栄養状態を低下させる「胃酸抑制剤(PPI)」とどう付き合うか?
「PPI(プロトンポンプ阻害剤)」とは、
胃酸を抑制するお薬です。
胃酸(HCL)の原料となる「H⁺(プロトン)」
を分泌する胃粘膜のポンプを阻害するので、
「プロトンポンプ阻害剤」と言います。
胃酸を抑制するタイプには他にもいろいろあって、
例えば、ひと昔前に大ブームになった
H2ブロッカーなんかもご親戚。
PPIは、あまたある胃薬の中でも、
その強力さにおいては頭一つ抜けてます。
胃酸を抑制じゃなくて止めちゃう感じ。
すごく良く効くので、みなさんよくお使いなのですが、
長期服用するとよろしくない影響の方が多くなります。
胃酸は食べ物を消化する「消化液」ですから。
消化力が弱ったら、栄養状態悪くなるっしょ。
栄養状態を良くするのが目的の栄養療法なので、
胃酸抑制剤はなにかと嫌われがち。
(その理由はここへんでまとめてあります↓)
胃薬・胃酸抑制剤を飲むことで生じる3つのデメリット【栄養療法が効かないケース】 | ビタミンアカデミー
実際にPPI(プロトンポンプ阻害剤)に関する、
ネガティブな調査結果はざくざっくの大豊作。
・33個の調査・研究結果のメタ解析、
調査対象は総数600万人以上、
PPI利用で肺炎になるリスクが
1.49倍に増加する。
・13万人の閉経後女性を7.8年調査、
PPIを飲んでいると骨折のリスクが
1.25倍に増加する。
・PPIを服用する高齢者(2950人、平均83.8歳)は、
服用しない群(7万729人、83.0歳)に比べ、
認知症発症リスクが44%有意に上昇する。
・17万人を5年調査、PPIの長期利用で
腎機能が半分以下になるリスクが
1.28倍に増加、PPIを服用する期間が
長ければ長いほど腎臓病重症度が大きくなる。
Proton Pump Inhibitors and Risk of Incident CKD and Progression to ESRD. Am Soc Nephrol. 2016 Oct;27
・PPIの長期利用による影響をまとめると、
- 骨粗鬆症
- 腎障害
- 感染症(肺炎およびクロストリジウムディフィシル感染症)
- 横紋筋融解症
- 栄養不足(ビタミンB12、マグネシウム、鉄)
- 貧血
- 血小板減少症など
A Review of the Novel Application and Potential Adverse Effects of Proton Pump Inhibitors.
わたしのところにご相談にいらっしゃる方が
PPIを飲んでいるケースは、大きく分けて以下の3つです。
- 逆流性食道炎、GERDの治療中。
- お薬の飲みすぎで胃が痛いので飲んでいる。
(特にメンタル系、痛み止め系のお薬) - なんか知らんけど(胃に関する自覚症状はない)が
処方されているので飲んでいる。
(高齢者に多いパターン)
①は必要なステージです。
明らかに火消しが必要な時なので治療を優先しつつ、
治療から早く脱出できる秘策をいろいろと伝授します。
さて、問題は②と③のパターン。
PPIを不必要に利用されると、栄養状態が低下するので、
PPIが不要な身体にするのが大前提だけど、
対応策は個別に違うのでここでは省略。
では、もしもPPIの嫌いなわたくしが、
薬の乱用で胃の不快感に悩んだらどうするか?
可能な限り、胃酸を止めちゃう、
もしくは中和するタイプは
出来るだけ避けるようにしたい。
たぶんドクターにお願いして、
レバミピドやテプレノンなど、
胃粘膜を補強するような作用のある
お薬で代替してもらうでしょうね。
PPIが直接的に胃酸を抑えるのに対し、
レバミピドやテプレノンは、
胃の粘液の産生・分泌を促して
防御する効果を高めるお薬
「ムコスタ」という商品名の方がなじみが深いかもしれません。
胃粘膜の修復には、
カルノシン亜鉛(日本名プロマック)
も外せません。
亜鉛製剤(プロマック)は、
亜鉛の力で胃粘膜に保護膜を作ります。
アイハーブだと普通に亜鉛サプリメント
として売っております。
粘膜にはやっぱり亜鉛、
亜鉛がなければビタミンAも使えませんし。
Doctor’s Best, PepZin GI, Zinc-L-Carnosine Complex, 120 Veggie Caps
もちろんですが、、
- 良く噛む、咀嚼
1口食べたら30回。 - 食事内容の見直し
高脂肪食、加工食品を避ける
(揚げ物、高リノール酸、トランス脂肪酸など)
胃腸に良い食べ物をたくさん食べる。
(キャベツ、パセリ、ブロッコリースプラウトなど) - ストレス抱えない。
胃酸駄々洩れの原因を取り除く
の3つを併用することをお忘れなく。
PPIからの卒業、どうやろう?
なんてお悩みの方はご参考ください。