ビタミンB6、B12摂取で、閉経後の股関節骨折のリスクが増加するというコホート研究結果をどう読むか

ビタミンB6摂取増加で、閉経後の股関節骨折のリスクが増加する

米国で閉経後の女性75,000人を
20年にわたって追跡調査した結果、
ビタミンB6、B12の摂取量が
増えるほど、股関節骨折のリスクが
上昇するという結果が出ておりました。

 

ビタミンB6の1日当たりの摂取量が
多い人(1日あたり35mg以上)の
股関節骨折のリスクは、少ない人
(1日あたり2mg未満)と比較しておよそ1.3倍、

ビタミンB12も、摂取量がおおいほど
股関節骨折のリスクが上昇してますが、
ビタミンB6の方が顕著です。

Association of High Intakes of Vitamins B6 and B12 From Food and Supplements With Risk of Hip Fracture Among Postmenopausal Women in the Nurses’ Health Study

日本語の記事
ビタミンBとり過ぎた女性 股関節骨折リスク上昇

 

ところが、これには
反対の調査結果もあります。

ビタミンBサプリの摂取により
骨質はよくなるという介入試験結果。
調査期間は1年。対象者は
65歳以上の男性6名、女性12名。

骨粗鬆症性骨折予防のためのビタミンB群による骨質低下の制御と骨強度規定因子の解析

 

理論ベースで考えると、
ビタミンB群の積極摂取は
血中のホモシステイン濃度を
下げるので、骨折リスクは低下する、はず。

実際に、血中のホモシステイン濃度と
高齢者の骨折リスクは相関関係があります。

59歳から91歳の男女2000人近くを
20年間トレースした結果、
ホモシステイン量が多い人は、
ホモシステイン量が少ない人と
比較すると、骨折リスクが
男性で4倍、女性で1.9倍高かった。

参考文献 高齢者の股関節骨折の予測因子としてのホモシステイン
Homocysteine as a predictive factor for hip fracture in older persons

 

冒頭のコホート研究は
かなり大規模なものです。

ビタミンB6、B12ということは
メチレーション、ホモシステイン、
エストロゲン代謝のうち
どれかが関係してるとは
容易に推測されます。
(もしくは全部)

 

ビタミンB6と相関が強く、
男女差を考えると、どうも
エストロゲン関係かな。

そして、摂取したビタミンB6は
おそらくピリドキシンでしょう。
となると、リン酸化型だったら
どうなんだろう?

自分の中で知識が繋がらないときは、
事実は事実として保存しておく、

ある日突然「なるほど!」という瞬間
のための引き出しは常に整理。

 

コホート研究の場合は人種の差や
生活習慣の差が激しすぎるので
超参考!というほどではなくても、
知っておきたい内容。

栄養療法ではビタミンB群は
ほぼ必須といっていいくらい、
摂取する人が多いです。

高齢女性で骨密度にリスクあり
の場合は、注意しておく感覚は
持っておきたいですね。

 

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