お酒を飲まない人の脂肪肝について
脂肪肝の方、
採血データで、ALTとASTの
逆転現象が起きているケース
飲酒の習慣もないのに、
脂肪肝のデータの場合。
なぜ脂肪肝になるのか?簡単にまとめ。
① 糖質に偏ったお食事のケース
お食事内容を伺ったときに、
甘いものが好き。炭水化物が好きな場合。
食事由来のタンパク質が不足しており、
たんぱく代謝が低下して、脂肪肝となっているケース。
原因はタンパク質不足。
コレステロールの8割が肝臓で合成されます。
コレステロールは脂(あぶら)です。
脂はお水に溶けませんから、
タンパク質のトラックに積載して
血液から全身に送り出します。
(リポタンパク質)
タンパク質不足により
運搬トラックが不足すると、
コレステロールが肝臓の細胞内に
とどまってしまいます。
また、お食事に糖が多いということは
肝臓で合成される中性脂肪も増えます。
リポタンパク質不足により、
中性脂肪も肝細胞にとどまることになります。
エコーでは分からないけれど、
明らかに脂肪が細胞内に滞って
肝臓の機能が落ちること。
これが「隠れ脂肪肝」
フォアグラの製造工場では、
ガチョウを個別の小さなケージに入れ
餌はトウモロコシを植物油で練って与えます。
本来、ガチョウは川辺に住む
昆虫や小魚、木の実などを
餌とする生き物ですが、
高糖質(トウモロコシの粉)と
クオリティの悪い脂質(精製油)を
たくさん食べさせて、
そこに運動不足をプラスすれば
フォアグラ(脂肪肝)の完成。
脂肪肝をつくるのに、
アルコールは全く必要なく
糖質過多と質の悪い油、運動不足
このセットによって脂肪肝は出来上がるのが
良く分かる例だと思います。
② サプリメントの摂り過ぎ
これも最近よく見るケースなのですが、
自己流でサプリメントをメガドーズしている方。
健康な酵素活性の上昇ではなく、
明らかに肝臓が炎症ぎみと思われます。
栄養療法への関心が高まるのは
とても嬉しいことなのですが、
サプリメントを大量摂取することが
栄養療法だと勘違いされると
違和感この上なし。
この場合、解決方法は簡単で、
不要なサプリメントを中止すれば、
数か月もすれば数値は落ち着きます。
肝臓の炎症がなぜ良くないか?
肝臓の炎症はエネルギー代謝に直接
影響するので、必ずチェックするポイントです。
低たんぱく、低栄養が著しい場合、
脂肪肝によるALTの上昇が
栄養不足による酵素代謝の低下で
マスキングされてしまうので、
お食事内容である程度推測します。
肝硬変や肝がんに発展しやすい
NASH(ナッシュ・非アルコール性脂肪肝)ではなく
繊維化や炎症には発展しない
NAFL(nonalcoholic fatty liver・ナフル、単純性脂肪肝)
こやつが問題なのは、
全く無症状なのに、エネルギー代謝には
いろいろと影響が大きいから。
脂肪肝があっては、
肝臓に糖をグリコーゲンとして
貯金することが難しくなり、
食後数時間で低血糖を起こしやすくなります。
糖新生もケトン体も、
肝臓が主な主戦場なので、
脂肪肝があってはエネルギー代謝が
大きな不利益を被ります。
脂肪肝そのものが悪いことというより
脂肪肝によって影響を受けるエネルギー代謝が問題なのです。
隠れ脂肪肝を見つけたら、食事内容と
サプリメントの摂り過ぎを疑ってみてください。