中性脂肪が低すぎる場合をどう考えるか
中性脂肪についてです。
中性脂肪が高い場合は、肥満や脂肪肝になり心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上昇しますので、健康診断でもとやかく言われ、本人も自覚をもっていらっしゃることが多い。
しかし、低すぎる場合も何かの問題を表していることが多い。
空腹時でも90程度はキープしていたいのですが、60以下、50台とか40台とか、場合によっては30台というデータを見かけます。
特に健康には弊害なしと(現状の健康診断では)みなされますので、ご本人には異常という認識がありません。
これも血糖値と同じで、やたら低いというのも実は何か別の原因があるから低いのであって、あまり良いことではありません。
中性脂肪が低い原因
中性脂肪が低くなる原因ですが、主に3つあります。
1、糖質制限をしている
2、食べる食事量(カロリー)が不足している
3、原因不明
1の場合ですが、糖質制限をガリガリやると中性脂肪が下がります。
糖質制限が成功しているかどうかはさておき、中性脂肪が低い原因がはっきりしていますのでこれはオッケーです。
2の場合も(食べなさすぎという問題点はさておき)原因として納得できますから、低くても腑に落ちます。
問題は3の場合です。
極端な糖質制限もしておらず、そこそこの食事を食べているのになぜか低い。
低い理由は何だろう?と考えるわけです。
問診をかけると、食後の眠気や日中のだるさなど、低血糖症・副腎疲労の症状を持つ方がとても多いです。
これは低血糖由来だなと推測が成り立ちます。
血糖値が下がると、最初にグルカゴンというホルモンが出ます。
さらに血糖値が下がるとアドレナリンが出ます。
中性脂肪が蓄えられている脂肪細胞にはアドレナリンの受容体(β3AR)があります。
アドレナリンをキャッチした脂肪細胞は中性脂肪を分解し、脂肪酸に作り替えてエネルギー源とします。
(ちなみに日本人の3割くらいはこの「β3AR」の遺伝子に変異があるので、そのタイプは中性脂肪がエネルギーになりにくく肥満体質らしい)
つまり、低血糖があると
1、アドレナリン濃度が上昇
2、中性脂肪が下がる
2、遊離脂肪酸が上昇
という仕組み。
アドレナリンが身体中に「エネルギー切れだー!非常事態だー!」という信号を送り、交感神経を優位にしているので、自律神経のバランスが悪い人が多いです。
怒りんぼか、落ち込み系か、メソメソ系か。人生が生き辛そうなタイプです。
もともと中性脂肪とは、糖がなくなったときに使われる貯蔵燃料としてエネルギー源です。
簡単にエネルギー切れを起こしやすいので、スタミナがありません。
そりゃメンタルにも影響出るよねって推測できるわけです。
中性脂肪と遊離脂肪酸のデータを診てみる
さて、ここで実際のデータを見てみます。
中性脂肪 88、遊離脂肪酸 0.43
やや中性脂肪低めですが問題なさそうです。写ってませんが血糖値も問題ない、そこそこ筋肉量もあって健康体。
中性脂肪 30、遊離脂肪酸 0.75
あきらかに糖代謝に異常があります。
実はこのデータ、後者は治療を始めた2012年当時の私です。
副腎疲労まっただ中。
コーヒー中毒、毎年冬はアトピーでセーターが着れなかったころです。
昔の自分のデータを診ると「よくこの人生きてるなー、頑張ってるよなー」と慰めたくなります。
アドレナリンでエンジン回してますから自覚症状がありません。
アドレナリンファイターにありがちな、ちょっとした失敗で自己嫌悪になったり、低気圧で気分が沈んだり、気分のアップダウンが激しい。
似たようなデータをカウンセリングでよく拝見する機会があるのですが、昔の自分を見ているような方ばかりですね。笑
ちなみに、前者は一緒に検査した夫さんのデータです。
甘いもの好きのスイーツ男子ゆえ若干の脂肪肝がありますが、私よりははるかに健康体でした。
当然、その他のデータ(血糖値やタンパク質の状態、ビタミンB不足、腸粘膜の状態など)と合わせた総合判断にはなりますが、
中性脂肪が低すぎる場合も副腎疲労・低血糖症を推測する手がかりになるってことです。
じゃあ中性脂肪が低すぎる場合はどうするのか?という方法論はまた別途まとめます。