ビオチンで白髪の関係を調べてみた
「白髪にはビオチンが良いと聞きました。どう思いますか?」とよく聞かれるので調べてみました。
先日のこちらの記事の反響がなかなかすごかった。
この記事のあと、「白髪にビオチンって効くんですか?」というコメント・質問をけっこうな量いただきました。
白髪にビオチンが良いという情報、いったいどこから来たんだろう?と興味本位で調べた記録です。
結論から言うと、有力ソースは見当たりませんでした。
それらしいソースはこちらの1本だけ。
若白毛のあるインド人52人を対象に、血液中のビタミンB12、ビオチン、葉酸を評価。コントロール群(白髪無し)と比較して優位に低値だった。
Prospective Analytical Controlled Study Evaluating Serum Biotin, Vitamin B12, and Folic Acid in Patients with Premature Canities., Int J Trichology. 2017 Jan-Mar; 9(1): 19–24.
インド人の若白髪の人52名集めて、血液中のビタミンB12、葉酸、ビオチンの血中濃度をしらべたら、白髪のない人よりも有意に低かったとのことです。
しかしながら内容をよく読むと、ビタミンB12、葉酸、ビオチンのうち、差が顕著だったのはビタミンB12と葉酸のほうです。
たった52名が対象で信用性が高いものとは言えません。
「ビオチン=白髪に良い」、記事はちらほら見かけるけど、どこから情報が来たのかナゾです。
ビオチンは髪・爪を丈夫にするかも
「ビオチン=白髪に良い栄養素」の信ぴょう性はかなり薄いのですが、「ビオチン=髪に良い」という情報はけっこう多いです。
例えば、『ビオチン投与で、毛髪の休止期が減少する』とか、『ビオチンサプリで爪ももろさ、柔らかさが解消する』といった感じ。
特発的な爪のもろさ、脆弱性、薄さ、柔軟性が生じた女性に経口サプリメントのビオチン、トレースミネラル、アミノ酸(特にシステイン)が有用である。
Pathogenesis, Clinical Signs and Treatment Recommendations in Brittle Nails: A Review., Dermatol Ther (Heidelb). 2020 Feb;10(1):15-27.
ビオチン(10mg /日)を投与すると、発毛率が増加、毛髪の休止期が減少する
Evaluation of biophysical skin parameters and hair changes in patients with acne vulgaris treated with isotretinoin, and the effect of biotin use on these parameters., Int J Dermatol. 2021 Mar 8. doi: 10.1111/ijd.15485.
牛の飼料にビオチンを追加すると蹄の質が良くなるというデータもありました。
ビオチンを補給された飼料で蹄の質が向上する。
Mineral composition and microstructure of the abaxial hoof wall in dairy heifers after biotin supplementation., Anat Histol Embryol. 2021 Jan;50(1):93-101.
どうやら、ビオチンはケラチン(髪・爪を作るたんぱく質)の生成と関係が深いようです。
白髪は、メラニンという黒い色素を作るメラノサイト(メラニン細胞)の休止です。髪を作るケラチンとはまた別。
ビオチンの白髪に対する作用は良く分からないけれど、どうやら、髪・爪を丈夫にする可能性が高い。
これが回りまわって”白髪に良い”となったのではないでしょうか?
ビオチンは爪・髪を作るタンパク質「ケラチン」の産生に関与していそう
髪は「ケラチン+メラニン」
髪の毛の構造ですが、透明な試験管に入った墨汁をイメージしてください。
試験管がケラチン、試験管の中の墨汁がメラニン。
白髪とは、ケラチンは作られているけど、中身のメラニンがない状態。
白髪対策とは、メラニンを作るメラノサイト(メラニン細胞)が元気になるかどうかがカギ。
メラノサイトが復活する、もしくは元気を保つ栄養素が何なのか?いまだよく分かっていない。これが現代の栄養学の限界。
結論 白髪に関係する栄養素はあまりよく分かっていない。
現状ベストな白髪対策
結局、ベストな白髪対策って、①ストレスマネジメント(★) ②栄養を届かせる の2つだと思ってて、私は天然毛のヘアブラシでブラッシングを習慣にしてます。
血行が良くなってホカホカ気持ちいい。
白髪にビオチン、この組み合わせ、私はあまり注目していませんでしたが、直接的な関係は薄そうです。
髪の毛という、生命の存続とはあまり無関係な部分であるがゆえに、いまだ解明されないナゾ多い。
されど、見た目に関わる部分なので人々の注目度は高い。もし、コントロール可能であれば、ぐっとQOLが向上する。
こういった分野にこそ分子栄養学の本領発揮なのですが、今のところは具体的な対策はなく、全体的な栄養状態を上げておくくらいが現状ベストだと思われます。
今後の研究に期待ですね。
今日のまとめ
- 白髪とビオチンの関係は不明
- ビオチンはケラチンと関係がありそう