強烈に面白い本を読みました。
1ページ1ページがたいへん興味深い事実のてんこ盛り。図書館で借りた本ですが、再読を予定して購入。
パラダイムシフト「ピロリ菌は常在菌かも?」
胃がん・胃潰瘍の犯人とされているピロリ菌ですが、著者曰く、実はピロリ菌と人間の関係は「アンフィーバイオシス」だと。
「アンフィーバイオシス」とは、ある環境下では敵となることもあるが、基本は共存共栄し、メリットを提供し合う関係であること。それは人間社会(職場・結婚生活)と同じであると。(言い得て妙)
喘息、セルリアック病、ピーナッツアレルギーなどなど、免疫に係る多くの現代疾患が、ピロリ菌保有しているほうが発症率が低いことが、統計的に有意に証明されているそうです。
著者の考えを、無理矢理まとめると、
ピロリ菌に感染することで、抗体がつくられ、白血球マクロファージが退治しようとするが、その反応そのものは免疫の’基調’を提供しており、健全な免疫システムの一助になっていると。
藤田紘一郎先生の、おなかに回虫飼ってたほうがアレルギーもなくて健康だよという、あの理論と同じです。
失礼ながら、藤田先生の本よりはるかに理論的です。その分読みにくいですが。
ピロリ菌考察でも明らかになる胃酸の重要性
ピロリ菌は、日本だと60歳以上の8割感染しており、発展途上国だともっと割合が高いです。
もしピロリが胃がんの直接原因であれば、60歳以上は80%が胃がんか胃潰瘍になるはずですが、現実はそうではありません。
統計によると、ピロリに感染していても胃がんになるのは5%以下だそう。
ピロリ菌は、胃という強酸の環境でも生きのびるため、アルカリの分泌物を出します。
ピロリ菌が人間にとって害になるとき、それは胃が強酸状態(PH2~3)を保てなくなり、ピロリ菌の分泌物と均衡を欠いた時です。であれば、本当の敵はピロリ菌ではなく胃酸の分泌を阻害するもの、となります。
つまり、
・ストレス
・交感神経優位状態
・胃薬、胃酸抑制剤
本来の意味でのピロリ菌対策は「胃酸」がキーです。
著者のマーティン博士も胃酸の重要性について言及していました。
関連記事
「栄養不足、アレルギーは胃酸不足が原因!「塩酸ベタイン」で胃酸をサポートする」
人類と菌との共存共栄、均衡状態を崩壊させる抗生物質
腸内細菌、女性の膣内細菌、皮膚の常在細菌など
細菌の多様性により、我々は様々なメリットを享受してきましたが、抗生物質の登場により、細菌の多様性が失われ、代償として、アレルギーや橋本病、リウマチなどの難病と戦うことになりました。
抗生物質の登場により、多大なるメリットを教授してきた一方、調和してきた菌との均衡がくずれ、あらたな健康問題を引き起こしている事実。
ちなみに、マーティン博士の実験によると、抗生物質で腸内細菌の総量はあまり変化しないのですが、菌の種類と構成がごっそり変わるそうです。
抗生物質とのつきあい方は、慎重に考えたほうが良いと思います。
特に日本のような、薬を出せば出すほど薬価で病院が儲かるシステムの場合は、無駄に多く処方される可能性が大なので。
天然の抗生物質「オリーブの葉」
抗生物質をむやみに飲むのは良くないと分かった。
じゃあどうすべきなのか?
Practical Levelで代替案を考えてみます。
まず、感染症など重篤な炎症が激しく起きてしまった場合は、すみやかに抗生物質で消火活動を。そこはさらっとお世話になっておく。
それ以外の、ボヤ程度の場合は、天然の抗生物質と言われる「オリーブの葉エキス」が便利
こちらの商品
↓ ↓ ↓
Now Foods, オリーブの葉エキス, 100 ベジカプセル
これ、とても良い商品です。
あ、なんか変な菌もらってきたかも、と思ったら1~2錠。
ほとんど翌日には治ってます。
昨年、歯根治療をした際、痛みが出た時に念のためと抗生物質を処方されました。
痛みは無いので結局もらった抗生物質はゴミ箱へポイ。
代わりに、保険としてこのオリーブの葉を飲んでおきました。
順調に病巣縮小し完治しました。
オリーブの葉エキスは抗菌剤、抗生物質の代替として、色々と使えるので常備しておくと便利です。
ちなみに、溝口先生なんて、歯周病にも効くんじゃね?と歯ぐき直接に刷りこんだりしております。笑
注意点としては、
天然とはいえ、オリーブの葉は非常に優れた抗菌作用があるため、抗生物質と同じように腸内細菌に影響を与えます。
同時にプロバイオティクスで善玉菌を補充するのが望ましい。
経口摂取のプロバイオティクスも、抗生剤の影響で多くが死滅するらしいのですが、死滅したプロバイオティクスが常在菌に良い作用をすることが臨床実験で確認されています。(詳しくはまた別途記事にします)
オリーブの葉エキスを含め、抗生物質を飲まなきゃいけない場合は、プロバイオティクスの同時摂取は激しく推奨です。
結局、ピロリ菌は除菌すべきなのか?
ピロリ菌に関しては、解釈は難しいところ。
栄養療法でもピロリ抗体検査で陽性が出れば、抗生物質で除菌するのが定石です。
胃粘膜の損傷により、栄養吸収が阻害されるからです。
しかしながら、なにも症状が無く、ピロリが出す毒素に負けない胃酸と胃粘膜をもっていれば、常在菌扱いで同居させてあげるのもひとつの選択肢のような気がします。
現状、日本では「ピロリ発見、即除菌」が合言葉ですが、ピロリ菌は殺菌しなくてもよくね?的な論調のほうが世界では最新のようす。
論文(2014年、マレーシアやオランダの共同研究)では、「患者に特に症状がなければ、ピロリは放っておいたほうがメリットあるよ。」と結論しちゃってますし。
Helicobacter pylori: A Beneficial Gastric Pathogen?
除菌すべきかどうかは患者の状態によりけりで、Yes or No で答えを出す問題ではなさそう。
ただ、ひとつ確かなことは、除菌してもピロリ感染を繰り返す、もしくは、ピロリを除去すれば胃の不調が治るという人は、問題はピロリ自体ではありません。
根本原因は胃粘膜の脆弱さにあるので、
・ストレスを貯めない
・適宜塩酸ベタインで胃酸を補充する
・タンパク質の摂取で胃粘膜の再構築を図る
が正しい対処と思われ。
今年読んだ本ではトップ2に入る名著でした。
健康に興味のある人は絶対読むべし!激しくおすすめです。