レジスタントスターチがメタボ解消に効く!
レジスタントスターチ摂取で腸内細菌叢が改善し、メタボが改善したという論文です。(South Dakota State University, 2016年)
Impact of dietary resistant starch type 4 on human gut microbiota and immunometabolic functions
メタボ気味の20名を集めて、24週間の実験をしたところ、レジスタントスターチを摂ったグループは、プラシーボのグループに比較して、
・血糖値が下がった、グリコヘモグロビンが低下した!
・高コレステロールが改善した!
・腹回りの内臓脂肪が取れた!
・腸内細菌(善玉菌)が増えた!
・腸管内の酪酸を含む短鎖脂肪酸が増えた!
かなり広範囲を調べあげ、ほとんどの値が改善!というテンションの高めの報告。
レジスタントスターチって糖質ですから。
「糖質でメタボ解消」という、一見逆説的な結果なので、そりゃテンション上がりますよね。
レジスタントスターチが腸内細菌叢を改善し、炎症が取り除かれ、しかも血糖値を上げにくいので、結果的に肥満解消につながったという結論です。
レジスタントスターチとは?
レジスタントスターチとは、日本語で「難消化性デンプン」
消化酵素の影響を受けずに、大腸まで到達するため、血糖値を上げにくいという特徴があります。
大腸まで到達したレジスタントスターチは、腸内細菌の餌になるので、整腸作用あり。
特に注目なのは、酪酸菌(らくさんきん)の餌になること。
酪酸菌は、腸粘膜のPHを弱酸性に整え、腸粘膜の代謝を促し、抗炎症効果を発揮します。
リーキーガット治療には欠かせない腸内細菌です。
酪酸が抗炎症に効果的なのはよく知られた事実。
・Anti-inflammatory effects of sodium butyrate on human monocytes: potent inhibition of IL-12 and up-regulation of IL-10 production
腸内細菌の餌といえば食物繊維ですが、胃腸が弱め、もしくは炎症があると、食物繊維の多すぎる食事はやや負担になります。
その点、レジスタントスターチは食べやすくて、日常的に取り入れやすいのが良い点です。
4種類のレジスタントスターチ
栄養学的にはレジスタントスターチ(RS)には4種類あります。
RS2 非加熱のため、分子自体が消化されにくいデンプン(片栗粉、青いバナナなど)
RS3 一度加熱された後、冷めることでデンプンが再結晶、消化されにくい分子構造になったデンプン(冷やご飯など)
RS4 化学的に加工したレジスタントスターチ
上記実験に使われたのはRS4、加工小麦でした。安定・均一を優先したのかと。
インドネシアやフィリピンなど、南国では未成熟な青いバナナが入手しやすく、RS2も摂取しやすかったりします。
一般的に我々がレジスタントスターチとして馴染みがあるのは「RS3」タイプ。
冷やご飯、冷製パスタ、マカロニサラダ、ポテトサラダなどが該当します。
コンビニおにぎりはレジスタントスターチ少なめ
レジスタントスターチを調べていたら、「レジスタントスターチダイエット」と称し、コンビニのおにぎりを推奨していた美容家がおりましたが、それはちょっと異議あり。
レジスタントスターチは「ゆっくりと自然冷却される」ことで生成されます。
急激な冷却では生成されません。
コンビニのおにぎりは、ゆっくり冷却していては無駄に腐敗のリスクを増やし、生産効率も悪いため、急速冷却されるのが通常です。
また、レジスタントスターチになるデンプンは「アミロース」です。
コシヒカリやもち米のような、粘りの強い品種は、粘性の高い「アミロペクチン」が多く「アミロース」は少ないため、レジスタントスターチは生成されにくい品種。
ササニシキやインディカ米など、粘性の少ない品種が、レジスタントスターチの生成されやすいお米。それって、おにぎりには向きません。
よって、コンビニおにぎりをレジスタントスターチの摂取源としては期待するのは、かなり無理があります。
糖質過剰になるリスクのほうが高く、添加物も多い。
はっきり言って痩せませんて。笑
おすすめレジスタントスターチ食
現代は、サラッとした米飯より、粘りのある品種の方が’美味しい’ともてはやされる傾向にあります。
お米も品種改良が進み、ササニシキのような原種に近い「アミロース」の多いお米は、意識していないと手に入る機会はほとんどありません。
冷やご飯という意味では、すし飯もレジスタントスターチと解釈できそうですが、いまどきモソモソしたアミロースの多い米を使っている寿司屋は皆無でしょう。
レジスタントスターチだから冷やご飯を食べましょう、とは言えません。よって米飯は却下です。
冷製パスタやマカロニサラダは、いかんせん小麦系。小麦グルテンは腸に厳禁。はいアウト。
一番自然な形で摂れるのは、ポテトサラダじゃないかと。
マヨネーズを使ったポテトサラダが一般的ですが、私はオリーブオイルと粒マスタード、アップルビネガーとハーブで調味したマヨネーズ非使用タイプも好きです。
ちなみに、ジャガイモもレクチンの多い陰性食品なので、しっかり加熱してレクチンを失活化させることに注意が必要。
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あとは春雨サラダ。
中華風も良いけど、タイ風にヤムウンセンなどもたんぱく質、ハーブの薬効、柑橘系のビタミンCと、非常にバランスが良く好みのメニューです
葛餅もレジスタントスターチとしては優秀。
昨今の糖質制限の流行で、なにかと厄介者扱いされることの多い糖質ですが、レジスタントスターチのように、腸に良い効果を発揮する糖質というのも存在します。
だからって大量に食べても良いわきゃないですが。
腸粘膜の抗炎症に、メタボ解消に、ミヤリサンのような酪酸菌を補充しつつ、酪酸菌の餌であるレジスタントスターチを適度に食べることはかなりオススメです。