【糖新生とは?】糖新生の原料、糖新生のデメリットをやさしく解説

糖新生とは?

まごめじゅん

血糖値の安定には欠かすことの出来ない身体の仕組みの一つが「糖新生」です。

糖新生は、糖以外の物質から糖を作るプロセスのことです。

人間の身体には、絶対に「糖」が必要な臓器・組織があります。

赤血球が良い例ですね。

他にも、脳、角膜、精巣などが、糖をメインのエネルギー源として使います。

そいつらのためにも、身体は一定の糖を常時準備しておかねばならない(血糖値の維持)

その後、もしも炭水化物(糖分)を全く摂取しないとなると、10時間後くらいからグリコーゲンが枯渇し始め、24時間もするとゼロになります。

血糖がゼロになると困るので、糖以外のものから糖を作りだしてなんとかしのぎます。この仕組みが「糖新生」

糖新生が行われるのは肝臓と腎臓です。

血糖値維持のために重要なのは肝臓での糖新生。

・グリコーゲンは24時間で枯渇する
・糖以外のものから糖が作られる仕組みが「糖新生」
・糖新生は肝臓と腎臓で行われる

糖新生の材料は?

糖新生の材料は以下の3つです。

  1. グリセロール
  2. 乳酸
  3. アミノ酸

グリセロールは、脂質の部品の一部です。

中性脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸はエネルギーに変わり、グリセロールは肝臓に運ばれて糖新生の材料になります。

乳酸は、運動時に筋肉で発生します。

乳酸も肝臓に運ばれて糖新生の材料となります。これを「コリ回路」と言います。コリさん(Carl Cori and Gerty Cori)が発見した回路だからコリ回路。

アミノ酸も糖新生の材料になります。

アミノ酸、つまりタンパク質が糖に変わる。なんか変な感じですが、我々の身体では日常的に起こっている反応です。

うちらの業界で「糖新生」という言葉が使われるとき、このアミノ酸からの糖新生を指すことが多いです。

・糖新生の原料になるものは、グリセロール、乳酸、アミノ酸
・糖新生と言えば、アミノ酸からの糖新生を指すことが多い

糖新生のデメリット!?

アミノ酸を原料に糖新生が起こる場合、アミノ基(NH₂)が邪魔です。

アミノ酸がエネルギーとして使われると、アミノ基の窒素(N)からアンモニア(NH₃)が出来てしまう。

アンモニアは有毒なので、肝臓で尿素回路を使って無害な尿素に作り替えたのち、オシッコに混ぜて排泄します。

つまり、アミノ酸が糖新生の材料になるとき、ちょっとばかり余計に肝臓使うことになる。

・アミノ酸由来の糖新生でアンモニアが発生する
・アンモニアは肝臓の尿素回路で処理される

一方、糖質と脂質は、炭素(C)窒素(N)酸素(O)の3つの組み合わせで出来ています。

糖と脂質がエネルギーに変わると、最終的には二酸化炭素(CO₂)(H₂O)になります。二酸化炭素は肺から呼吸を通して出ていくし、水はオシッコで排泄する。

糖と脂質は、エネルギーとして使ったあとの燃えカスを捨てる手間が簡単なのです。

もともとエネルギー用の栄養素ではないタンパク質(アミノ酸)を糖新生の材料として使うのは、身体には多少負担がかかることを押さえておくべし。

・糖と脂質はエネルギー用の栄養素
・糖と脂質がエネルギーに使われたあとは、二酸化炭素と水になる。

低血糖で糖新生が活発に

低血糖で糖新生は亢進します。

低血糖のたびに、タンパク質をエネルギーに変えてしまうので、副腎疲労の低血糖持ちは、食べても食べてもタンパク代謝が上がってきません。

栄養クラスタが、「低血糖が、低血糖が・・」と、低血糖にやたら敏感なのは、無駄な糖新生が起きてしまうと身体の再構築が難しくなってしまうから。

そして、糖新生が起こる際に肝臓を使うことになるので身体には負担になります。

糖新生にも、尿素回路にも、結構な量のATPが使われるんだよねぇ。。

一時、糖質制限がブームになったとき、肝臓のスペックがショボそうな女子たちが体調悪くした理由は、こういった背景が絡んでいると思われ。

エネルギー代謝が健全な人というのは、糖と脂質を上手にエネルギー変換できる人。そういう人がタンパク質の状態も良いのです。

食べ物をエネルギーに変えるルートをいかに滞りなく整備するか、これが栄養療法の大原則なのです。

以上、今日は糖新生(初級編)でした。

   

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