栄養状態を低下させる「胃酸抑制剤(PPI)」とどう付き合うか?

栄養状態を低下させる「胃酸抑制剤(PPI)」とどう付き合うか?

「PPI(プロトンポンプ阻害剤)」とは、
胃酸を抑制するお薬です。

胃酸(HCL)の原料となる「H⁺(プロトン)」
を分泌する胃粘膜のポンプを阻害するので、
「プロトンポンプ阻害剤」と言います。

 

胃酸を抑制するタイプには他にもいろいろあって、
例えば、ひと昔前に大ブームになった
H2ブロッカーなんかもご親戚。

PPIは、あまたある胃薬の中でも、
その強力さにおいては頭一つ抜けてます。
胃酸を抑制じゃなくて止めちゃう感じ。

 

すごく良く効くので、みなさんよくお使いなのですが、
長期服用するとよろしくない影響の方が多くなります。

胃酸は食べ物を消化する「消化液」ですから。
消化力が弱ったら、栄養状態悪くなるっしょ。

 

栄養状態を良くするのが目的の栄養療法なので、
胃酸抑制剤はなにかと嫌われがち。

(その理由はここへんでまとめてあります↓)

胃薬・胃酸抑制剤を飲むことで生じる3つのデメリット【栄養療法が効かないケース】 | ビタミンアカデミー
胃薬で胃酸を抑えてはならない3つの理由 1. 胃酸はタンパク質の消化吸収に必要である 栄養療法の患者は、ほとんどのケースで胃酸が出ていません。 多くの人が「胃酸過多」ではなく「胃酸過少」なのです。 胃酸がよく出ないために食物の消化吸収の効率が悪く、 長期的な栄養欠損状態になり体調不良を招いているのです。 胃薬には、胃酸を抑制したり中和する成分が含まれています。 胃酸はその後の小腸、大腸で効率よく栄

 

実際にPPI(プロトンポンプ阻害剤)に関する、
ネガティブな調査結果はざくざっくの大豊作。

 

・33個の調査・研究結果のメタ解析、
調査対象は総数600万人以上、
PPI利用で肺炎になるリスクが
1.49倍に増加する。

Risk of community-acquired pneumonia with outpatient proton-pump inhibitor therapy: a systematic review and meta-analysis. (PLoSOne.2015Jun4)

 

・13万人の閉経後女性を7.8年調査、
PPIを飲んでいると骨折のリスクが
1.25倍に増加する。

Proton pump inhibitor use, hip fracture, and change in bone mineral density in postmenopausal women: results from the Women’s Health Initiative.(Arch Intern Med. 2010 May 10)

 

・PPIを服用する高齢者(2950人、平均83.8歳)は、
服用しない群(7万729人、83.0歳)に比べ、
認知症発症リスクが44%有意に上昇する。

Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia. A Pharmacoepidemiological Claims Data Analysis

 

・17万人を5年調査、PPIの長期利用で
腎機能が半分以下になるリスクが
1.28倍に増加、PPIを服用する期間が
長ければ長いほど腎臓病重症度が大きくなる。

Proton Pump Inhibitors and Risk of Incident CKD and Progression to ESRD. Am Soc Nephrol. 2016 Oct;27

 

・PPIの長期利用による影響をまとめると、

  1. 骨粗鬆症
  2. 腎障害
  3. 感染症(肺炎およびクロストリジウムディフィシル感染症)
  4. 横紋筋融解症
  5. 栄養不足(ビタミンB12、マグネシウム、鉄)
  6. 貧血
  7. 血小板減少症など

A Review of the Novel Application and Potential Adverse Effects of Proton Pump Inhibitors.

 

 

わたしのところにご相談にいらっしゃる方が
PPIを飲んでいるケースは、大きく分けて以下の3つです。

 

  1. 逆流性食道炎、GERDの治療中。
  2. お薬の飲みすぎで胃が痛いので飲んでいる。
    (特にメンタル系、痛み止め系のお薬)
  3. なんか知らんけど(胃に関する自覚症状はない)が
    処方されているので飲んでいる。
    (高齢者に多いパターン)

 

①は必要なステージです。
明らかに火消しが必要な時なので治療を優先しつつ、
治療から早く脱出できる秘策をいろいろと伝授します。

 

さて、問題は②と③のパターン。

PPIを不必要に利用されると、栄養状態が低下するので、
PPIが不要な身体にするのが大前提だけど、
対応策は個別に違うのでここでは省略。

 

では、もしもPPIの嫌いなわたくしが、
薬の乱用で胃の不快感に悩んだらどうするか?

可能な限り、胃酸を止めちゃう、
もしくは中和するタイプは
出来るだけ避けるようにしたい。

 

たぶんドクターにお願いして、
レバミピドやテプレノンなど、
胃粘膜を補強するような作用のある
お薬で代替してもらうでしょうね。

 

PPIが直接的に胃酸を抑えるのに対し、
レバミピドやテプレノンは、
胃の粘液の産生・分泌を促して
防御する効果を高めるお薬

 

「ムコスタ」という商品名の方がなじみが深いかもしれません。

 

胃粘膜の修復には、
カルノシン亜鉛(日本名プロマック)
も外せません。

亜鉛製剤(プロマック)は、
亜鉛の力で胃粘膜に保護膜を作ります。

 

アイハーブだと普通に亜鉛サプリメント
として売っております。

粘膜にはやっぱり亜鉛、
亜鉛がなければビタミンAも使えませんし。

Doctor’s Best, PepZin GI, Zinc-L-Carnosine Complex, 120 Veggie Caps

 

もちろんですが、、

  1. 良く噛む、咀嚼
    1口食べたら30回。
  2. 食事内容の見直し
    高脂肪食、加工食品を避ける
    (揚げ物、高リノール酸、トランス脂肪酸など)
    胃腸に良い食べ物をたくさん食べる。
    (キャベツ、パセリ、ブロッコリースプラウトなど)
  3. ストレス抱えない。
    胃酸駄々洩れの原因を取り除く

の3つを併用することをお忘れなく。

 

PPIからの卒業、どうやろう?
なんてお悩みの方はご参考ください。

 

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