産後に髪の毛が抜けるのは’本当に’ホルモンバランスのせいなのか?

産後に髪の毛が抜けるのはなぜ?

知人との雑談です。
出産したときに「産後の脱毛がすごかった」
「あれってホルモンのバランスでしょ」
みたいな言い回しをしていたので、
「いやいや、それだけじゃないよ。」
という雑談の延長をブログで披露。

 

亜鉛というミネラルがあります。

亜鉛の働きはいろいろありすぎますが、
なかでも重要なのが、以下2つです。

① DNAからRNAへの転写に必要
② Zincフィンガーに必要

 

ちょっと難しいですね。
DNAからRNAへの転写というのは、
タンパク質が合成されるときの
遺伝子の読み取り方のことです。

Zincフィンガーとは、細胞分裂したり、
タンパク質が作られたりするときに
必要となるタンパク質。

あまり難しいことは考えずに「亜鉛は、
細胞が新しく作られるときに重要」
と平たく覚えましょう。

 

もし、亜鉛に詳しく知りたい方は
ワタクシの亜鉛の講義でもどうぞ。

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産後女性の血清亜鉛は低い

さて、ここで産後の女性の血清亜鉛
の値を調査した結果を見てみましょう。

Zinc and copper concentrations in breast milk and maternal serum in the postpartum period

(引用)

 

産後の母体の血清亜鉛は、
めちゃくちゃ低いのです。

産後1週間の平均値 66μg/dl
産後1か月の平均値 84μg/dl

 

通常、健康な方の血清亜鉛は
90~100μg/dlです。

こちらは健康な女性の血清亜鉛↓

 

ところで、髪の毛を作る毛母細胞は
細胞分裂がとても活発な部分です。

抗がん治療を行うと
髪の毛が抜けますよね、

がん細胞は細胞分裂が盛んです。
抗がん剤は細胞分裂が活発な
がん細胞をとっちめるお薬、
だから、副作用で髪の毛が抜ける。

 

はい、勘の良い方はもう
ピンと来たかと思います。

亜鉛は細胞分裂が活発なところで
たくさん必要とされるミネラルでしたよね?

亜鉛不足だと細胞分裂が
活発なところに影響が出る。
その一つが「毛母細胞」

 

母体は出産でたくさんの栄養素を
赤ちゃんのために引き渡します。

出産から授乳期にかけて、お母さんは
栄養の消耗がとても激しいのです。

 

赤ちゃんの身体は成長に合わせて、
猛烈なスピードで細胞分裂がすすみます。

乳児は亜鉛の需要が半端ないので、
お母さんの血液中から母乳へ
亜鉛がどんどん移行します。
(さっきの論文の主旨はこれ)

もともと母体が亜鉛不足だったりすると、
とてもじゃないけど、(自分の身体の)
細胞分裂に間に合う亜鉛が調達できない。
だから、出産後は脱毛などの症状が出ます。

 

妊娠は準備が必要です。
それはベビーベッドを買ったり、
おむつを用意したりすることじゃなく、
「母体に栄養をしっかり貯金する」
という意味です。

もちろん!産後の抜け毛はホルモンの
バランスが急激に変化することで
起こるのだと思いますよ、

でも、それだけが原因なわきゃないと、
栄養好きなワタクシなんかは
ついつい考えちゃうわけでして。

産後に起こる身体の不調の理由を
「ホルモンのバランス」の一言で
片づけずに、「栄養」という側面からも
考えてほしいなーと思う次第です。

 

今日のポイント

・亜鉛は細胞分裂が活発なところで重要
・母乳には母体の血液から亜鉛が移行する
・出産後は亜鉛不足・亜鉛欠乏状態

 

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