胃薬で胃酸を抑えてはならない3つの理由
1. 胃酸はタンパク質の消化吸収に必要である
栄養療法の患者は、ほとんどのケースで胃酸が出ていません。
多くの人が「胃酸過多」ではなく「胃酸過少」なのです。
胃酸がよく出ないために食物の消化吸収の効率が悪く、
長期的な栄養欠損状態になり体調不良を招いているのです。
胃薬には、胃酸を抑制したり中和する成分が含まれています。
胃酸はその後の小腸、大腸で効率よく栄養を吸収するため、
食物をドロドロに溶かすという大事な働きがあります。
胃で出る消化酵素「ペプシン」は強酸の状態でなければ、
消化酵素として働けません。
ペプシンはタンパク質を消化する消化酵素、
胃酸が潤沢に出てはじめてタンパク質の消化がうまくいきます。
胃酸を抑制すれば、タンパク質の消化吸収がうまくいきません。
2. 胃酸不足はSIBOの原因になる
胃酸のもう一つの重要な役目が「殺菌」です。
十分に殺菌されなければ、
小腸でバクテリアが繁殖する確率が高くなります。
通常、胃から小腸上部は無菌の状態(実際には存在する菌もいますが特別な菌)ですが、
胃酸で十分に殺菌が行われないと、本来無菌であるはずの小腸に菌が居座ります。
これは、SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth、読み・シーボー)
「小腸内細菌過剰繁殖」という状態で、腹部膨満感や胃腸障害の原因です。
SIBOがあると、サプリメントを投与しても
細菌の栄養として横取りされることがあるので、
かえって体調不良になる可能性があります。
特にビタミンBと鉄サプリメントには注意です。
胃酸分泌能力の低下は、大腸過敏症候群や逆流性食道炎とも関係があります。
胃酸抑制剤を使うことは対処療法であって、根本治療ではありません。
3. 胃薬に含まれるアルミニウム
胃薬の困った点がもう一つ、
ほぼ100%の確率でアルミニウムが含まれています。
手元にあった漢方系の胃薬をチェックしてみました。
漢方メインでなんだか優しい効果を連想だと思ったら、
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが750mg入ってました。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムには
1000mg中150mgのアルミニウムが含まれます。
750mgのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムに
どれくらいのアルミニウムが含まれるかというと、
750mg*15%=112.5mg
100mg以上!
これはWHOの1日の許容摂取量の2倍です。
(WHOによる成人体重50kgの1日の許容摂取量は50mg)
「アルミニウムと健康」連絡協議会のホームページでは
アルツハイマー病との関係は否定しているものの、
神経毒性障害をおこすことがあると報告しています。
飲料水などから身体にとりこまれる日常生活での
アルミニウム摂取量は1日あたり 2.5~13mg
ちなみにアルミニウム鍋での調理の際、
料理に移行する量は1回あたり 4~6mgです。
厚生労働省によると「人が一生涯摂取し続けても
健康への悪影響がないと推定される許容量として、
体重1kg 一週間当たり 2mg」としています。
体重50kgの人であれば、1日約14mg、
胃薬を飲めば楽にクリアする量です。
有害ミネラルが体内に入っても、
上手にデトックスできれば問題ありません。
しかし、ミネラル輸送障害のある人は、
有害なミネラルを排泄する能力が低く、
不要なミネラルの蓄積が、亜鉛や鉄など
必要なミネラルの代謝を阻害したり、
ミトコンドリアの働きを邪魔したりなどの弊害が。
胃薬を常用している人はこのリスクを知っておくべし。
「胃薬を飲む弊害」まとめ
胃薬を使うデメリットは以下3つです。
・胃酸を抑えてタンパク質の消化能力を衰えさせる
・SIBO(ガス腹・膨満感)を招く
・有害ミネラル(アルミニウム)蓄積
日本では胃薬がとても一般的です。
日本製の消化酵素剤を探すと、
胃酸抑制剤が入っていたということがよくあります。
もともとタンパク質摂取量が少なく
胃腸粘膜が弱いために胃酸に過敏なるのですから、
胃酸を抑えれば、タンパク質の消化吸収力を低下させ、
さらに胃腸の粘膜が弱くなりかねません。
胃薬で出すぎた胃酸を抑え、一時的なすっきり感
を求めるのは対処療法の典型であり、長期的に見れば
デメリットのほうが大きくなります。
栄養療法のバイブル本、ジョナサン・ライト博士
「Why Stomach Acid Is Good for You」
米国のamazonだと200以上のレビューがつくベストセラー本なのに、
日本語版は出版されていません。
その事実自体が、日本人の胃酸に対する理解の浅さを
示しているような気がしますねぇ。
英語も平易。Kindleでも買えるので
翻訳アプリも使えますよ。