「フードトラップ」食品に仕掛けられた至福の罠
ピューリッツァー賞受賞ジャーナリスト、マイケル・モスの「フードトラップ」読みました。
一言でまとめると、いかにして消費者の舌と脳をとりこにするか、食品会社はめちゃくちゃ頑張ってきたし、これからも頑張るよ、というお話です。
塩分、糖分、脂肪分、この3つの最適な比率を完璧なものにすることを「脳の至福ポイントの発見」というそうです。
中毒性のある食品を作るため、至福ポイントを使って消費者をとりこにする。
肥満と成人病が問題になり、政府が動きだそうとすれば、すかさず健康を意識したキャッチコピーにすり替える。
とりあえず、朝食にシリアル食べる習慣のある人は、前半の「糖分」の章だけでも読んでおくと、食指が伸びなくなるので、脱シリアルに効果的かと思います。
なぜジャンクフードには中毒性があるのか?
そもそも、ジャンクフードはなぜ中毒になるのか?脳科学で証明されております。
ジャンクフードをたくさん食べたラットは、ドーパミンやエンドルフィンといった脳内ホルモンのバランスが崩れて、ドラッグ常習者と同じ状態が確認されたという研究結果。
・Dopamine D2 receptors in addiction-like reward dysfunction and compulsive eating in obese rats
実験では、ラットに40日間ジャンクフードを与え続けたところ、栄養バランスの良い通常の食事には見向きもしないようになった
電気ショックを与えても、正常ラットは恐怖でエサを食べることが出来なくなったのに対し、ジャンクフード漬けのラットは脅迫的に食べ続けたそう。
このジャンクフードの餌を与えられたラットの脳を調べると、ドーパミンの受容体が減少していることが分かった。
受容体が減ることで、満足感が得られにくくなり、 薬物中毒と同じようにジャンクフードを食べ続けてしまうとのこと
薬物中毒とジャンクフードによる肥満は、同じメカニズムであると結論しております。
まさしく「やめられない、とまらない」という有名コマーシャルソングのあの状態ですね。
朝食に高タンパクな食事をするとジャンクフードへの欲求が減る!
じゃあ、ジャンクフードの止め方って何かないの?ってことですが、「高タンパク食」が解決方法として有効かもよという論文があります。
19歳から20歳の健康な女子(BMI25~34.9)を、朝食抜き、低タンパク質の朝食、高タンパク質の朝食、の3つのグループに分けて、1週間の実験を行ったというもの。
食後のジャンクフード、甘いものへの欲求と、血中のホモバニリン酸HVA(ドーパミンの代謝物質)を調査
朝食抜きグループは、朝食を摂ったグループに比べて、ジャンク・甘いものへの欲求が大きく上回り、HVAの血中濃度は午前中の4時間ずっと低レベルであった。
さらに、低タンパク質の朝食に比べて、高タンパク質の朝食グループはHVAの血中濃度があきらかに高い
ドーパミンは、意欲やポジティブな心の状態を作るホルモン。
朝食ぬきだと、午前中はやる気が出ないうえに、ジャンク・スイーツへの欲求が高まるが、高タンパクの朝食だと心もポジティブでジャンクへの欲求も抑えられるということです。
では、どれくらい高タンパクだったかというと、タンパク質35gと、これがかなりがっつり系。
プロテイン量から推測すると、卵2個、牛肉100g、乳製品50g、パン(グルテン6g分)
朝からこんなに食えるかっ!て感じですが、二十歳ぐらいだったらいけるのか・・
我が朝食。鶏ハムと鰯のつみれ汁、雑穀
低血糖症、副腎疲労に朝食抜きは危険なので、毎朝けっこうがっつり食べます。
ただこれでもタンパク質は25g程度かなあ。
牛肉100gたべても、含まれるタンパク質は20gですから。
肉の重量=タンパク質ではありません
脳のホルモンを維持できるし、1日トータルで考えたときのタンパク質量もバランスが良くなるので、(この実験レベルでなくても)肉、魚、卵など、なにかしらタンパク質を摂る朝食は強く推奨です。
フードトラップ [ マイケル・モス ]
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