮膚が低酸素状態になります。
そうすると、細胞が壊れて、
ATPが細胞外へ放出されます。
細胞外へ出てしまったATPは
亜鉛が十分な環境なら
すみやかにアデノシンまで分解されます。
亜鉛不足だと、
ATP、ADP止まりです。
炎症が炎症を呼び込み、
患部がなかなか治らない
というわけです。
床ずれの患部で細胞外ATP量を
測定したところ、亜鉛欠乏状態で
増加していたことが分かった。
本件はマウスを使った実験ですが、
亜鉛欠乏マウスに、亜鉛サプリで
補充すると5日目には正常マウスと
同じ回復曲線になるとのこと。
高齢者はなぜ亜鉛不足なのか?
お年寄りはほぼ100%
と言ってよいくらい
亜鉛不足です。
理由の一つが投薬です。
これ全部亜鉛をキレートして
排泄する作用のあるお薬なのよ。
高齢者は、降圧剤や利尿剤など
とかく常用薬が多くなりがち。
無意識に亜鉛を排泄させる薬剤を
(亜鉛のバックアップ無しに)
ずっと飲み続けているケースが多々あります。
ドクターは
”病気の専門家”ではあるのですが、
”栄養の専門家”ではありません。
高齢者がいらっしゃるご家庭は、
自主的に亜鉛不足に気配りを
されると良いと思います。
今日のポイント
・治りにくい床ずれ(褥瘡)は
亜鉛不足が原因の一つ。
・高齢者は常用薬の影響で
亜鉛不足の状態になりやすい。