サプリメントの前にやらなければならないこと
昨日は、初回コンテンツ『サプリメントの選び方』でした。
たくさんの方にご参加いただき感謝です。
ありがとうございました。
そこで言い忘れたことがあるので補足しときます。
質疑応答で、ナイアシンのコレステロール低下作用について
回答したとき、大事なことを言い忘れました。
LDLコレステロールを低下させたいとき
まず最初にトライするのはナイアシンではありません。
まずやるべきは毎日のお食事で
水溶性食物繊維を増やすことです。
当ブログで何度も言っておりますが、
LDL(いわゆる悪玉コレステロール)の行先の8割は胆汁酸です。
胆汁がしっかり作られるためには
古い胆汁をしっかり排泄することです。
胆汁は消化液のようなもので、腸管に分泌されます。
古くなった胆汁は排泄されますが、
腸の動きが悪いと、うまく排泄されません。
結果、新しい胆汁が作られないので、
あぶれた原料(LDL)が血中にダブついてきます。
コレステロールの在庫を貯めないように
しっかり腸を動かしてやらねばならない。
そのとき重要なのが水溶性の食物繊維です。
便のカサを増やすのは不溶性の食物繊維ですが、
腸の動きを良くするのは水溶性の食物繊維です。
具体的に言います。
まず「お米=白米」という概念を捨てる。
分づき米と言われる、胚芽の部分を
少量残した精米度の低いお米にします。
押し麦を2割ほど混ぜて、
麦飯にするのも良いです。
雑穀の元が販売されてますが、
それを多めに入れるでもオッケー
消化力の強い方なら玄米でもよいでしょう。
お米の品種も「コシヒカリ」より「ササニシキ」です。
出来るだけ”Crude”(クルード)なものを摂る
というのは、食品の品種にも適応します。
新しく品種改良されたものよりも
できるだけ原種に近いものを選ぶほうが
腸管には優しいです。
ササニシキ健康法についてはこちらを参照(↓)
ご飯を複合炭水化物(雑穀や麦飯、分づき米)
に変更したら、次はおかず。
おかずには必ず「海藻かキノコを入れる」
と覚えてください。
キノコはマイタケ、シイタケ、なめこ。
海藻はもずく、わかめ、昆布。
海藻かキノコ、これに野菜をプラスして
毎食必ずタンパク質と同じ量摂ってください。
見た目の量で良いと思います。
昨日の講座では、文献や論文調査の
テクニックについても伝授しました。
水溶性食物繊維とLDL低下の関係
水溶性食物繊維を摂ればLDLが下がる
と結論したメタ分析結果がざっくざっくです。
3つ探すのに5分とかかってません。
(講座受講された方はお伝えした方法で
ぜひ練習にやってみてください。)
Cholesterol-lowering effects of dietary fiber: a meta-analysis
Cholesterol-lowering effects of oat β-glucan: a meta-analysis of randomized controlled trials.
で、今度はナイアシンとLDLの関係を調べた論文を
同じように調べてみてください。
確かに調査報告はありますが、
報告されたRCTメタ分析の数は
水溶性食物繊維を調べた結果よりも
圧倒的に少ないことに気付きましたか?
という感じで、コレステロール低下に
絶対に効果があるのはナイアシンよりも
水溶性食物繊維という結論が出ます。
私のところにご相談に見えられる方は
「コレステロール高いからナイアシンは飲んでるけど
水溶性食物繊維の摂取はさほど気にしてない」
という方が圧倒的に多いです。
「分子栄養学実践講座で
ナイアシンを摂ればLDLが下がると聞いた、
じゃあナイアシン飲もう。」
と一意的に考えないこと。
何か身体の具合にアプローチをするとき
アプローチ法のピラミッドの一番下の階層は
毎日365日×3回のお食事です。
ここを最初に構築せずに
上層階へアプローチすることは
不安定なピラミッドを作ります。
「やることはまずは食事の見直し」
ここを誤らないようにご注意くださいね。
水溶性食物繊維が使えないケース
「コレステロールが高い→水溶性食物繊維」
と書きましたが、もちろんこの公式にも個体差があります。
例えば、、
気を付けなければいけないのはSIBOの方。
水溶性食物繊維の摂取が仇となることがあります。
私のところには、間違った糖質制限や
メガビタミン(特に鉄サプリ)で
腸管機能が低下してSIBOの症状を訴える方が多いです。
そういった場合は、この公式が変わってきます。
その他、コレステロールが高いと言っても
家族性なのか、生活習慣なのか、食事由来なのか、
酸化ストレスレベルの高低、または、
コレステロールの内容(VLDL、TG、HDL、LDL)
甲状腺機能によっても違ってきます。
ホモシステイン値、年齢によっては、
栄養療法で忌み嫌われるスタチンの利用も
ポジティブだと考えます。
とまあ、この辺にも個別によって状況がいろいろ。
だからこその個別のカウンセリングなわけで
それをここで書くことじゃありません。
(つーか、書けねえよ。)
ブログで書くのはざっくり一般論。何卒ご了承を。