高たんぱく質の食事が逆効果になるパターンを考察

高たんぱく質の食事が逆効果になるパターン

 

普段から「タンパク質大事、お肉しっかり食べましょうね」と高たんぱく質こそ人間の食事の基本であることを常に啓蒙しております。

でも、高たんぱく質の食事が弊害になるパターンがあります。

代表的な2つを書いておきます。

その1.高メチレーションタイプ

高メチレーションタイプの方には高たんぱく質なお食事が負担になる場合があります。

高メチレーションタイプとは、メチレーションという回路が回りすぎて支障が出ている人です。

精神疾患には大きく分けて5つのバイオタイプがあることを、こちらで書きました。

【精神疾患の治療における5つのバイオタイプ】低メチレーションか? 高メチレーションか? | ビタミンアカデミー
うつ病、精神疾患はバイオタイプにより治療法が変わる 分子栄養学では個体差を見極めることが重要です。 例えば、うつ病では栄養の代謝、メチレーションなどにより5つのバイオタイプに分類されます。 1. 低メチレーション型 2. 葉酸欠乏型(高メチレーション) 3. 銅過剰型 4. 有害重金属型 5. ピロール尿型(亜鉛欠乏) 例えば、一般的なうつ病の薬「パキシル」のようなSSRIと言われるセロトニンを強

 

メチレーションの一番大きな歯車「メチオニン回路」は、その名の通りメチオニンを供給する回路です。

高メチレーションの方は、メチレーションが回りすぎてメチル基が供給されすぎの状態なので、メチオニン(たんぱく質)を控える方が良いとされます。

 

ところで、タンパク質ってどこで作られるかご存知でしょうか?

細胞の中には細胞核があって、細胞核の中にたんぱく質の設計図「DNA」があります。

DNAは超重要な機密文書ですから、貸し出しは禁止、使用するときは「RNA」にいったんコピーして利用します。

「RNA」を読んでたんぱく質が作られるときに、最初に組み立てられるのが「メチオニン」

なので、メチオニンはすべてのタンパク質のスタート地点とも言えます。

 

高メチレーションタイプの方にとって、メチオニン過剰はあまり良い状態とは言えませんので、カツオやマグロ、チーズなど、メチオニンが多い高タンパクな食事は避けた方が良いとなります。

ちなみに、、高メチレーションタイプは、全体の1割~2割程度です。

一般的には圧倒的に低メチレーションタイプの方が多いです。

 

血液データでは、白血球の分画があれば、メチレーションのタイプが推測可能です。

『白血球数 × 好塩基球数%』
この数が30以下だと高メチレーション、70以上だと低メチレーション。

データに白血球の分画があれば、必ずメチレーション状態を計算しています。

ワタクシはまだ一度も高メチレーションタイプに出会ったことがありません・・・。

(低メチレーションタイプはわりとよく遭遇します)

 

その2.小胞体ストレスの強い方

細胞の中には「小胞体」というタンパク質の工場があります。

ところが、何かのきっかけでタンパク質がうまく作れず、不良品のタンパク質が出来ることがあります。

不良品は出荷できませんから、小胞体の中にどんどん溜まっていきます。

出荷できない不良品たんぱく質がどんどん溜まっていっぱいになった状態、これを「小胞体ストレス」と言います。

 

この場合、高たんぱく質なお食事でさらに原料を補給するのは、小胞体ストレスを強めるだけです。

菜食や穀物食など、高たんぱく質ではない食事で、いったんストレスを開放してあげなければなりません。

 

どういった方が小胞体ストレスが強いのか?

簡単に言えば、ミトコンドリア機能の低下した方です。

ミトコンドリアと小胞体は運命共同体ですから、小胞体の元気がなければ、ミトコンドリア機能も落ちます。

ミトコンドリアは筋肉や生殖臓器に多いので、筋肉の障害(筋ジストロフィー)や不妊の方など。

よく不妊の方が、断食をすると妊娠するのは、この原理だと思います。

断食は、もっとも手っ取り早い小胞体ストレスの開放です。

 

小胞体ストレスに関しては、まだまだ解明されていないことも多いです。

メチレーションのように、生化学データから推測できれば良いのですが、今のところはあまり良い基準がありません。

まだまだ研究途上ですが、例えば、山田先生に指導していただいている横綱白鵬関が全戦全勝の好成績であることを見てもわかる通り、結果が出ています。

 

タンパク質を常時必要とする生命体であるがゆえ、いかに高たんぱく質による小胞体ストレスを開放するかは、レベルの高いテーマだと思います。

 

以上、低タンパク質のお食事の方が好ましい2つのパターンをご紹介しました。

こういった考え方は、細胞の中で何が起こっているのかを考える、分子栄養学的アプローチだからこそ可能な推測です。

 

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