逆流性食道炎・胃炎・胃潰瘍のためのハーブ薬「DGL」
欧米では割と有名な、潰瘍、胃炎などの治療に使われるDGLというサプリメントがあります。
リコリス(甘草)の粘膜に対する抗炎症作用を利用したもの。
ただし、リコリスに含まれる「グリチルリチン酸」には偽ステロイド様物質で、血圧を上げたり浮腫んだり、という副作用があります。
よって、リコリスからグリチルリチン酸を取り除いた脱グリチルリチン・リコリスが「Deglycyrrhizinated Licorice」、略して「DGL」です。
これだとリコリスの抗炎症作用のみを生かせます。
DGLは、日本では聞き慣れないのですが、欧米では割と一般的なハーブ系サプリメントです。
DGLが、二重盲目テストにて、消化管の潰瘍、口内炎、炎症性腸疾患に効果が認められたという調査結果。
私は胃腸の抗炎症のため、オーソ・モレキュラー・プロダクツ社のDGLを使っていました。
口の中で溶かすチュアブルタイプで、味はやや薬くさい苦甘チョコレートです。
成分は脱グリチルリチンリコリスエキス、スリッパリーエルムバーグ、マシュマロウの根のエキス、アロエベラエキス
フルクトース(果糖)、キビ糖、キシリトールの混合で甘みを足してあります。
スリッパリーエルムバーグ(Slippery Elm Bark)とは、アカニレの樹皮、日本では「ニレ茶」というそうで、アメリカンインディアンがよく使うハーブの一種。
毒素を分解し、潤滑作用によって、細胞膜の炎症を取り、保護する作用があります。
マシュマロウ(Marsh Mallow)とは、欧州で古くから利用された薬草で、口内炎、消化管や泌尿器の炎症を鎮める作用あり。和名は「ウスベニタチアオイ」、アオイ科のハーブ。
アロエベラは日本でもお馴染み、潰瘍に効果のある植物。
リコリスを中心に、胃腸粘膜に効果のあるハーブをミックスしたという感じ。
化学的なお薬というよりは完全に「薬草系」、西洋漢方ですね。
私は冷蔵庫に保管して、空腹時に舐めてました。
残念ながら、オーソ・モレキュラー・プロダクツ社の商品は、現在はiHerbでは取り扱いがなくなってしまいましたが、DGLは非常に一般的なサプリメントなので、たくさん商品化されています。
ソーン・リサーチ社のものは、リコリス、スリッパリーエルムバーグ、マシュマロウ、アロエエキスの混合
オーソ・モレキュラー・プロダクツ社と全く成分が同じです。同じOEM?
こちらはカプセルタイプなので、甘味料なしなので、オーソ社より優秀。
Thorne Research, GI-Encap, ベジタリアンカプセル60粒
最大手ナウ社は、チュアブルタイプ。
リコリスにグリシン(消化器官を補助するアミノ酸)入り。ステビアやキシリトール、ソルビトールで甘みを足してあります。
Now Foods, DGL, (De-Glycyrrhizinated Licorice Extract〈甘草エキス〉), 100トローチ
リコリスの和名は甘草(カンゾウ)です。
風邪をひいたときに飲む葛根湯のあの甘い成分です。
ハーブティーの原料としても売ってます。
量に気をつけないと、びっくりするくらい甘いです。
胃薬・胃酸抑制剤の代わりにDGL
まだ日本では馴染みが薄いDGL
DGLは漢方薬と同じなので効き目が穏やかですが、潰瘍に対する治療実績は臨床で一定の評価を得ています。
胃酸の重要性が正しく理解されていない日本では、胃炎や逆流性食道炎に、やみくもにPPI(プロトンポンプ阻害薬)が処方されたり、ガスター10のようなH2ブロッカー系胃薬が安易に利用されたり。
しかし、胃酸を抑えることは対処療法であり、根本解決にならず、むしろ胃酸が出ないことによって噴門(胃と食道の間)の筋力が衰え、よけいに閉まらなくなってしまいます。(噴門が閉じることは、胃酸が出るということの反射作用です)
胃酸の弱さ、不十分さが原因となり、全般的な栄養不足やリーキーガットなどの胃腸障害が起こりやすくなることは言わずもがな。
胃酸を抑制することだけを解決法とせず、DGLのような漢方・ハーブ系もうまく取り入れるほうが賢明です。
胃がムカつきやすい、胃炎、胃痛などがあり、毎回胃薬にお世話になるくらいなら、DGLの代替使用をおすすめします。