グルテン中毒・カゼイン中毒について
自閉症をはじめ、副腎疲労や脳疾患など、さまざまな症状の治療において、カゼインフリー、グルテンフリーの食事指導が行われます。
理由はいろいろあるのですが、第一の目的は腸の炎症を取り除くためです。
小麦グルテンが腸粘膜を刺激し、リーキーガットを誘発することは知られていますが、乳製品のカゼインも、グルテンに負けず劣らず消化にやっかいなタンパク質であります。
二番目の理由として、脳の炎症に関与している可能性があり、除去食を行うことは治療において有効なためです。
うつ病や副腎疲労、甲状腺機能低下など、司令塔となる下垂体、視床下部から副腎のHPA軸に、なんらかのエラーが出ている症状の方は、何かしらの食品に対して中毒症状を持っていることが多く、そのトップ3が「カフェイン、グルテン、カゼイン」です。
(これに「砂糖」を加えれば4大中毒食品ですが、砂糖・糖質中毒はあまりに多くの人が該当するため、ここではあえて抜きました。)
カフェイン、グルテン、カゼイン、この3つの特徴は、いずれも脳に作用する点です。
カフェイン中毒の人は、スタバを見ると吸い寄せられるように入って行きます。
グルテン中毒の人はパン屋を素通りすることが出来ません。
カゼイン中毒の人はピザやチーズ味が大好きで止められない。
カフェインはドーパミン濃度を上げます。カフェイン中毒になる機序は、単なる薬物中毒患者とほとんど変わりません。
グルテン、カゼインも、体内でカゾモルフィンと呼ばれる麻薬様物質に変わり、中毒症状が誘発します。
グルテン、カゼインのオピオイド・カソモルフィン説を否定する論文もありますが、実際に治療する患者側を知る者としては、カゼインフリー、グルテンフリーの食事で改善することが多くのケースで明らかですし、重症の方ほど中毒症状がキツい。これは現実を知る人間としての実感です。
カゼイン対策に山羊のミルク
カゼイン対策について調べていて、山羊のミルクがなかなか良さげだったのでメモ。
山羊のミルクの利点は主に3つです。
1, 山羊ミルクのタンパク質(カゼイン)が牛ミルクより優秀
山羊のミルクのタンパク質は、牛乳よりアレルギーを起こしにくいと言われています。
カゼインにはアルファ(α)-カゼイン、ベータ(β)-カゼイン、カッパ(κ)-カゼインの3種類があり、さらに、アルファ(α)-カゼインには「アルファS1-カゼイン」と「アルファS2-カゼイン」に分かれます。
難消化性でアレルギーを誘発するのは「アルファS1-カゼイン」というタイプのカゼインで、これが牛のミルクに多く、山羊のミルクには少ない。
牛ミルクと山羊ミルク、同じカゼインでも形状が異なるのです。
ちなみに人間の母乳にはアルファS1-カゼインは含まれていません。
母乳にアレルギーの赤ちゃんって聞いたことないですよね。笑
2, 山羊ミルクの脂質は消化に良く、中鎖脂肪酸の比率が高い
山羊ミルクの脂質は脂肪の球が小さいため、消化しやすいとのこと。
対して、牛のミルクは脂肪の球(ツブ)が大きいため、絞ったままの生乳を放置すると分離します。
分離すると商品にならないので、多くの牛乳はホモナイズ処理がされています。
ホモナイズとは、牛乳中に含まれる脂肪球を細かくする処理です。
その際一緒にタンパク質も変性させるため、さらに消化しにくくなります。
あまり牛乳が身体によくないと言われる一因です。
あと、山羊のミルクの脂質は中鎖脂肪酸が多いとのこと。中鎖脂肪酸とは、ココナッツオイルに含まれる代謝しやすい脂質です。
3, 山羊ミルクは栄養価が高い
牛ミルクと比べて栄養価が高いです。特にタウリン(肝機能を高めるアミノ酸)、ビタミンA、亜鉛などが牛乳より豊富。
プレバイティクスのオリゴ糖も豊富。
牛乳のラクトースには乳頭不耐性を起こす人も、山羊だと大丈夫な場合が多いとのこと。(と言ってもラクトースフリーではないのですが)
脂質が小粒でさらっとしていて、タウリンとオリゴ糖が豊富。これは人間の母乳の特徴です。
「人間には、牛のミルクより山羊のミルクのほうが合っている」と結論している論文。
Goats’ Milk Is More Beneficial To Health Than Cows’ Milk, Study Suggests
総合的に腸に無難なのは、牛乳よりも「山羊の乳」と結論して良さげ。
FBフレンドさんに教えていただいた山羊のミルク、さっそく購入。
Meyenberg Goat Milk, メインバーグゴートミルク, ヤギの全脂粉乳、12オンス(340 g)
プロテインシェーカーで水で溶いて飲んでみましたが、ややあっさりした牛乳の味です。
この山羊のミルクで今が旬のトウモロコシのスープを作ってみました。
全く遜色ありません。むしろ、舌にまとわりつく牛乳の脂質の嫌な感じがないので、とても美味しいスープが出来ました。
粉状で牛乳より長期保存が可能なので、料理でちょっと使いたいときはむしろ便利かもしれません。
いきなりカゼインフリーだと食事制限が辛くなるので、代替品としておすすめできるなと思いました。
同じように、チーズを食べるなら山羊のチーズのほうが良いです。
いわゆる「シェーブルチーズ」、発酵したものは匂いがキツいですが、フレッシュタイプだと美味しいです。
カゼイン・グルテンフリーの食事制限が辛い場合、「食べるなら山羊」です。