タンパク質の分画について
血液検査で調べることのできるタンパク質についてです。
血液中を流れるタンパク質には種類があって、主に「アルブミン」と「グロブリン」の2種類があります。
アルブミンは、当サイトでも何度も出てきている「輸送タンパク」で、水分や栄養、お薬の成分を運ぶトラックの役目をします。
グロブリンは分子量によって「αグロブリン、βグロブリン、γグロブリン」に分かれます。
ちなみに銅の運搬をするセルロプラスミンはαグロブリン、
鉄の運搬をするトランスフェリンはβグロブリンに分類されます。
γグロブリンは、抗体を作るタンパク質で免疫グロブリンはこの γグロブリンに分類されます。
免疫グロブリンには、IgG、IgA、IgEなどの種類があります。
アルブミンとグロブリンの比率が重要
タンパク質のしっかりした身体は健康なんですが、量があっても内容(質)が悪ければお話になりません。
タンパク質の内容とは「アルブミン」と「グロブリン」の比率で診ます。
アルブミン/グロブリン = 1.8 ~ 2.0 が健康値。
アルブミンの量がグロブリンのおよそ2倍くらい、これが良いタンパク質の比率ってことです。
調子の悪い人、特に低血糖・副腎疲労持ちは、この比率が低いことが多いです。
比率が低いということは、アルブミンが少なくてグロブリンが多いということ。
アルブミンはほとんどが肝臓で作られるタンパク質なので、アルブミンが低い人は肝機能が弱いことが多い、
肝機能が弱いってことは、イコール糖新生も難ありと推測されるから、低血糖がありそう、
じゃあ副腎疲労もあるよねと芋づる式に推測されるわけです。
炎症があるとグロブリンが上昇します。
炎症といってもCRPがスパーンと跳ね上がるような分かりやすい炎症じゃなくて、
ジワジワと身体を蝕む慢性炎症です。
代表的なところがリーキーガットがあって腸に慢性炎症がある場合。
ひところブームになりました「低アレルギー検査」ですが、あれはIgG抗体の反応を診る検査です。
リーキーガットがあってIgG抗体がたくさん出てれば、γグロブリンの値も上がるので、A/G比率は少なくなります。
低アレルギー検査って結構お高いです。
あれやるくらいだったらタンパク分画調べたほうがよくね?と私は思ったりしますが。
A/Gが低い場合
普通の健康診断だと、タンパクの分画までデータとして出ることは少ないです。
栄養療法の検査だと必ず調べます。
やっぱりあったほうがかなり参考になります。
症例その1
食後の眠気が強く、疲労感にお悩みの方。
A/G 1.53 とかなり低め、しかも γグロブリン 20.7 と高い。
リーキーガットがあって、炎症ありそう。
この方の場合、アルブミン値は 4.7 でした。
他の数値も、めちゃくちゃ低たんぱくのデータというわけではなかったので、
もしたんぱく分画のデータがなければ、見抜くことは難しかったかもしれません。
お話を伺うとお母さまがリウマチとのこと。
自己免疫疾患予防もかねて、なにはなくとも消化管ケアです。
症例その2
アトピー、副腎疲労、低血糖症、甲状腺機能低下の方
・A/G 1.3
・γグロブリン 19.6
低アレルギー(IgG抗体)検査は見事にすべての食品に反応。
ガスが多く、腸カンジダと思われる消化管のディスバイオシスがひどい方。
A/G比が 1.3 とかなり低下しています。
実はこれ、私の5年前のデータです(笑
その後、消化管ケアに専念した結果がこちら。
γグロブリンが低下(19.6 → 17.5)、
アトピーも甲状腺機能低下も改善、食後に眠いという低血糖症の症状も改善。
ここまで来るのに5年くらいかかってます。
(栄養で改善するって長期戦です、最低でも1,2年はみてください)
症例その3
じゃあ健康体ってどういう状態かというと、
高脂血症気味でやや太めですが、カンジダもなく腸に問題のない我が夫のデータがこれです。
・A/G比 1.9
・γグロブリン 13.3
γグロブリン、 A/G比、ともに理想的な数値です。
低アレルギー検査でも卵にレベルⅣくらいで他はすべてまっ平。う、うらやましい。
A/G比率、γグロブリンの注意点
γグロブリンですが、腸が荒れてて、副腎疲労やアトピーがあっても、必ずしも上昇するとは限らない、
もしくは、異様にA/G比率が高い(2.0以上)場合もあります(これはまた別途まとめます)
ただ、体調の悪い方は A/G比率は低い人がほとんどです。
運搬役の良い子「アルブミン君」が少ないってことなのでしょうね、
タンパク質の分画、気になる方は測ってみてはいかがでしょう。