甲状腺機能低下があればビタミンB12不足になりやすい

ビタミンB12と甲状腺機能低下

ビタミンB12の吸収は特殊です。
他のビタミンB群とまったく違います。

詳しくは以下の記事でも見てください。

まずはこれを踏まえてうえで今日の本題。

分子栄養学では、ビタミンB12の
吸収低下はMCVの値に反映される
と教えられます。

MCVが95以上を超えてくると、
ビタミンB12の吸収障害、
「胃酸分泌低下を疑う」
といった具合です。

もしくは、ビタミンB12自体が
動物性たんぱく質に多く含まれるため、
毎日の食事におけるタンパク質の質を
確認するように、と教えられます。

 

理屈ではその通りなのですが、
現実はそう一筋縄ではいきません。

胃酸を補助しても、
動物性たんぱく質を補給しても、
MCVがガンとして高い人がいます。

もうね、どうやっても、
なにをやっても動かない。
MCVが高値安定。
95以下にはならない。

 

そういった方々の共通項、
それは「甲状腺機能低下」です。

私の経験では、MCVは
動物性たんぱく質よりも
胃酸の分泌量よりも、むしろ
甲状腺ホルモンに影響されやすい
という印象です。

 

甲状腺ホルモンとビタミンB12
の関係をいくつかピックアップします。

甲状腺機能低下症患者では、B12欠乏症の有病率が高い(約40%)

Vitamin B12 deficiency common in primary hypothyroidism.

 

甲状腺切除したラットはビタミンB12レベルが低下、これは内因子の補充では改善しない

THE THYROID AND ABSORPTION OF VITAMIN B12 IN RATS1

 

浮腫み・貧血は甲状腺機能低下によるビタミンB12の吸収障害で説明可能

Relationship between Thyroid Hormone and Vitamin B12

 

甲状腺機能低下があれば、
ビタミンB12欠乏症になる。
これはまず覚えておくべし。

 

それにしても、、なぜ?
甲状腺機能低下があると
ビタミンB12の吸収障害
が起こるのだろう??

上記論文中にあるように
「胃の内因子とは関係せず」
ということは、
吸収障害というよりも、
利用障害かもしれません。

赤血球成長の初期ステージで
おそらく、甲状腺ホルモンが
重要な役割をしていることは
想像に容易いですし。

線維筋痛症とビタミンB12

知人で線維筋痛症の方がいました。

彼女が栄養療法をスタートし、
MCVがどうしても100を切らず、
ビタミンB12のメガ投与を
続けていたのですが、

紆余曲折の結果、
一番効果を出したのは
甲状腺ホルモンを補うことでした。

 

どんなにVB12を補給しても
高値止まりでびくともしなかったMCV値が、
自然なFT3製剤を用いることで
あっさり適正値になったそうです。
MCV値に連動するように
線維筋痛症の症状も改善。

ビタミンB12は、末梢神経を構成する
核酸やリン脂質を作って、
神経を修復するという作用があります。

 

ビタミンB12を使える形にするのが
甲状腺ホルモンの働きなのかもしれない。

(機序を説明してくれる情報には
まだ出会っていませんが。)

 

加齢による神経痛・しびれと甲状腺機能低下

加齢によって甲状腺機能は
誰でも低下します。
ばあさんになると、
代謝が落ちるのは自然なことです。

加齢によって発症する
神経痛やしびれは、
ビタミンB12不足による
神経細胞の代謝障害。

でも、そのビタミンB12不足の
本当の犯人は、甲状腺ホルモンの
低下にあるのではないでしょうか。

高齢のうちの母も叔母も、
神経痛、しびれを訴え
ビタミンB12製剤の
「メコバラミン」を処方されましたが、

効いてるんだか効いてないんだか、
良く分からないので、
結局続かずどこかへポイ。

母と叔母の場合は、生活に支障がなく
カラオケ行って楽しく過ごしてますので、
まあそれで問題ないですけどね。

 

 

栄養素は、身体の中の
過不足だけで判断せず、
「いかに利用できるか?」
という視点も重要です。

 

今日のポイント

・甲状腺機能低下により
ビタミンB12不足の症状が
出ることがある。

・MCV高値が、胃酸補助と
食事の改善で解決しない場合は、
甲状腺機能低下を疑ってみる。

 

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